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第18話 神の祝福を受けた者
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翌日、王宮にてさっそく王太子、王太子妃との打ち合わせがあった。
宝石はサファイアをメインに、ブリエ・フルールのカラーを思い切り出したパリュールとの注文だった。
アイテムひとつひとつ、王太子妃の好みを聞きながら、頭の中でデザインを思い描く。
「そろそろ大丈夫ですか?」
終わったころを見計らって、エリオットが迎えに来た。
「今日はぜひ、母からあなたに話したいことがあると」
「王妃様がですか?」
心当たりはないが、昨夜のパーティでなにか失礼なことをしてしまっただろうか?
まさかアクセサリーに不備でもあったとか??
狼狽えるアビゲイルにエリオットは笑いかける。
「悪い話ではありませんから安心してください。あなたにとって大事な話です」
サロンでは王妃が待っていた。
モスグリーンのドレスにエメラルドのチョーカーとイヤリングをつけている。
「王妃様、とてもお似合いです」
「ありがとう。陛下も気に入っているわ。今日、さっそくつけて出かけられたのよ」
席に着くと、緊張した面持ちのアビゲイルに王妃は優しく微笑みかける。
「プライベートなお茶会だし、気楽にして頂戴ね」
「先日、工房でお話ししましたが、子供のころ、あなたが僕の擦り傷を治してくれました。そのことについてなのです」
「はい」
「エリオット、そこからは私が話しましょう」
王妃様が話を続けた。
「この子はその当時、難病を患っていました。国中の医者を呼び、また魔法医師の治療を受けたり、投薬を続けていましたが病状は悪くなる一方でした。
五歳の時に、手をこまねいているよりはと、外科手術に踏み切ることになりました。成功率は決して高くありません。
しかし、手術の前日の最終検査では、病巣がすっかり消えていたのです。医師たちはみな首を捻りました」
王妃はアビゲイルを見つめる。
「エリオットからあなたの話を聞いて長年の謎が解けました。あなたが病を治してくれたのね。母親としてお礼を言います。本当に心から感謝しているわ」
「王妃様、私にそんなこと出来るとは思えません。治癒の魔法は使えますが軽い怪我くらいしか治せませんもの」
「治癒の魔法ではないわ。エリオットに悲しみの原因がなくなるようにと祈って、祝福の魔法をかけてくれたでしょう?あの頃は手術を怖がって毎日泣いていたの」
――――あ!
「で、でも、私の祝福の魔法はおまじない程度で、そんな難病を治すなんて」
「いままでは小物や装飾品などに魔法をかけていたのではなくて?」
「あっ、はい、確かにそうです。人に直接魔法をかけたのは、唯一あの時のエリオット殿下だけです」
王妃は確信を得たように言う。
「アビゲイルさん、あなたはベアテなのよ。昨日のパーティで直接会ってわかりました」
ベアテとは神の祝福を受けた者という意味だ。
特別に神から愛され、神が多大なる恵みをもたらす存在。そしてその恩恵を周りの人々に分け与えることができる。
この国においては、100万人に一人とも言われる稀有な存在で、ベアテの生まれた家は繁栄し、女性のベアテはさらに嫁ぎ先にも富をもたらすと言われている。
宝石はサファイアをメインに、ブリエ・フルールのカラーを思い切り出したパリュールとの注文だった。
アイテムひとつひとつ、王太子妃の好みを聞きながら、頭の中でデザインを思い描く。
「そろそろ大丈夫ですか?」
終わったころを見計らって、エリオットが迎えに来た。
「今日はぜひ、母からあなたに話したいことがあると」
「王妃様がですか?」
心当たりはないが、昨夜のパーティでなにか失礼なことをしてしまっただろうか?
まさかアクセサリーに不備でもあったとか??
狼狽えるアビゲイルにエリオットは笑いかける。
「悪い話ではありませんから安心してください。あなたにとって大事な話です」
サロンでは王妃が待っていた。
モスグリーンのドレスにエメラルドのチョーカーとイヤリングをつけている。
「王妃様、とてもお似合いです」
「ありがとう。陛下も気に入っているわ。今日、さっそくつけて出かけられたのよ」
席に着くと、緊張した面持ちのアビゲイルに王妃は優しく微笑みかける。
「プライベートなお茶会だし、気楽にして頂戴ね」
「先日、工房でお話ししましたが、子供のころ、あなたが僕の擦り傷を治してくれました。そのことについてなのです」
「はい」
「エリオット、そこからは私が話しましょう」
王妃様が話を続けた。
「この子はその当時、難病を患っていました。国中の医者を呼び、また魔法医師の治療を受けたり、投薬を続けていましたが病状は悪くなる一方でした。
五歳の時に、手をこまねいているよりはと、外科手術に踏み切ることになりました。成功率は決して高くありません。
しかし、手術の前日の最終検査では、病巣がすっかり消えていたのです。医師たちはみな首を捻りました」
王妃はアビゲイルを見つめる。
「エリオットからあなたの話を聞いて長年の謎が解けました。あなたが病を治してくれたのね。母親としてお礼を言います。本当に心から感謝しているわ」
「王妃様、私にそんなこと出来るとは思えません。治癒の魔法は使えますが軽い怪我くらいしか治せませんもの」
「治癒の魔法ではないわ。エリオットに悲しみの原因がなくなるようにと祈って、祝福の魔法をかけてくれたでしょう?あの頃は手術を怖がって毎日泣いていたの」
――――あ!
「で、でも、私の祝福の魔法はおまじない程度で、そんな難病を治すなんて」
「いままでは小物や装飾品などに魔法をかけていたのではなくて?」
「あっ、はい、確かにそうです。人に直接魔法をかけたのは、唯一あの時のエリオット殿下だけです」
王妃は確信を得たように言う。
「アビゲイルさん、あなたはベアテなのよ。昨日のパーティで直接会ってわかりました」
ベアテとは神の祝福を受けた者という意味だ。
特別に神から愛され、神が多大なる恵みをもたらす存在。そしてその恩恵を周りの人々に分け与えることができる。
この国においては、100万人に一人とも言われる稀有な存在で、ベアテの生まれた家は繁栄し、女性のベアテはさらに嫁ぎ先にも富をもたらすと言われている。
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