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童貞喪失
異世界から来た勇者
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鼻腔を刺激するような甘美な香りが満ちている。
その香りが青年の思考を奪い、理性という箍でさえも奪い去っていく。
「はぁ、はぁ、あぁん、っあ、あぁあん、ひゃっん。」
「や、やばい……もう出そうだ」
「あぁん、あぁっ、勇者様……そろそろ、あっ、あぁん、いっ、イカれるのですか?
いいですよ、はぁ、あん、私達がしっかり受け止めますから……」
「んっはぁ、フフッ、ダメよ?
男が女の子にリードされるなんて……はぁん、はぁ、勇者が聞いて呆れるわね……んんっ、あっん、私がイクまで我慢するのよ。」
仰向けになった青年の体の上で馬乗りになる女達。
濡れそぼった髪を乱しならがら、女達は一心に腰を振り続けている。
「あぁん、あっあ、ふぁ、でもや、やっぱり私も限界かも……こんなさ、冴えない男に、んっ、あっ、あんっ、いっ、いかされるなんて屈辱だけど……でも、あぁん、はぁっ、認めざるを得ないようね。」
「フフッ、カレンさんもイキそうなのですね……あぁっ、あぁん、あっ、んっ!
そこ、そこはいやぁん、だ、ダメ、ダメです!
あぁん、が、我慢しれらのに……で、出ちゃう、いや、んっ。勇者様にイカされちゃうぅぅぅぅ」
女達は同様に声を上げながら、身悶えるように自分の股を腕で押さえつけている。
それでも、腰を降る動作だけはやめようとしない。
「待って、そんなに動かれたら……もう、で、出る……くっ……うっ!」
「"あぁん、い、いっちゃいそう……はぁ、あぁん、あん、あっんんっ、いくいく、いくぅぅぅぅっ、あっ、あんっ、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんっ!!"」
一際大きな喘ぎ声を上げると、女達はビクビクと震えながらそのまま青年の体の上にへたりこんだ。
そして、そんな光景を青年は絶頂に果てた時の余韻に浸りながら、恍惚とした目で眺めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
乳白色のエンタシスのような支柱、天井を埋め尽くすほどの精巧な絵画、床は古代の生物の化石が埋め込まれた大理石が敷かれ、そこは厳かな神殿のような雰囲気を感じさせる。
その空間の中央部、そこの床には幾何学模様のような幾数もの線や図形、文字とも思える物がびっしりと描かれていた。
その模様が描かれた床の上で、薄い布地の白色衣を肩から羽織った2人の少女が、祈りを捧げるような格好をして膝をつけていた。
「愛の女神エリーザ様、どうか私達にお慈悲をお与えください。
迫り来る魔を退ける為、人類を救う為、エリーザ様の寵愛を受けし勇者様を、私達の地に再び召喚させて頂くことをお許しください。」
そして、少女の1人がそんな言葉を発すると、彼女の背後で控えていたもう1人の少女が立ち上がり、目を瞑って空言を呟くように何かを唱え始めた。
「エリザ、ヴゥアカリエル、ノーリコインデスト、デルト、ヌフ……」
それは言葉なのか、意味のわからない単語を少女は1度も噛むことなく早口で唱えていく。
その向かいで、先程何か言葉を発していた少女は沈黙して、額の前で両手を握り膝をつけている。
"ブワン、ブワン"
すると少女が何かを唱えた途端、床に記された文様が奇怪な音を立てながら、眩しく発光を始めたのである。
しかし、不意に起きたそんな出来事に動揺するどころか、気にもせず、少女達は今の行動を変えずに続けていた。
しばらくの間、彼女達はその行為だけに集中していた。
その過程で、先程の文様の発光は強さを増していき、いつの間にか鳴り続けていたはずの奇怪な音が止んでいた。
それは、まるでこの一連の行為の最終段階へ入った合図であるかのようだった。
「グラナータ、ブリステル、グレーテル、ファインエロース!!」
その時、依然強さを増していた光が空間の周囲を飲み込むほど一際大きく光だした。
「やりました、成功しましたよエリスさん!」
しかし、あまりの強い光に、続けていたはずの行為を中止して手で目を覆うとする少女達。
ただ、その行為自体はどうやら既に完了していたようだった。
やがて、発光は収まり、少女達は塞いでいた目をゆっくりと開けた。
「ゆ、勇者様……?」
目を開けると、そこには少女達以外いなかったはずの3人目の人間が立っていた。
そいつは若い男性だった。
そして、その出来事に驚きも不審がったりもせず、少女は静かに祈りを捧げていた姿から一転、嬉々とした様子で突然現れた男を迎え入れた。
「ようこそおいでくださいました勇者様。
私達の世界に再び戻っきてくださった事、大変感謝しております。」
ーー主人公視点ーー
「ようこそおいでくださいました勇者様。
私達の世界に再び戻っきてくださった事大変感謝しております。」
「えっ!? ゆ、勇者?
ちょ、ちょっと待て! 何がどうなってるかすらわかんないんだけど……」
気づくと俺の目の前には、2人の少女がいた。
床に膝をつけているセミロングの金髪の女の子と、俺を見つめながら佇んでいる銀色の長い髪の女の子。
二人とも日本人離れした美しい顔立ちが特徴的で、瞳の色もカラーコンタクトでも付けたかのようなカラフルな色をしていた。
俺には外国人の女性の知り合いなどいない。
つまり、彼女たちは明らかに見覚えのない女の子だったのだ。
「ここがどこなのか教えてくれない?」
「はい、勇者様。
ここは、オルリンデ王国はパルナ県にあるデストという村の近くの神殿です。」
金髪の女の子が快くそう答えてくれた。
「オルリンデ王国? そんな国知らないし、聞いたこともないんだけど……」
「はい、それもそのはずです。
この国は勇者様がいた世界とは別の世界にある国家ですから。」
「べ、別の世界?」
あまりにも突拍子もない話だが、それを打ち明けた金髪の女の子からは、冗談や嘘を言っているような雰囲気を感じられなかった。
「えっと、嘘をついているようにも見えないけど、でも……俄には信じられない話だ。
それってつまり、俺は今異世界に居るってことでしょ?」
動揺気味の俺の口ぶりとは違って、彼女のしゃべり方には闊達さのうちに何処か落ち着き払った余裕のようなものを感じられた。
「その通りです、勇者様。
こちらの世界とは違う世界にいる、勇者様を召喚するため、私達は召喚魔法を使って向こう側とこちら側をつなぐゲートのようなものを一時的に開きました。」
やはり、そんな説明も作り話に思えるほど彼女の雰囲気と喋り方からは、悪意や不真面目さというものを感じられなかった。
だから、彼女の話に俺は真面目に耳を傾けることにした。
「ゲートを一時的に開いたって言ったけど、その範囲とかってどれくらいなの?
俺さっきまで自分の部屋にいたから、もしかしたら……」
俺の自室には大切なものが沢山保管されている。
それこそ、主に〇ナホとかエッチなビデオとか人に見られたやばいものから、あとは趣味に使っていた大事なものとか、そういったものがこの世界の何処かに飛ばされたと考えると、俺は居てもたってもいられなかった。
「ゲートといっても、召喚魔法は転移に近い仕組みですから、こちらに呼び出せるのは対象者と対象者がその時携帯していたものだけです。それに召喚魔法自体の効果対象は発動した魔法1回につき1人のみですので、安心してください。」
「そ、そうなんだ。よかった、それを聞いて安心したよ。」
危うく、俺のエロ趣味を世界のどこかに公開してしまう所だった。
「あともう1つ聞いてもいいかな?」
「はい、なんでしょうか?」
すると明るい微笑を浮かべて、彼女は少し俺の元へと近づいてきた。
女の子特有のいい匂いがほのかに香る。
そのとき俺は、思わずドキリとさせられた。
「お顔が赤いようですが……」
「い、いや、なんでもないんだ。
…………そ、そんなことより、さっきから俺を勇者、勇者と呼んでるけどそれって、どうして?
まさか、異世界だからなんでもありで……魔物や悪を倒す勇者なんていう存在もあるわけ?」
「はい、まさしくそうです。
勿論それは、他の誰でもない貴方様が、伝承に伝わりし勇者様だからなのですよ。」
「おっ、俺が勇者!?」
漸く、召喚魔法やら異世界云々という話を読み込めた矢先に、また新しくとんでもない情報が打ち明けられた。
それはまさに、鎮火した火事場とはまた別の場所に火が燃え移ったようなきりのない、飛び火の連鎖だった。
「ゆ、勇者って、それって本当に危険が伴うような役回りってことでしょ?
それこそ、体を張って魔物だけでなく人とも戦ったりとか……」
「ねぇあんた、さっきから聞いてればどうでもいい事ばっか吐いてるけど、本当に勇者として戦えるの?」
先程から金髪の女の子と俺の会話を眺めているだけで、少しも介入する様子をみせなかった銀髪の女の子が、突然高圧的な態度でそう言い放った。
「い、いや、突然勇者とか言われても……俺よくわかんないし、自慢じゃないけど俺だって中流家庭に住むごく一般的な男児だから、大した力なんて望めないよ?」
「勇者とは名ばかりのこんな体たらくだけど、どうするのアリシア?」
俺の言い分を聞いて、銀髪の女の子は金髪の女の子に言うべき答えを求めようとしている。
「大丈夫ですよ、カレンさん。
きっと、あれを出せばあの人も勇者としての力を発揮出来るはずですから。」
何やら2人で話し込んでいるがそんな事よりも、金髪の女の子と銀髪の女の子の名前……アリシアに、カレンっていうのか、和名とはまた違った音と呼び方で可愛らしさと新鮮さがある。
「えっと、勇者様……一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「んっ? いいけど……だったらこっちもお願いしてもいい?」
「えっ? あっ、はい私に出来ることなら、できる限り勇者様の要望に答えさせていただきます。」
予想もしない言葉を返されたと思っているのか、咄嗟にそう答えながらもアリシアさんの表情はやや呆然とした様子だった。
「あはは、じゃあその…………これからは二人のこと名前で呼んでもいいかな?
名前で呼べないと不便だしさ。」
「えっ、お願いってそのこと……」とアリシアさんはぼそっと呟いた。
「そうだね、アリシアさんと、カレンさん……呼び方はこれで大丈夫だよね?」
「あっ、あ、はい! 大丈夫です。
私の周りの人も、いつもそう呼んでいますから。」
指摘されて漸く自覚したかのように、アリシアさんはこくこくと頷き、肯定を示す。
「ちょっと待って。
アリシアはいいかもしれないけど、私は認めてないから。勝手に名前で呼ばないでくれる?」
親しみやすいアリシアさんとは対蹠的に、初対面だから仕方ないのだろうが、カレンさんの方はちょっと接し方に冷たい感じがする。
「名前なんてどうでもいいから、そんな事よりさっさっと始めましょうアリシア。」
「あっ……はい、そうですね」
そんな彼女に何かいいたげなアリシアさんだったが、直ぐにそれを抑えて彼女の指示に促されるまま従った。
そんな様子に俺は既視感があって、出会ってまもない彼女たちの関係が、何故か気になり始めていた。
「……それでは勇者様、いまここで射精して頂けませんか?」
「はっ?」
アリシアさんから不意に投げられた発言、それはとんでもないものだった。
その香りが青年の思考を奪い、理性という箍でさえも奪い去っていく。
「はぁ、はぁ、あぁん、っあ、あぁあん、ひゃっん。」
「や、やばい……もう出そうだ」
「あぁん、あぁっ、勇者様……そろそろ、あっ、あぁん、いっ、イカれるのですか?
いいですよ、はぁ、あん、私達がしっかり受け止めますから……」
「んっはぁ、フフッ、ダメよ?
男が女の子にリードされるなんて……はぁん、はぁ、勇者が聞いて呆れるわね……んんっ、あっん、私がイクまで我慢するのよ。」
仰向けになった青年の体の上で馬乗りになる女達。
濡れそぼった髪を乱しならがら、女達は一心に腰を振り続けている。
「あぁん、あっあ、ふぁ、でもや、やっぱり私も限界かも……こんなさ、冴えない男に、んっ、あっ、あんっ、いっ、いかされるなんて屈辱だけど……でも、あぁん、はぁっ、認めざるを得ないようね。」
「フフッ、カレンさんもイキそうなのですね……あぁっ、あぁん、あっ、んっ!
そこ、そこはいやぁん、だ、ダメ、ダメです!
あぁん、が、我慢しれらのに……で、出ちゃう、いや、んっ。勇者様にイカされちゃうぅぅぅぅ」
女達は同様に声を上げながら、身悶えるように自分の股を腕で押さえつけている。
それでも、腰を降る動作だけはやめようとしない。
「待って、そんなに動かれたら……もう、で、出る……くっ……うっ!」
「"あぁん、い、いっちゃいそう……はぁ、あぁん、あん、あっんんっ、いくいく、いくぅぅぅぅっ、あっ、あんっ、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんっ!!"」
一際大きな喘ぎ声を上げると、女達はビクビクと震えながらそのまま青年の体の上にへたりこんだ。
そして、そんな光景を青年は絶頂に果てた時の余韻に浸りながら、恍惚とした目で眺めていた。
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乳白色のエンタシスのような支柱、天井を埋め尽くすほどの精巧な絵画、床は古代の生物の化石が埋め込まれた大理石が敷かれ、そこは厳かな神殿のような雰囲気を感じさせる。
その空間の中央部、そこの床には幾何学模様のような幾数もの線や図形、文字とも思える物がびっしりと描かれていた。
その模様が描かれた床の上で、薄い布地の白色衣を肩から羽織った2人の少女が、祈りを捧げるような格好をして膝をつけていた。
「愛の女神エリーザ様、どうか私達にお慈悲をお与えください。
迫り来る魔を退ける為、人類を救う為、エリーザ様の寵愛を受けし勇者様を、私達の地に再び召喚させて頂くことをお許しください。」
そして、少女の1人がそんな言葉を発すると、彼女の背後で控えていたもう1人の少女が立ち上がり、目を瞑って空言を呟くように何かを唱え始めた。
「エリザ、ヴゥアカリエル、ノーリコインデスト、デルト、ヌフ……」
それは言葉なのか、意味のわからない単語を少女は1度も噛むことなく早口で唱えていく。
その向かいで、先程何か言葉を発していた少女は沈黙して、額の前で両手を握り膝をつけている。
"ブワン、ブワン"
すると少女が何かを唱えた途端、床に記された文様が奇怪な音を立てながら、眩しく発光を始めたのである。
しかし、不意に起きたそんな出来事に動揺するどころか、気にもせず、少女達は今の行動を変えずに続けていた。
しばらくの間、彼女達はその行為だけに集中していた。
その過程で、先程の文様の発光は強さを増していき、いつの間にか鳴り続けていたはずの奇怪な音が止んでいた。
それは、まるでこの一連の行為の最終段階へ入った合図であるかのようだった。
「グラナータ、ブリステル、グレーテル、ファインエロース!!」
その時、依然強さを増していた光が空間の周囲を飲み込むほど一際大きく光だした。
「やりました、成功しましたよエリスさん!」
しかし、あまりの強い光に、続けていたはずの行為を中止して手で目を覆うとする少女達。
ただ、その行為自体はどうやら既に完了していたようだった。
やがて、発光は収まり、少女達は塞いでいた目をゆっくりと開けた。
「ゆ、勇者様……?」
目を開けると、そこには少女達以外いなかったはずの3人目の人間が立っていた。
そいつは若い男性だった。
そして、その出来事に驚きも不審がったりもせず、少女は静かに祈りを捧げていた姿から一転、嬉々とした様子で突然現れた男を迎え入れた。
「ようこそおいでくださいました勇者様。
私達の世界に再び戻っきてくださった事、大変感謝しております。」
ーー主人公視点ーー
「ようこそおいでくださいました勇者様。
私達の世界に再び戻っきてくださった事大変感謝しております。」
「えっ!? ゆ、勇者?
ちょ、ちょっと待て! 何がどうなってるかすらわかんないんだけど……」
気づくと俺の目の前には、2人の少女がいた。
床に膝をつけているセミロングの金髪の女の子と、俺を見つめながら佇んでいる銀色の長い髪の女の子。
二人とも日本人離れした美しい顔立ちが特徴的で、瞳の色もカラーコンタクトでも付けたかのようなカラフルな色をしていた。
俺には外国人の女性の知り合いなどいない。
つまり、彼女たちは明らかに見覚えのない女の子だったのだ。
「ここがどこなのか教えてくれない?」
「はい、勇者様。
ここは、オルリンデ王国はパルナ県にあるデストという村の近くの神殿です。」
金髪の女の子が快くそう答えてくれた。
「オルリンデ王国? そんな国知らないし、聞いたこともないんだけど……」
「はい、それもそのはずです。
この国は勇者様がいた世界とは別の世界にある国家ですから。」
「べ、別の世界?」
あまりにも突拍子もない話だが、それを打ち明けた金髪の女の子からは、冗談や嘘を言っているような雰囲気を感じられなかった。
「えっと、嘘をついているようにも見えないけど、でも……俄には信じられない話だ。
それってつまり、俺は今異世界に居るってことでしょ?」
動揺気味の俺の口ぶりとは違って、彼女のしゃべり方には闊達さのうちに何処か落ち着き払った余裕のようなものを感じられた。
「その通りです、勇者様。
こちらの世界とは違う世界にいる、勇者様を召喚するため、私達は召喚魔法を使って向こう側とこちら側をつなぐゲートのようなものを一時的に開きました。」
やはり、そんな説明も作り話に思えるほど彼女の雰囲気と喋り方からは、悪意や不真面目さというものを感じられなかった。
だから、彼女の話に俺は真面目に耳を傾けることにした。
「ゲートを一時的に開いたって言ったけど、その範囲とかってどれくらいなの?
俺さっきまで自分の部屋にいたから、もしかしたら……」
俺の自室には大切なものが沢山保管されている。
それこそ、主に〇ナホとかエッチなビデオとか人に見られたやばいものから、あとは趣味に使っていた大事なものとか、そういったものがこの世界の何処かに飛ばされたと考えると、俺は居てもたってもいられなかった。
「ゲートといっても、召喚魔法は転移に近い仕組みですから、こちらに呼び出せるのは対象者と対象者がその時携帯していたものだけです。それに召喚魔法自体の効果対象は発動した魔法1回につき1人のみですので、安心してください。」
「そ、そうなんだ。よかった、それを聞いて安心したよ。」
危うく、俺のエロ趣味を世界のどこかに公開してしまう所だった。
「あともう1つ聞いてもいいかな?」
「はい、なんでしょうか?」
すると明るい微笑を浮かべて、彼女は少し俺の元へと近づいてきた。
女の子特有のいい匂いがほのかに香る。
そのとき俺は、思わずドキリとさせられた。
「お顔が赤いようですが……」
「い、いや、なんでもないんだ。
…………そ、そんなことより、さっきから俺を勇者、勇者と呼んでるけどそれって、どうして?
まさか、異世界だからなんでもありで……魔物や悪を倒す勇者なんていう存在もあるわけ?」
「はい、まさしくそうです。
勿論それは、他の誰でもない貴方様が、伝承に伝わりし勇者様だからなのですよ。」
「おっ、俺が勇者!?」
漸く、召喚魔法やら異世界云々という話を読み込めた矢先に、また新しくとんでもない情報が打ち明けられた。
それはまさに、鎮火した火事場とはまた別の場所に火が燃え移ったようなきりのない、飛び火の連鎖だった。
「ゆ、勇者って、それって本当に危険が伴うような役回りってことでしょ?
それこそ、体を張って魔物だけでなく人とも戦ったりとか……」
「ねぇあんた、さっきから聞いてればどうでもいい事ばっか吐いてるけど、本当に勇者として戦えるの?」
先程から金髪の女の子と俺の会話を眺めているだけで、少しも介入する様子をみせなかった銀髪の女の子が、突然高圧的な態度でそう言い放った。
「い、いや、突然勇者とか言われても……俺よくわかんないし、自慢じゃないけど俺だって中流家庭に住むごく一般的な男児だから、大した力なんて望めないよ?」
「勇者とは名ばかりのこんな体たらくだけど、どうするのアリシア?」
俺の言い分を聞いて、銀髪の女の子は金髪の女の子に言うべき答えを求めようとしている。
「大丈夫ですよ、カレンさん。
きっと、あれを出せばあの人も勇者としての力を発揮出来るはずですから。」
何やら2人で話し込んでいるがそんな事よりも、金髪の女の子と銀髪の女の子の名前……アリシアに、カレンっていうのか、和名とはまた違った音と呼び方で可愛らしさと新鮮さがある。
「えっと、勇者様……一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「んっ? いいけど……だったらこっちもお願いしてもいい?」
「えっ? あっ、はい私に出来ることなら、できる限り勇者様の要望に答えさせていただきます。」
予想もしない言葉を返されたと思っているのか、咄嗟にそう答えながらもアリシアさんの表情はやや呆然とした様子だった。
「あはは、じゃあその…………これからは二人のこと名前で呼んでもいいかな?
名前で呼べないと不便だしさ。」
「えっ、お願いってそのこと……」とアリシアさんはぼそっと呟いた。
「そうだね、アリシアさんと、カレンさん……呼び方はこれで大丈夫だよね?」
「あっ、あ、はい! 大丈夫です。
私の周りの人も、いつもそう呼んでいますから。」
指摘されて漸く自覚したかのように、アリシアさんはこくこくと頷き、肯定を示す。
「ちょっと待って。
アリシアはいいかもしれないけど、私は認めてないから。勝手に名前で呼ばないでくれる?」
親しみやすいアリシアさんとは対蹠的に、初対面だから仕方ないのだろうが、カレンさんの方はちょっと接し方に冷たい感じがする。
「名前なんてどうでもいいから、そんな事よりさっさっと始めましょうアリシア。」
「あっ……はい、そうですね」
そんな彼女に何かいいたげなアリシアさんだったが、直ぐにそれを抑えて彼女の指示に促されるまま従った。
そんな様子に俺は既視感があって、出会ってまもない彼女たちの関係が、何故か気になり始めていた。
「……それでは勇者様、いまここで射精して頂けませんか?」
「はっ?」
アリシアさんから不意に投げられた発言、それはとんでもないものだった。
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