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 ガラテアはアンリの身体を押さえつけ、魔力を吸収する。アンリの腕を掴むガラテアの手が凍りつくがガラテアは凍結した箇所へ魔力を流し氷を解呪する。

「くっ!暴れるな!」

 アンリがガラテアの手を振り払い起き上がろうとする。ガラテアはアンリの背後へ回り込み羽交い締めにし、聖槍と融合した女神の肉体をアンリの背中に押し付ける。

「っ!」

 ガラテアはアンリの体内の魔力を相殺する。アンリの髪が銀色から黒に戻り、身体が力なくベッドに倒れこむ。

「はあはあ……暴走はおさまったか、まだ、女の身体のままだな……」

 アンリの身体が男に戻っていく。ガラテアは横になりアンリの背中をそっと指でなぞる。

「……何をやってるんだ私は……」

 ガラテアはアンリの身体をじっと見つめる。

「男の身体……聖槍と完全に融合する前に……今ならまだ人間に戻れる……いや……」

・・・・・・

「起きろ、アンリ」

「……ん……」

 アンリが目を覚ます。黒い修道服を着た長身で金髪の美女がベッドに腰かけていた。

「誰……ガラテア……?」

「二人でハイディ先生の研究所へ行くんだろ?」

「……そうだったっけ?記憶が混乱してる……ああ、ディアスが身体を調べてもらってるんだったか」

「疲れているんだろう……」

「あれ、なんでオレ裸なんだ……」

「知らん」

「……ガラテアはその姿でいいのか?なんで人間の姿じゃなくて女神化してるんだ」

 ガラテアは鏡に映った自身の赤い瞳を見つめる。

「索敵妨害はかけてる……ここへ来るまでは人間体を維持できてたんだが魔力が抑えられん……」

「変装したほうがいいな、官憲や教会の人間にバレたら不味いし」

「……そうだな」

「ああそうだ、ルーネが置いていった装備があるからそれつけたらどうだ?淵術士は顔隠してる奴も多いし、誤魔化せるだろ」

「ルーネさんが……」

 ガラテアは足を組み少し思案する。

「……わかった着替えよう」

 ガラテアは黒い修道服を脱ぎ、ルーネが置いて行った肉体を保護する術式の刻まれた黒いドレスに着替える。黒い長手袋と黒いブーツにも同じ術式が刻まれていた。

「……着心地は……悪くない」

 ガラテアは黒い仮面を着け赤い瞳を隠す。太ももに棒手裏剣状のダートと魔法銃の入ったホルスターを装備する。

「美人で腕の立つ淵術士って感じで似合ってるじゃないか、異質な魔力を感じるがそれもできる淵術士っぽくていい、淵術士は淵術刻印や魔獣の血肉を体内に取り込む影響で目が赤くなる奴もいるし、官憲や教会の人間に顔を見せろと言われても不自然じゃない筈だ」
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