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 カストル王国中部の街ルーベルカイムのアンリの自宅

「……朝……」

 アンリがベッドで目覚める。

「……う、ああ……もう、昼?」

 窓の外は日が高く昇っていた。アンリは差し込む陽射しに目をしかめる。
 ……背中に柔らかな感触を感じた。彼の隣で魔力制御術式の刻まれた黒霊布のショーツとガーターリングのみを身に着けた長身の金髪の美女が寝ていた。

「アンリ起きたか」

 ガラテアは目を開き、優しく穏やかな声でアンリに語りかける。

「身体の具合、問題ないか……?」

 アンリは自身の身体を確認する。

「男の姿に戻ってる……」

「アンリの身体に溜まっていた余剰魔力は私が吸収した……少しうなされてたぞ、汗もだいぶかいていた」

「……ああそうか、村から帰って着替えもせずに寝たんだっけか」

 ガラテアは赤い瞳でアンリを見つめながら、男の姿に戻ったアンリの顔に手を触れた。

「丸一日は寝てたぞ、疲れてたんだな……アンリ」

 アンリが先日身に着けていたルーネから渡された青い複合霊布の下着がベッドの横に置かれていた。

「……そんなに寝てたのか?」

「ああ……」

「ガラテアはどうしてここに?」

「別に……近くに来たから寄っただけだ、特に用はない」

 ガラテアの黒い修道服が綺麗にたたまれ机の上に置かれている。

「っ!」

 ガラテアの身体が前に倒れる。彼女は胸部に痛みを感じ、聖槍と融合する以前と比べて美しく豊かに膨らんだ自身の胸を押さえる。

「私の魔力が吸われている……いやこれは余剰魔力の放出か?」

「ぐっ!あっ……」 

 アンリが突然苦しみ始め、息を吸う度に呼吸が荒くなっていく、髪が黒から銀色に変化し、肉体が女性へと変容する。

「私から放出された魔力を吸収したのか……しまった、複合霊布の下着を脱がせたからか?」

 女性の身体に変異したアンリは言葉を発することなく、銀色に変化した虚ろな瞳でガラテアを見つめている。身体から冷気が漏れ部屋を凍りつかせていく。

「アンリ、しっかりしろ!」

「……」

 アンリはガラテアの問いかけに応えず沈黙している。

「これは第二覚醒?不味い……このままだと脳に異常が出て自我が……」

 ガラテアは自身の太ももに着けられた黒霊布のガーターリングを外し、机の上に置かれた黒霊布のブラとガーターリングを掴み、第二覚醒したアンリに押し当て、抵抗するアンリを無理やりベッドに押し倒す。

「くっ、暴れるな!」

 ガラテアは暴れるアンリの腕を掴み、自身の胸をアンリの胸へ押し当てる。

「もう一度、魔力を……吸収できるか?元に戻れ」
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