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ドラゴンの糞
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「もうそろそろ、ドラゴンの生息域ね……」
……三人が山肌を進むと、更に瘴気の濃度が薄れてきた。山肌には幾つもの白い巨岩が地表に顔を出している。
「ドラゴンの牙だ……」
アンリは岩場に落ちていた牙を拾い上げた。
「この辺りか……」
「ええそうね」
アンリが奥に目をやると、奥の岩場に大きな骨が何本も転がっている。
「ドラゴンの骨があるな……どこの骨かな?死んでからだいぶ経ってるみたいだ」
オクタヴィアはアンリから少し離れた場所で、きょろきょろと周囲の様子を窺っている。
「胃石も見つかるといいんだが……」
アンリが呟く。
「胃石って?」
「硬い植物を消化するために飲み込む石だ
これを使って植物を胃の中ですりつぶして、消化するんだ……草食性が低い、胃石を使わない種類もいるけど
……オクタヴィア、少し変わった感じの丸い石落ちてないか?」
「変わった感じの石?」
「他と様子が違う角のとれた石を探してくれないか」
……オクタヴィアは足元に転がっていた暗褐色の石をアンリに手渡した。
「よくわからないけど、これ?」
「貸してくれオクタヴィア……ん、これは胃石じゃないな……いや、こいつは……」
「お目当てのものと違った?」
「……こいつは……たぶん胆石だな、胆汁が固まってできた石だよ、竜胆石は魔法石や薬に加工できる、こいつも金になる」
二人から少し離れて、周囲を探索していたレダが戻ってきた。
「……あれを……見つけたわ、こっちに来て」
「ああ、わかった」
……岩場の隅に黒い塊が積み重なっている。アンリはスコップで大きな麻袋に素早くドラゴンの糞を詰め込んでいく。
「乾燥してるから思ったほど臭くない」
アンリは糞を詰め込んだ麻袋を背負う。
「オレが糞の運搬をやるから、オクタヴィア、レダ、護衛頼むぜ、下りはなるべく素早く、さっさと帰還するぞ」
「この辺に竜骨、結構落ちてるみたいだけど……拾って行かないの?胃石ももう少し粘れば、見つかるかもしれないしさ」
とオクタヴィア
「……あまり長居したくない、荷物が重くて、素早く動けないし、体力に余裕があるうちに山を下りたい
天候が悪くなるかもしれないからな……山に糞を拾いに行って遭難するとか馬鹿みたいだろ」
・・・・・・
三人はドラゴンの生息地を離れ、薄暗い山林を下っていく。
……不意にレダが何かを察したように足を止めた。
「……どうした?レダ」
「……魔獣の気配が」
「バフォメットか?」
「おそらくそうね……」
……山林の木々の間を黒い影が蠢いている。
「……とにかく隠れるぞ」
アンリ達は岩陰に身を隠す。
「ねえ、アンリ、どうするの?」
「……アイツと戦うのが目的じゃないからな……」
バフォメットは巨体を揺らしながら、一歩一歩、アンリ達が身を隠している岩陰に近づいてくる。鼻をひくつかせ、自身の縄張りに入り込んだ何者かを探っているようだった。
「……やり過ごせるか……いや、無理か」
アンリは岩陰から魔獣の様子を窺う。
「無駄に戦いたくないし……クソを抱えて死ぬのは勘弁だ」
……三人が山肌を進むと、更に瘴気の濃度が薄れてきた。山肌には幾つもの白い巨岩が地表に顔を出している。
「ドラゴンの牙だ……」
アンリは岩場に落ちていた牙を拾い上げた。
「この辺りか……」
「ええそうね」
アンリが奥に目をやると、奥の岩場に大きな骨が何本も転がっている。
「ドラゴンの骨があるな……どこの骨かな?死んでからだいぶ経ってるみたいだ」
オクタヴィアはアンリから少し離れた場所で、きょろきょろと周囲の様子を窺っている。
「胃石も見つかるといいんだが……」
アンリが呟く。
「胃石って?」
「硬い植物を消化するために飲み込む石だ
これを使って植物を胃の中ですりつぶして、消化するんだ……草食性が低い、胃石を使わない種類もいるけど
……オクタヴィア、少し変わった感じの丸い石落ちてないか?」
「変わった感じの石?」
「他と様子が違う角のとれた石を探してくれないか」
……オクタヴィアは足元に転がっていた暗褐色の石をアンリに手渡した。
「よくわからないけど、これ?」
「貸してくれオクタヴィア……ん、これは胃石じゃないな……いや、こいつは……」
「お目当てのものと違った?」
「……こいつは……たぶん胆石だな、胆汁が固まってできた石だよ、竜胆石は魔法石や薬に加工できる、こいつも金になる」
二人から少し離れて、周囲を探索していたレダが戻ってきた。
「……あれを……見つけたわ、こっちに来て」
「ああ、わかった」
……岩場の隅に黒い塊が積み重なっている。アンリはスコップで大きな麻袋に素早くドラゴンの糞を詰め込んでいく。
「乾燥してるから思ったほど臭くない」
アンリは糞を詰め込んだ麻袋を背負う。
「オレが糞の運搬をやるから、オクタヴィア、レダ、護衛頼むぜ、下りはなるべく素早く、さっさと帰還するぞ」
「この辺に竜骨、結構落ちてるみたいだけど……拾って行かないの?胃石ももう少し粘れば、見つかるかもしれないしさ」
とオクタヴィア
「……あまり長居したくない、荷物が重くて、素早く動けないし、体力に余裕があるうちに山を下りたい
天候が悪くなるかもしれないからな……山に糞を拾いに行って遭難するとか馬鹿みたいだろ」
・・・・・・
三人はドラゴンの生息地を離れ、薄暗い山林を下っていく。
……不意にレダが何かを察したように足を止めた。
「……どうした?レダ」
「……魔獣の気配が」
「バフォメットか?」
「おそらくそうね……」
……山林の木々の間を黒い影が蠢いている。
「……とにかく隠れるぞ」
アンリ達は岩陰に身を隠す。
「ねえ、アンリ、どうするの?」
「……アイツと戦うのが目的じゃないからな……」
バフォメットは巨体を揺らしながら、一歩一歩、アンリ達が身を隠している岩陰に近づいてくる。鼻をひくつかせ、自身の縄張りに入り込んだ何者かを探っているようだった。
「……やり過ごせるか……いや、無理か」
アンリは岩陰から魔獣の様子を窺う。
「無駄に戦いたくないし……クソを抱えて死ぬのは勘弁だ」
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