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第二章・アイゼンリウト騒乱編
第71話 アーサー、最後の足掻き
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「仲間同士最後の会話は済んだか?」
「ごめんなさい……別れの挨拶もする人が居ない人をお待たせした上に目の前でみせつけちゃって」
アーサーはどんな思いで俺たちを見て待っていたのか分からないが、村に居た少女が謝罪しながら殴り掛かるような煽りをかましたので怒りのオーラを発し、こちらを威圧する。
「すまんなお前と違って我らは人数が多くてな」
「そうだのよ! 挨拶はしなきゃいけないだのよ!」
ファニーとリムンも続けて煽り
「最強ドラフト一族の兄弟の別れの挨拶は戦いの中でするもんさ」
「別れの挨拶に相応しい相手だと良いが」
ビッドとビルゴも続けて煽る。皆が皆、誰一人欠けるどころか一人増えて再会出来た喜びで大分強気になっているようだ。
「お前の道連れはもう十分だろう?」
「一人寂しく死んでゆけ!」
リードルシュさんとダンディスさんが締めて戦闘を開始。アーサーが作った洞窟内を四方八方から攻めていく。
アーサーは一人でそれを捌いていたが、全てを捌き切れずに攻撃を受け始めた。黒いオーラによって傷はつかないまでも、衝撃は体に伝わっているようで顔を歪ませる。
「くっくそおおおお!」
苛立ちの原因を解消すべく剣を振り回すアーサー。俺との戦いで消耗してから変身したので体力を回復させたのかと思いきや、どうやら総量が増えただけで全回復した訳では無いらしい。
俺たちを黙って見ていたのも回復したかったからと考えれば自然に思える。
「あらら、魔王の癖に情けないねぇ」
村に居た娘がアーサーに呆れながら言うと、アーサーは血管を浮き上がらせ力んだ後、黒いオーラ―を更に増大させ衝撃すら喰らわないよう防御を厚くした。
皆はそれを気にせず攻撃を加えるも全く攻撃が通らない。
「そんな亀みたいに護ってどうする気?」
「こうするんだ」
アーサーは言葉では無く行動で示す。ビルゴビッド兄弟を見て素早く距離を詰めそのまま壁へ押し込んで行く。兄弟はそれを何とか押し返そうとするがあっさり壁に背が付けられてしまう。
「このっ!」
俺は急いで側面を攻撃し兄弟を助けるべく突っ込む。アーサーは当然それを読んでいてこちらを向いて突っ込んで来た。
「よいしょっ!」
黒隕剣で斬り付けようとしたが手を引かれて衝突は免れる。引っ張ってくれたのは村に居た娘だった。ここまで来るだけあってただの村娘ではない。
「貴様は一体何者だ? 確か城の入口で会った覚えがあるが」
「やぁ、さっき振り。君が僕を見て逃げてくれたお陰ですんなりここまでこれて皆をここに連れてこれたよ有難う」
「貴様が私の結界を破ったと言うのか!? 馬鹿な……たかが人間の分際で」
「厳密に言うと違うね。僕は貴方の血も引いているが恐らく母の血の影響が強いかな」
「……母の血、だと?」
「そうだよ。僕の名はロリーナ。聞き覚えがあるだろう?」
その名を聞いてアーサーの顔は血の気が引き、急いで左手を見る。するとその手にあった黄金色の剣は強い光を放ち始め
「ぐあっ!」
アーサーの手を弾き黒いオーラを突き破ってこちらへ回転して向かって来た。そしてロリーナと名乗った村に居た娘の手に収まる。
「察しの良い貴方なら僕の正体に気付いたね? そうだよあの時死んだと言われていた赤ん坊だ。乳母が母に頼まれ死んだとして城から連れ出し今日の今日まで潜んでいたのさ。この時の為にね」
ロリーナは堕天剣ロリーナを掲げそう告げる。唖然とした表情でそれを見ていたアーサーは、ロリーナの言葉が終わると体を震わせた。
「どこまで……どこまで私を絶望させれば気が済むんだ……! 私に夢を与え私に絶望を与えた作品が、私の命さえも奪うと言うのか!?」
「違うよ。アンタの悪夢を終わらせてあげるんだ。どうか元の世界でやり直し幸せを見つけてほしい」
「うああああ!」
アーサーはキャロルを手に向かってくる。ロリーナにキャロルを振りおろそうとするも、剣は寸での所で止まったまま動かない。
「さぁ夢の終わりだ」
ロリーナの言葉にアーサーは俯きながら下がりつつ、キャロルをその手から離した。諦めたように見えるがそれは戦いをじゃない。俺の勘がそう告げている。黒いオーラはやがてどす黒い禍々しさを増し始めた。
「そうか、そうか。ならばもう良い。この世界の何もかもを私の絶望で染め上げてやる……許さんぞ……絶対に許さんぞ……お前たちを消す為ならこの姿も要らん!」
暗く低く小さいがその声は洞窟内に響き、アーサーの声色に薄気味悪い声まで重なり始め、最後に叫んだ後でアーサーの体を青白い炎が焼き、絶叫が木霊する。
そしてアーサーの体が無くなり黒いオーラだけが残ったが、今度はそれが人の形を模した者へと変化し赤い瞳を出現させ僕を睨んだ。
「コレデ終ワリダ」
機械のような音声が聞こえた後、それはぬるっと動きこちらに迫る。影を斬るべく黒隕剣を振り下ろすも、こちらの風圧によって流されたように避けられてしまう。
更に側面へ移動して手を尖らせて突き刺そうとして来たので無理やり体を回転させてそれを薙いで弾いた。すり抜けられたら不味いと思ったが、どうやらその心配はしなくて良いようで安心する。
「往生際が悪いな!」
ロリーナが泳いだアーサーの影に斬り付けるも地面を滑るように避け、それに対して他の皆も追撃するが、スルスルと移動されてしまった。
「遅イナァ遅イヨ」
ケタケタと笑いながら高速で地面を滑りながら移動し皆に対して斬り付けて行く。体と言う檻から解放したアーサーは縦横無尽に駆け回りこちらを翻弄して行く。素早く勘の良い相手に対して何とか追い込んで攻撃を加えるもするりと逃げられる。
「モウ良イカイ?」
アーサーの影はそう言うと体の中心に口が出現し、大きく開いた後でそこから黒い球が静電気のような現象を起こしながら複数出て来て僕らへ向かって飛んで来る。
各々の武器で弾こうとするも避けられ直撃を受けてしまい、黒い霧に包まれた上に電気が発生しているようで動けないようだ。
「コウ! リムンちゃんを!」
ロリーナは堕天剣ロリーナでそれを切り伏せていて、その声を受けてリムンを探すと離れたところで杖を振り回し難を逃れていた。
俺は自分のところに来た黒い球を黒隕剣で斬り払い消滅させてからリムンのところに向かい斬り払う。
「どうする!?」
「こうなったら閉じ込めるしかない! リムンちゃん、結界の準備を。イリア! アリス!」
ロリーナは急いで二人の元へ向かうと堕天剣ロリーナの剣腹を当てる。すると黒い霧は晴れて二人は動けるようになったのか地面から起き上がった。
「コウ! 時間を稼いで! 僕らはその間に準備をする!」
俺は頷いてアーサーの影と向かい合う。コイツは俺をまず最初に殺したいだろうから避けながら攻撃を加え、ロリーナの作戦の準備完了まで死ぬ気で時間を稼いでやる。
「ごめんなさい……別れの挨拶もする人が居ない人をお待たせした上に目の前でみせつけちゃって」
アーサーはどんな思いで俺たちを見て待っていたのか分からないが、村に居た少女が謝罪しながら殴り掛かるような煽りをかましたので怒りのオーラを発し、こちらを威圧する。
「すまんなお前と違って我らは人数が多くてな」
「そうだのよ! 挨拶はしなきゃいけないだのよ!」
ファニーとリムンも続けて煽り
「最強ドラフト一族の兄弟の別れの挨拶は戦いの中でするもんさ」
「別れの挨拶に相応しい相手だと良いが」
ビッドとビルゴも続けて煽る。皆が皆、誰一人欠けるどころか一人増えて再会出来た喜びで大分強気になっているようだ。
「お前の道連れはもう十分だろう?」
「一人寂しく死んでゆけ!」
リードルシュさんとダンディスさんが締めて戦闘を開始。アーサーが作った洞窟内を四方八方から攻めていく。
アーサーは一人でそれを捌いていたが、全てを捌き切れずに攻撃を受け始めた。黒いオーラによって傷はつかないまでも、衝撃は体に伝わっているようで顔を歪ませる。
「くっくそおおおお!」
苛立ちの原因を解消すべく剣を振り回すアーサー。俺との戦いで消耗してから変身したので体力を回復させたのかと思いきや、どうやら総量が増えただけで全回復した訳では無いらしい。
俺たちを黙って見ていたのも回復したかったからと考えれば自然に思える。
「あらら、魔王の癖に情けないねぇ」
村に居た娘がアーサーに呆れながら言うと、アーサーは血管を浮き上がらせ力んだ後、黒いオーラ―を更に増大させ衝撃すら喰らわないよう防御を厚くした。
皆はそれを気にせず攻撃を加えるも全く攻撃が通らない。
「そんな亀みたいに護ってどうする気?」
「こうするんだ」
アーサーは言葉では無く行動で示す。ビルゴビッド兄弟を見て素早く距離を詰めそのまま壁へ押し込んで行く。兄弟はそれを何とか押し返そうとするがあっさり壁に背が付けられてしまう。
「このっ!」
俺は急いで側面を攻撃し兄弟を助けるべく突っ込む。アーサーは当然それを読んでいてこちらを向いて突っ込んで来た。
「よいしょっ!」
黒隕剣で斬り付けようとしたが手を引かれて衝突は免れる。引っ張ってくれたのは村に居た娘だった。ここまで来るだけあってただの村娘ではない。
「貴様は一体何者だ? 確か城の入口で会った覚えがあるが」
「やぁ、さっき振り。君が僕を見て逃げてくれたお陰ですんなりここまでこれて皆をここに連れてこれたよ有難う」
「貴様が私の結界を破ったと言うのか!? 馬鹿な……たかが人間の分際で」
「厳密に言うと違うね。僕は貴方の血も引いているが恐らく母の血の影響が強いかな」
「……母の血、だと?」
「そうだよ。僕の名はロリーナ。聞き覚えがあるだろう?」
その名を聞いてアーサーの顔は血の気が引き、急いで左手を見る。するとその手にあった黄金色の剣は強い光を放ち始め
「ぐあっ!」
アーサーの手を弾き黒いオーラを突き破ってこちらへ回転して向かって来た。そしてロリーナと名乗った村に居た娘の手に収まる。
「察しの良い貴方なら僕の正体に気付いたね? そうだよあの時死んだと言われていた赤ん坊だ。乳母が母に頼まれ死んだとして城から連れ出し今日の今日まで潜んでいたのさ。この時の為にね」
ロリーナは堕天剣ロリーナを掲げそう告げる。唖然とした表情でそれを見ていたアーサーは、ロリーナの言葉が終わると体を震わせた。
「どこまで……どこまで私を絶望させれば気が済むんだ……! 私に夢を与え私に絶望を与えた作品が、私の命さえも奪うと言うのか!?」
「違うよ。アンタの悪夢を終わらせてあげるんだ。どうか元の世界でやり直し幸せを見つけてほしい」
「うああああ!」
アーサーはキャロルを手に向かってくる。ロリーナにキャロルを振りおろそうとするも、剣は寸での所で止まったまま動かない。
「さぁ夢の終わりだ」
ロリーナの言葉にアーサーは俯きながら下がりつつ、キャロルをその手から離した。諦めたように見えるがそれは戦いをじゃない。俺の勘がそう告げている。黒いオーラはやがてどす黒い禍々しさを増し始めた。
「そうか、そうか。ならばもう良い。この世界の何もかもを私の絶望で染め上げてやる……許さんぞ……絶対に許さんぞ……お前たちを消す為ならこの姿も要らん!」
暗く低く小さいがその声は洞窟内に響き、アーサーの声色に薄気味悪い声まで重なり始め、最後に叫んだ後でアーサーの体を青白い炎が焼き、絶叫が木霊する。
そしてアーサーの体が無くなり黒いオーラだけが残ったが、今度はそれが人の形を模した者へと変化し赤い瞳を出現させ僕を睨んだ。
「コレデ終ワリダ」
機械のような音声が聞こえた後、それはぬるっと動きこちらに迫る。影を斬るべく黒隕剣を振り下ろすも、こちらの風圧によって流されたように避けられてしまう。
更に側面へ移動して手を尖らせて突き刺そうとして来たので無理やり体を回転させてそれを薙いで弾いた。すり抜けられたら不味いと思ったが、どうやらその心配はしなくて良いようで安心する。
「往生際が悪いな!」
ロリーナが泳いだアーサーの影に斬り付けるも地面を滑るように避け、それに対して他の皆も追撃するが、スルスルと移動されてしまった。
「遅イナァ遅イヨ」
ケタケタと笑いながら高速で地面を滑りながら移動し皆に対して斬り付けて行く。体と言う檻から解放したアーサーは縦横無尽に駆け回りこちらを翻弄して行く。素早く勘の良い相手に対して何とか追い込んで攻撃を加えるもするりと逃げられる。
「モウ良イカイ?」
アーサーの影はそう言うと体の中心に口が出現し、大きく開いた後でそこから黒い球が静電気のような現象を起こしながら複数出て来て僕らへ向かって飛んで来る。
各々の武器で弾こうとするも避けられ直撃を受けてしまい、黒い霧に包まれた上に電気が発生しているようで動けないようだ。
「コウ! リムンちゃんを!」
ロリーナは堕天剣ロリーナでそれを切り伏せていて、その声を受けてリムンを探すと離れたところで杖を振り回し難を逃れていた。
俺は自分のところに来た黒い球を黒隕剣で斬り払い消滅させてからリムンのところに向かい斬り払う。
「どうする!?」
「こうなったら閉じ込めるしかない! リムンちゃん、結界の準備を。イリア! アリス!」
ロリーナは急いで二人の元へ向かうと堕天剣ロリーナの剣腹を当てる。すると黒い霧は晴れて二人は動けるようになったのか地面から起き上がった。
「コウ! 時間を稼いで! 僕らはその間に準備をする!」
俺は頷いてアーサーの影と向かい合う。コイツは俺をまず最初に殺したいだろうから避けながら攻撃を加え、ロリーナの作戦の準備完了まで死ぬ気で時間を稼いでやる。
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