46 / 69
相良仁、異世界へ転職!
繋がり始める点
しおりを挟む
ベアトリスが俺の仲間だって知ってたにしても、これじゃあ自警団なんて名ばかりの盗賊団じゃないか。団長を助けるなら直接襲撃するか一緒に攻撃していたら捕まらず逃げられたかもしれないのに。
開けた場所で誰かに見られる可能性を考えなかったりする点も含めて、この人が指揮を執ってないと荒くれ者の集団だと疑われても仕方ないような動きを容易にする。そんな人たちと一緒に居るアリーザさんは一体どういう存在なのだろうか。
あの人も村に居るのだからこの国出身では無いだろうと言うのは分かる。最初に町長の奥様と出会った時の件や防具屋の親父さんから荷物を持って行くよう頼まれた件を合わせると、アリーザさんがただ国を出て村に来た人間で無いのも分かる。
魔法の霧を利用して団長が俺を狙って来たのを考えると、まさか暗闇の夜明けの一員なのか? いや、落ち着け俺! それより今は先ずベアトリスを助けないと駄目だろう!
「ベアトリスをどうする気だ? こんな状況でそんな真似をすればお前たちも危ないんじゃないのか?」
「お前が団長を人質にとっているからだ」
明らかにベアトリスを人質にしたのはそれ以前だろうに、と俺は呆れて溜息を吐きながら視線を落とす。すると小さな影が動いているのを見つけた。恐らくシシリーが何か仕掛けようとしてくれていると考え、直ぐに動けるよう準備をしておく。
「お、お前たち気を付けろ! 何か居るぞ!」
団長は藻掻きながら仲間に警告する。それを聞いた兵士たちは周囲を警戒し見回した瞬間、シシリーが兵士の一人をチクリと刺した。兵士が小さな悲鳴を上げると得物を抜いたので俺は団長の足を掴んだまま兵士たちに叩き付ける。
突然の出来事に混乱し斬り払おうとした兵士を他の兵士が抑えた隙に、ベアトリスを人質に取っている兵士をシシリーが攻撃してくれた。兵士の掴んでいる手が緩んだ瞬間、ベアトリスは暴れて振り解きこちらに来てくれた。
「くっ糞っ!」
「お前たち俺を甘く見たな。これでも魔法を習得したんだ!」
「え!?」
思い切り嘘なのだが、ベアトリスにシシリーまで自警団の団長や兵士と一緒になり驚きの声を上げてしまう。シシリーに誰も気づいて無いのでそれを利用し相手を何処かへ行かそうとしての発言なのだが、打合せしてないから仕方ない。ここはそのまま押し切る!
「そうだ。竜神教の教会に出入りしているのは知っているか!?」
「ま、まさか出入りしていたのはその為か!」
「シンラに対抗する為に身に着けた。俺の魔法はまだお前たちをチクリとしか刺せないが、その効果は何だか知りたいか?」
ゴクリと唾を飲みこむ一同。シシリーは兎も角ベアトリスは一緒にならんで欲しいなと思いつつ、俺は怪しい顔をしながら団長の足首を掴みつつ、両掌を兵士に向けて円を描くように回し始めた。その様子に危機感を覚えたのか兵士の数人がじりじりと下がり出す。
「痛っ!?」
「く、糞ッ! 撤退だ!」
「ま、待て! 俺を置いて行くな!」
団長を放置して兵士たちは逃げ出す。中々に薄情だなと思いつつ、あの自警団を支えているのはアリーザさんの存在なんじゃないかと思った。団長が絶対条件ならここで助けるし、ただの盗賊ならバラバラに逃げているだろうけど、一緒に素早く同じ方向に乱れず撤退して行ったのが盗賊には見えない。
となるとアリーザさんはやはり暗闇の夜明けの……
――愚かな――
「危ない!」
シシリーは俺の背後に移動し何かを出してそれを防いでくれた。見ると氷の氷柱が落ちている。新しい魔法使いか!?
――その男を離せば見逃してやろう。だが離さぬのであれば隣の女を最初に始末する――
今ベアトリスは手を縛られていて防ぎようがない。こちらは相手の姿は見えないが相手はこちらが見えている上に狙撃も出来る。となればここで無理して団長を確保しておくよりも安全第一だ。
「こっちの安全の保障は?」
――その男は足を怪我している。お前たちはその間に逃げれば良い――
「そっちは遠距離攻撃出来るだろ?」
――なら霧も晴らそう。それで他の人間もこちらが余計な真似をすれば視認できる――
「分かった」
無駄に交渉を長引かせてもキレて団長共々殺されては堪らないし、交渉して来ると言う事は今直ぐこちらをどうこうしようと言う意思が無いと考え了承する。返事をしてから団長の足を離し、ゆっくりと警戒しながらその場を離れる。団長は傷めた足を引きずりながらこちらを見ずに急いで森に入った。こちらも急いで農家さんの家の陰に隠れ、ベアトリスの拘束を解いてから射線を切りつつ移動し一旦町へと引き返す。
途中でシシリーは森の家に戻ると言うので見送ってからギルドへ向かった。この件を報告すると直ぐに町長の家にと言われ向かって報告する。町長は一旦この件は預かるとだけ言い残し去っていった。ベアトリスと共に町長の家を後にし宿へと戻る。
紋様を幾つか消したのでそれに対するアクションかと思ったが、自警団の団長まで出て来るとは。
不死鳥騎士団が消滅したのが、竜神教から離反したあの魔法使いたちの集団である暗闇の夜明けによるものだと聞いた。自警団は俺の背負っている不死鳥騎士団の盾を見て驚愕している。
今回の件ではベアトリスを縛ってまで人質にしたのも気になる。あの動きからしてただの盗賊ではないし、俺だけを確実に倒すなら団長と一緒になって霧を味方につけて森で袋叩きにした方が確実だ。それもせずにベアトリスを縛って数人で囲み外で待っていたのは、ベアトリスを攫おうとしていたんじゃないか?
「ベアトリス、ちょっと話があるんだけど」
「何?」
開けた場所で誰かに見られる可能性を考えなかったりする点も含めて、この人が指揮を執ってないと荒くれ者の集団だと疑われても仕方ないような動きを容易にする。そんな人たちと一緒に居るアリーザさんは一体どういう存在なのだろうか。
あの人も村に居るのだからこの国出身では無いだろうと言うのは分かる。最初に町長の奥様と出会った時の件や防具屋の親父さんから荷物を持って行くよう頼まれた件を合わせると、アリーザさんがただ国を出て村に来た人間で無いのも分かる。
魔法の霧を利用して団長が俺を狙って来たのを考えると、まさか暗闇の夜明けの一員なのか? いや、落ち着け俺! それより今は先ずベアトリスを助けないと駄目だろう!
「ベアトリスをどうする気だ? こんな状況でそんな真似をすればお前たちも危ないんじゃないのか?」
「お前が団長を人質にとっているからだ」
明らかにベアトリスを人質にしたのはそれ以前だろうに、と俺は呆れて溜息を吐きながら視線を落とす。すると小さな影が動いているのを見つけた。恐らくシシリーが何か仕掛けようとしてくれていると考え、直ぐに動けるよう準備をしておく。
「お、お前たち気を付けろ! 何か居るぞ!」
団長は藻掻きながら仲間に警告する。それを聞いた兵士たちは周囲を警戒し見回した瞬間、シシリーが兵士の一人をチクリと刺した。兵士が小さな悲鳴を上げると得物を抜いたので俺は団長の足を掴んだまま兵士たちに叩き付ける。
突然の出来事に混乱し斬り払おうとした兵士を他の兵士が抑えた隙に、ベアトリスを人質に取っている兵士をシシリーが攻撃してくれた。兵士の掴んでいる手が緩んだ瞬間、ベアトリスは暴れて振り解きこちらに来てくれた。
「くっ糞っ!」
「お前たち俺を甘く見たな。これでも魔法を習得したんだ!」
「え!?」
思い切り嘘なのだが、ベアトリスにシシリーまで自警団の団長や兵士と一緒になり驚きの声を上げてしまう。シシリーに誰も気づいて無いのでそれを利用し相手を何処かへ行かそうとしての発言なのだが、打合せしてないから仕方ない。ここはそのまま押し切る!
「そうだ。竜神教の教会に出入りしているのは知っているか!?」
「ま、まさか出入りしていたのはその為か!」
「シンラに対抗する為に身に着けた。俺の魔法はまだお前たちをチクリとしか刺せないが、その効果は何だか知りたいか?」
ゴクリと唾を飲みこむ一同。シシリーは兎も角ベアトリスは一緒にならんで欲しいなと思いつつ、俺は怪しい顔をしながら団長の足首を掴みつつ、両掌を兵士に向けて円を描くように回し始めた。その様子に危機感を覚えたのか兵士の数人がじりじりと下がり出す。
「痛っ!?」
「く、糞ッ! 撤退だ!」
「ま、待て! 俺を置いて行くな!」
団長を放置して兵士たちは逃げ出す。中々に薄情だなと思いつつ、あの自警団を支えているのはアリーザさんの存在なんじゃないかと思った。団長が絶対条件ならここで助けるし、ただの盗賊ならバラバラに逃げているだろうけど、一緒に素早く同じ方向に乱れず撤退して行ったのが盗賊には見えない。
となるとアリーザさんはやはり暗闇の夜明けの……
――愚かな――
「危ない!」
シシリーは俺の背後に移動し何かを出してそれを防いでくれた。見ると氷の氷柱が落ちている。新しい魔法使いか!?
――その男を離せば見逃してやろう。だが離さぬのであれば隣の女を最初に始末する――
今ベアトリスは手を縛られていて防ぎようがない。こちらは相手の姿は見えないが相手はこちらが見えている上に狙撃も出来る。となればここで無理して団長を確保しておくよりも安全第一だ。
「こっちの安全の保障は?」
――その男は足を怪我している。お前たちはその間に逃げれば良い――
「そっちは遠距離攻撃出来るだろ?」
――なら霧も晴らそう。それで他の人間もこちらが余計な真似をすれば視認できる――
「分かった」
無駄に交渉を長引かせてもキレて団長共々殺されては堪らないし、交渉して来ると言う事は今直ぐこちらをどうこうしようと言う意思が無いと考え了承する。返事をしてから団長の足を離し、ゆっくりと警戒しながらその場を離れる。団長は傷めた足を引きずりながらこちらを見ずに急いで森に入った。こちらも急いで農家さんの家の陰に隠れ、ベアトリスの拘束を解いてから射線を切りつつ移動し一旦町へと引き返す。
途中でシシリーは森の家に戻ると言うので見送ってからギルドへ向かった。この件を報告すると直ぐに町長の家にと言われ向かって報告する。町長は一旦この件は預かるとだけ言い残し去っていった。ベアトリスと共に町長の家を後にし宿へと戻る。
紋様を幾つか消したのでそれに対するアクションかと思ったが、自警団の団長まで出て来るとは。
不死鳥騎士団が消滅したのが、竜神教から離反したあの魔法使いたちの集団である暗闇の夜明けによるものだと聞いた。自警団は俺の背負っている不死鳥騎士団の盾を見て驚愕している。
今回の件ではベアトリスを縛ってまで人質にしたのも気になる。あの動きからしてただの盗賊ではないし、俺だけを確実に倒すなら団長と一緒になって霧を味方につけて森で袋叩きにした方が確実だ。それもせずにベアトリスを縛って数人で囲み外で待っていたのは、ベアトリスを攫おうとしていたんじゃないか?
「ベアトリス、ちょっと話があるんだけど」
「何?」
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる