2 / 4
透明少女症候群・2
しおりを挟む
「でさー、先週末くらいからなんだけど。お父さんもお母さんもなんかよそよそしいわけ」
3年4組の教室は、閑散としていた。
受験対策シフトを組んだ学年主任の計らいで、秋以降は自由出席になっている。クラスで朝から出席しているのは、およそ半分。
「まあ親である以前に夫婦でもあるしさあ。そういうことも…」
親友の咲は「4月生まれ」ということもあり、早々に有名校への推薦入学を決めた。早く18歳になるからって、そこまで有利なのはどーなの?と思う。生まれた季節で有利不利が分かれるのは、フェアじゃないよね。どこかで線を引かないと社会が回らないってこともまあ、わかるんですけど。
「……ところで真布由って、そろそろ誕生日なんだっけ」
「うん。てか明日~」
「だよね。うん……そう。わかってる」
「んー?どゆこと?? 祝ってよー」
「嬉しくて、悲しくて、寂しい……かな」
「なにその唐突なポエム笑」
急によそよそしくなった咲が自分の席に戻っていく。
まもなく一限が始まる。一限は倫理。受験科目に使わない人も多いから、今日はみんな遅いのかもしれない。
「みなさんの年頃は、人生でいちばん、不安で、不安定でーー」
毎回「なぜこの勉強をするか」みたいな切り口から授業を始めるのが成美先生のスタイルだ。数少ない聴講者は、それをわかっている側の生徒たち。
「今日は透明少女症候群の社会的解釈と研究結果についてーー」
思春期の少女が「消える」ようになったのは、とある分野の研究で「恋愛感情の物質的質量」が観測されるようになってからだ。
3年4組の教室は、閑散としていた。
受験対策シフトを組んだ学年主任の計らいで、秋以降は自由出席になっている。クラスで朝から出席しているのは、およそ半分。
「まあ親である以前に夫婦でもあるしさあ。そういうことも…」
親友の咲は「4月生まれ」ということもあり、早々に有名校への推薦入学を決めた。早く18歳になるからって、そこまで有利なのはどーなの?と思う。生まれた季節で有利不利が分かれるのは、フェアじゃないよね。どこかで線を引かないと社会が回らないってこともまあ、わかるんですけど。
「……ところで真布由って、そろそろ誕生日なんだっけ」
「うん。てか明日~」
「だよね。うん……そう。わかってる」
「んー?どゆこと?? 祝ってよー」
「嬉しくて、悲しくて、寂しい……かな」
「なにその唐突なポエム笑」
急によそよそしくなった咲が自分の席に戻っていく。
まもなく一限が始まる。一限は倫理。受験科目に使わない人も多いから、今日はみんな遅いのかもしれない。
「みなさんの年頃は、人生でいちばん、不安で、不安定でーー」
毎回「なぜこの勉強をするか」みたいな切り口から授業を始めるのが成美先生のスタイルだ。数少ない聴講者は、それをわかっている側の生徒たち。
「今日は透明少女症候群の社会的解釈と研究結果についてーー」
思春期の少女が「消える」ようになったのは、とある分野の研究で「恋愛感情の物質的質量」が観測されるようになってからだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる