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1日目

06

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少女は僕の顔面を足で踏みつけた。足の面積が小さいためか意外と強い圧力が掛かっている。

「目付きが反抗的じゃない?」

口元に指を当てきゃるんと戯けた表情で、彼女は僕の眼球を踏んでいた。緩急をつけて体重を乗せている。全身が弛緩している僕は痛覚も鈍くなっているのか、ただ圧を感じるのみだ。しかし、これまで感じたことのない強さで眼球を圧迫されているのは間違いない。

「いま潰してもつまらないかも?」

彼女はそういって足をどけた。そして、僕の顔面のちょうど真上で口を突き出す格好をとった。

唾液が、唇に溜まっている。それはゆっくりと水滴の形をとって、とろーりと落下した。

「おじさんと違ってさあ、あんまり汚いよだれとか出てこないんだよね」

唾液は僕の額に落下して、鼻筋を伝って最後は右頬を垂れていった。

「もしかしてご褒美になっちゃった?」

彼女は全裸で横たわる僕の下腹部をチラりと見た。薬が何かで麻痺しているため、当然反応はない。いや、そうでなくとも反応し得ない、と主張したい。

「……つっっまんない」

興味をなくしたのか、彼女は僕を置き去りにして部屋を出ていった。

なにもない一畳余りの部屋に、僕だけが残される。
遠くの方で車の走行音が聞こえた気がした。気のせいかも、知れなかった。
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