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1日目

02

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生活感のない部屋というのはそれだけで異質な存在だ。生活感が生まれようもないこの小部屋は、いったいどういった機能を求めて造られたのか想像もつかない。

フローリングの床。天井にひとつだけの電灯。白い壁、小さなドア。トイレに接続している背後の扉は一般的なサイズだ。対して、恐らく出入り口とみられるドアは腰の高さほどしか縦幅がない。

その雰囲気どおり、ドアは施錠されていた。つまり僕は閉じ込められているということになった。ポケットをまさぐるも、財布も携帯もない。煙草もない。不安が思考に追いつき始める。これは明らかにおかしい状況だ。

ストレスを感じてすぐに腹が痛くなった。トイレだけは近くにあるというお情け程度の安心感。後ろ手にトイレの引き戸をスライドしながら部屋を隅々まで見渡す。小さくなるクスリもなさそうだ。アリスの世界ほど縮尺が狂ってもいないが。

僕は腹の奥を軋ませながら、無様な音を立てて用を足した。小部屋を視界にいれるのが怖くてトイレの扉はすべて閉めた。便座に座ったまま考える。僕は昨夜泥酔していたらしい。会社の飲み会が終わり、タクシーを拾うため街を歩いていたところまでは記憶にある。コンビニに寄ってアイスを買い、貪り喰いながら歩いていたはずだ。途中タクシー代が惜しくなって徒歩帰宅に切り替えたかもしれない。そうだ、それで気持ち悪くなって公園のトイレに寄ったんだ。おそらくはそこで胃の中のものをすべて吐いたはずなんだが。そのあたりからは記憶がない。

ここが公園であるはずもないだろう。経験上、記憶をなくしても財布と携帯はなくさないはずなんだが。とにかく妙な点が多い。

顔を両手で覆いながら俯いて考えていると、隣の部屋でかちゃりと音がした。扉が開いたに違いない。僕はズボンを上げて水を流しおそるおそるトイレを出た。

そこには小学生くらいの女の子がひとり、いた。
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