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3カ国会議 パート3
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「さすがロード国王様、見事な配分でございます」
グリムはロード国王に賛辞の言葉を述べる。
「・・・」
シメーレは呆れて何も言わない。しかし、ロード国王の傲慢な態度は想定済みなので怒りも湧いてこない。
「これで今回の議題は終了だな。しかし、せっかく強固たる意思で繋がった3カ国が集まったのにこれで終わるのも開催国として申し訳ない。そこでだ、今から面白い余興を始めることにする。おい!例の者を用意させろ」
ロード国王の呼びかけに応じて扉が開いた。
「ロード国王様ヒーリンを連れてきました」
ヒーリンは両手を縄で縛られ口には猿轡をされ全裸の状態で騎士に連れらて部屋に入ってきた。
「今回のゴブリンキング討伐で、デンメルンク王立学院の名誉ある赤マントを授与されたにも関わらず、ゴブリンキングに無様にも殺されて、頭だけ帰ってきた不届き者がいる。そいつにはそれ相応の罰を与えないといけない。しかしだ!当の本人は死んでしまっているので罰することができない。なので、代わりにケルトの妹であるヒーリンに責任を取ってもらうことにした」
「ロード国王様、それは最もな意見でございます。たとえハイドランジア国の王子殿下であっても、差別することなく適正な処分をするのは公平な判断であります」
グリムはニヤニヤと下品な笑みを浮かべながらヒーリンの体を舐め回すように見ている。
「さて、この女にはどのような処罰をするかは考えておるが、こいつはまだ生娘であるらしい。なので、まずはグリム国王に、この女に女として喜びを教えてやってもらおうかと考えておる。女としての喜びを知らずに拷問を受けて死ぬのもあまりにも可哀想であろう。これが俺の弟であるケーニヒの娘にしてやれる最大の温情だ」
「さすがロード国王様、なんて慈悲のある言葉なのでありましょうか・・・私はその大役を引き受けることにしましょう」
グリムは興奮を抑えきれずに今にもズボンを脱ぎ出しそうである。
「グリム国王この女が本当に生娘であるか俺のこの指で確かめてやる」
ロード国王は静かに立ち上がり、全裸で震えているヒーリンの元へ近寄り、またぐらに手を伸ばす。
「ちょっと待つのよ」
しばらく口を閉ざしていたシメーレが声を上げる。
「なんだ。邪魔をするな!」
ロード国王は鋭い眼光でシメーレを睨みつける。
「先ほどから私への報酬が少ないのではないのでしょうか?」
「はぁ~何を言っているのだ!怪物のお前に少しでも報酬を与えてやった俺の寛大なる心が理解できないのか!あまり調子に乗ると痛い目を見ることになるぞ」
ロード国王は、後ずさりしながら目一杯の虚勢を張った。
「痛い目・・・それは私に対する宣戦布告として受け止めてもよろしいのでしょうか?」
シメーレは不気味な赤い瞳でロード国王を睨みつける。
「ふざけるな!俺はお前のような小国を相手にするほど器は小さくないぞ。俺が相手にするのはもっと大きな国でないとバランスが取れないだろう。だから、今の言葉は聞き流してやる」
ロード国王はルクバーの後ろに急いで隠れる。
「ルクバー、何かあったら俺を全力で守れ」
ロード国王は周りを気にすることなく大声で叫ぶ。
「わかりました。しかし、彼女は強いですよ」
ルクバーは静かに答える。
「女性の後ろに隠れるなんて、なんて小心者なのですか?男性なら女性を守るくらいの心いきを見せて欲しいモノですわ」
シメーレはタナトスから飛び降りてゆっくりとロード国王のもとへ歩き出す。
「お前何をしているのかわかっているのか!デンメルンク王国と全面戦争になってもいいのか!」
ロード国王はルクバーの後ろから震えながら叫ぶ。
「私は報酬が少なすぎると言っているのよ。私が満足できるだけの報酬の配分がなされたらおとなしく国へ帰るわ」
「何が不満なのだ。俺は寛大なる報酬を与えたはずだ。それにケルトを始末した報酬であるゴブリンの森の統治権を与えると言っただろう」
ロード国王はシメーレにビビりすぎて、ケルトの殺害依頼まで言ってしまう。そして、その言葉を聞いたヒーリンがシメーレの方を怒りに満ちた表情で見た。
「この場でそれを言うかしら?私がケルト王子殿下を殺害したのならヒーリン王女殿下を罰するのはおかしいのではないのですか?」
シメーレは呆れ顔でロード国王に詰め寄る。
「やかましい。ゴブリンキングであろうが怪物王女であろうが、ケルトが失態を犯したことに間違いはない!だから、あの女を罰する値するのだ。そうだろグリム王」
「そ・そ・そうでございます」
グリムは一度下げたズボンを戻し、巻き添いを喰らいたくないがロード国王に意見する事もできず、とりあえず同意した。
「グリム国王様、発言には責任を持たなければいけませんわ。もし、あなたもロード国王様の意見に賛同するのであれば、私はあなたも敵だと認定させていただきます」
シメーレの不気味な赤い瞳で睨まれたグリムは蛇に睨まれた蛙のように死がよぎった。
「シメーレ王女殿下様、あなたは何がお望みなのかしら?」
ロード国王とグリムがビビり倒しているのを見て、仕方なくルクバーが口を開いた。
「私は領土などは全く興味はありませんのよ。しかし、同じ女性が虐げられるのは黙って見過ごすわけにはいきません。なので、ヒーリン王女殿下を私にくれませんか?」
ヒーリンはシメーレの言葉に耳を疑った。「兄を殺しておきながら自分を助ける?」と心の中で思っていた。
ルクバーはシメーレの言葉を聞いてロード国王に耳打ちした。
グリムはロード国王に賛辞の言葉を述べる。
「・・・」
シメーレは呆れて何も言わない。しかし、ロード国王の傲慢な態度は想定済みなので怒りも湧いてこない。
「これで今回の議題は終了だな。しかし、せっかく強固たる意思で繋がった3カ国が集まったのにこれで終わるのも開催国として申し訳ない。そこでだ、今から面白い余興を始めることにする。おい!例の者を用意させろ」
ロード国王の呼びかけに応じて扉が開いた。
「ロード国王様ヒーリンを連れてきました」
ヒーリンは両手を縄で縛られ口には猿轡をされ全裸の状態で騎士に連れらて部屋に入ってきた。
「今回のゴブリンキング討伐で、デンメルンク王立学院の名誉ある赤マントを授与されたにも関わらず、ゴブリンキングに無様にも殺されて、頭だけ帰ってきた不届き者がいる。そいつにはそれ相応の罰を与えないといけない。しかしだ!当の本人は死んでしまっているので罰することができない。なので、代わりにケルトの妹であるヒーリンに責任を取ってもらうことにした」
「ロード国王様、それは最もな意見でございます。たとえハイドランジア国の王子殿下であっても、差別することなく適正な処分をするのは公平な判断であります」
グリムはニヤニヤと下品な笑みを浮かべながらヒーリンの体を舐め回すように見ている。
「さて、この女にはどのような処罰をするかは考えておるが、こいつはまだ生娘であるらしい。なので、まずはグリム国王に、この女に女として喜びを教えてやってもらおうかと考えておる。女としての喜びを知らずに拷問を受けて死ぬのもあまりにも可哀想であろう。これが俺の弟であるケーニヒの娘にしてやれる最大の温情だ」
「さすがロード国王様、なんて慈悲のある言葉なのでありましょうか・・・私はその大役を引き受けることにしましょう」
グリムは興奮を抑えきれずに今にもズボンを脱ぎ出しそうである。
「グリム国王この女が本当に生娘であるか俺のこの指で確かめてやる」
ロード国王は静かに立ち上がり、全裸で震えているヒーリンの元へ近寄り、またぐらに手を伸ばす。
「ちょっと待つのよ」
しばらく口を閉ざしていたシメーレが声を上げる。
「なんだ。邪魔をするな!」
ロード国王は鋭い眼光でシメーレを睨みつける。
「先ほどから私への報酬が少ないのではないのでしょうか?」
「はぁ~何を言っているのだ!怪物のお前に少しでも報酬を与えてやった俺の寛大なる心が理解できないのか!あまり調子に乗ると痛い目を見ることになるぞ」
ロード国王は、後ずさりしながら目一杯の虚勢を張った。
「痛い目・・・それは私に対する宣戦布告として受け止めてもよろしいのでしょうか?」
シメーレは不気味な赤い瞳でロード国王を睨みつける。
「ふざけるな!俺はお前のような小国を相手にするほど器は小さくないぞ。俺が相手にするのはもっと大きな国でないとバランスが取れないだろう。だから、今の言葉は聞き流してやる」
ロード国王はルクバーの後ろに急いで隠れる。
「ルクバー、何かあったら俺を全力で守れ」
ロード国王は周りを気にすることなく大声で叫ぶ。
「わかりました。しかし、彼女は強いですよ」
ルクバーは静かに答える。
「女性の後ろに隠れるなんて、なんて小心者なのですか?男性なら女性を守るくらいの心いきを見せて欲しいモノですわ」
シメーレはタナトスから飛び降りてゆっくりとロード国王のもとへ歩き出す。
「お前何をしているのかわかっているのか!デンメルンク王国と全面戦争になってもいいのか!」
ロード国王はルクバーの後ろから震えながら叫ぶ。
「私は報酬が少なすぎると言っているのよ。私が満足できるだけの報酬の配分がなされたらおとなしく国へ帰るわ」
「何が不満なのだ。俺は寛大なる報酬を与えたはずだ。それにケルトを始末した報酬であるゴブリンの森の統治権を与えると言っただろう」
ロード国王はシメーレにビビりすぎて、ケルトの殺害依頼まで言ってしまう。そして、その言葉を聞いたヒーリンがシメーレの方を怒りに満ちた表情で見た。
「この場でそれを言うかしら?私がケルト王子殿下を殺害したのならヒーリン王女殿下を罰するのはおかしいのではないのですか?」
シメーレは呆れ顔でロード国王に詰め寄る。
「やかましい。ゴブリンキングであろうが怪物王女であろうが、ケルトが失態を犯したことに間違いはない!だから、あの女を罰する値するのだ。そうだろグリム王」
「そ・そ・そうでございます」
グリムは一度下げたズボンを戻し、巻き添いを喰らいたくないがロード国王に意見する事もできず、とりあえず同意した。
「グリム国王様、発言には責任を持たなければいけませんわ。もし、あなたもロード国王様の意見に賛同するのであれば、私はあなたも敵だと認定させていただきます」
シメーレの不気味な赤い瞳で睨まれたグリムは蛇に睨まれた蛙のように死がよぎった。
「シメーレ王女殿下様、あなたは何がお望みなのかしら?」
ロード国王とグリムがビビり倒しているのを見て、仕方なくルクバーが口を開いた。
「私は領土などは全く興味はありませんのよ。しかし、同じ女性が虐げられるのは黙って見過ごすわけにはいきません。なので、ヒーリン王女殿下を私にくれませんか?」
ヒーリンはシメーレの言葉に耳を疑った。「兄を殺しておきながら自分を助ける?」と心の中で思っていた。
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