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ゴブリンキング討伐 パート25
しおりを挟む「頭で大剣を潰すなんて・・・」
ダイモス大佐が腰を抜かして驚いている。
「やはり怪物ですね」
「そうみたいです。さっきまで無双していたゴブリンキングが呆気なく降伏をしているわ」
「なぜ、ゴブリンキングは降伏したのですか?」
「怪物王女がゴブリンキングを討伐したら、ゴブリンの森の統治権は怪物王女のモノになるのです。ホビット捕獲以外にメリットのないこの森にロード国王は怪物王女の嘆願を許諾したらしいわ。だから、ゴブリンの森の保護でも約束したかもしれません」
「そういうことですか・・・しかし、他の国に統治権を与えるなんてロード国王様も寛大ですね」
「そんなことはありません。統治権を認める代わりに莫大な税金を徴収するらしいです。ロード国王様が自分にメリットのないことなんて絶対にするはずがないのです。統治権を与えると言った約束も守るかどうかも疑問です」
「もし嘘だったらどうなるのでしょう」
「あの怪物と戦争する事になるでしょう」
「それは大変まずいです」
「そうです。だから私がここで監視しているのです。あの圧倒的な強さをロード国王様に報告しないといけません」
「そうしてください。あんな化け物を相手にするのは嫌です」
「私も嫌です」
「ダイモス大佐様、ゴブリンキングの討伐は完了しましたわ」
親であるタナトスの背に乗りシメーレが戻ってきた。タナトスの左右には細身の男とモルカナが四つんばで歩いている。
「ご苦労様ですシメーレ王女殿下様、ゴブリンキングの討伐の証として、ゴブリンキングを殺して頭だけをロード国王様に献上するのではなかったのでしょうか?」
「確かにそのような約束でしたわ。しかし、貴重なゴブリンキングを殺すにはもったいないので、私の下僕にすることにしましたわ。何か問題があるのですか?」
「わかりません。ロード国王様の判断に委ねます。それと、もう一件の依頼の方はどうなりましたか?」
「これね」
シメーレは収納ボックスからケルトの頭を取り出した。
「これは間違いなくケルト王子殿下すね。これでロード国王様も満足されると思います」
「では、あなたにこの頭は預けるわね」
「はい。これで任務は全て完了です。ゴブリンキングを連れて王都へ戻りましょう」
「了解よ」
シメーレはケルトの殺害とゴブリンキングを討伐してデンメルンク王国の首都に戻ることにした。
「怪物王女が乗っているあの人間は誰なのですか?」
「あれはユスティーツ国のタナトス国王で怪物王女の父親です。
「そうなのですか・・・父親を馬の代わりにするなんて、やはり怪物ですね!」
「そうね。怪物王女とタナトス国王に何があったのかは知らないけど、タナトス国王はかなりえげつないことをしていたみたいだから、国民は喜んでいる見たいです」
「本当ですか!」
「本当です。それに怪物王女がユスティーツ国の国王の代理をするようになってからは、4カ国同盟の裏切り国のアストラガルス国を滅ぼし、その後、大国であるエールデアース帝国を撃退しました」
「確か、エールデアース帝国の3大将の1人であるバトルクワイ大将を再起不能にしたとか?」
「そうみたいです。あくまで推測情報であったけれども、あの強さを目の前にしたら信用せざる得ないです」
「このままデンメルンク王国も乗っ取られるのではないのですか?」
「その可能性は少ないでしょう。この国を乗っ取るのならこんなまわりくどいことはしないはずです。もしかしたら怪物王女はゴブリンの森に何か目的があるのかもしれません」
「ゴブリンの森に何があるのでしょうか?」
「わかりませんわ。しかし、絶対に何かあると思います」
「もしかしたらディスピア王女の失踪も関係あるのですか?」
「そうかもしれません。ゴブリンの森には何かあるはずです」
ゴブリンの森には何があるのか不安を抱きながらダイモス大佐も王都へと戻って行った。
ゴブリンキング討伐作戦はデンメルンク王国の第3騎士団はダイモス大佐と1名の部下以外は全て死亡、第4、第5騎士団はすぐに撤退してので全滅は免れた。ゴブリン側は、ガロファー、カレンドゥラが死亡し、イネス、アザレアが瀕死の状態であるが命は取り留めることができた。そして、ゴブリンキングのモルカナは支配状態になり、ゴブリンの森はシメーレの支配下に置かれた。
デンメルンク王国の騎士団が去った後、シメーレに殺されたと思われていたクリムゾンがスッと立ち上がった。
「あいつの話を信じて良かったのだろうか・・・」
「しかし、これしか方法はなかったのだろう」
「あいつは親父がバリアシオン国にいた頃の知り合いらしい」
「ああ、何度か聞いたことはあったよな。人間なのに獣人の国で修行をしている少女がいると」
シメーレとモルカナはバリアシオン国で共に獣人国家で修行に励んだ仲間であった。
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