終焉の姫と聖女の姫

ninjin

文字の大きさ
上 下
43 / 54

ゴブリンキング討伐 パート19

しおりを挟む
 モナークはニタニタを笑いながら戦いの場に戻る。


 「お!あのナイスボディのゴブリンが倒れているではないか」


 モナークはランチェ兄弟に背中を突き刺されて背中から多量の血を流して瀕死のイネスを発見した。


 「死んでいるのか」


 モナークはイネスを蹴り飛ばす。
 
 イネスは多量の出血で意識は失っているがかろうじて息はあるみたいである。背中の刺し傷はかなりの深傷であり自己再生でも回復が追いつかないようだ。


 「まだ少し息があるのかぁ。さすがゴブリンだゴキブリ並の生命力だな。俺がトドメをさしてやるか」


 モナークはイネスに馬乗りになり必要以上に顔面を殴りつける。


 「ガハハハ・ガハハハ・なんて気持ちが良いのだ。もう、我慢できないぞ」


 顔面を肉ダルマのように腫れたイネスを見てモナークの興奮は止まらない。モナークはイネスの鎧を強引に剥ぎ取りイネスを全裸にした。

 全身血まみれのイネスの全裸を見てモナークは涎を垂らしながら、イシスの豊満な胸を鷲掴みにする。


 「良いもの持っているじゃないか!味見をしてやるぞ」


 イシスの胸を荒々しくモミしごき、イシスの綺麗なピンクの乳首を激しくしゃぶりだす。


 「たまらないぜ・・・」


 モナークは下半身の武具を脱ぎ捨てて、イシスの股を開いて大きくなった自分の性器をぶっ込んだ。そして、激しく腰を動かして愉悦の笑みを浮かべる。


 「どうだ。どうだ。人間様のナニは最高だろ。俺が死ぬ前に天国に連れて行ってやるぜ」

 
 モナークは、戦場の真ん中で剣でなく腰を振るのであった。



 両手をあげて戦闘の意思をないことを示すシュヴァリエを目にして、ガロファーの気持ちが揺らぐ。しかし、ふとイネスの方を見ると、男に蹂躙されるイネスの姿が目に入る。


 「お前はあれを見ても襲撃を止めると言えるのか。少しでも人間の言葉を信用しようとした俺が馬鹿だったぜ」


 シュヴァリエは後方を見た。後方ではモナークがイネスを蹂躙している姿があった。


 「あのバカは何をやっているのよ・・・」


 一方、第3・第4騎士団は大切な飲料水を運び終えアザレアに放水しよとしていた。


 「何をしているのですか」


 ランチェが騎士に問いかける。


 「はい。ランチェ中佐殿。あのゴブリンは炎を纏っています。このままでは近寄ることはできません。なので、水をかけて炎を消す事にしました」




 アザレアの周りにはアザレアの炎を顧みず、無謀にも勝負を挑んだ騎士の数名が炎上して命を落としていた。


 「ここは絶対に通さないわ!」


 アザレアは近寄る者に『火炎球』を容赦なく放つ。


 「早く水を持ってこい。これ以上耐えきれないぞ」


 騎士達の悲痛な叫び声が轟く。


 「今水を持ってきたぞ。すぐに放水するぞ」


 水を運んできた騎士達が次々と水を投げつける。その様子を呆れた顔でランチェ兄弟が見ている。

 必死で大切な飲料水をアザレアにかけるが全く炎が消える気配はない。そしてアザレアも気づいた。イネスが蹂躙されていることを。


 「お前達人間はなんて酷いことするのですか。イネスから離れなさい!」


 アザレアを纏う炎はみるみる大きくなっていく。


 「そんなに巨大な炎をどうするのですか?仲間もろとも焼き尽くすのですか?」


 アザレアの前にランチャが立ちはだかる。


 「すぐに辞めさせなさい」


 アザレアの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちている。


 「それはできません。敗者はあのようになることは仕方がないことなのです」

 
 アザレアは全身に纏っている炎を火炎球に変えてランチェに放つ。アザレアの固有能力『爆炎』は炎を自在に操ることができる。

 50cmほどの火炎球が次々とランチェを襲う。火炎球に包まれたランチェは激しく燃え上がる。近くにいた騎士達は慌てふためいて逃げ惑う。


 「巻き添えをなるぞ。急いで逃げろ~」


 逃げ惑う騎士を無視してアザレアは無我夢中でイネスの元へ向かう。


 「死ね!」


 コンチェが無防備なアザレアの背中に剣を突き刺す。


 「邪魔をしないで!」


 アザレアは背中に刺さった剣も気にせず、振り返りコンチェの体を炎の拳で殴りつける。しかし、もうそこにはコンチェの姿はない。

 
 「氷結球」


 アザレアの死角から先程ほど燃え上がっていたはずのランチェが氷結魔法を使う。ランチェの氷結球がアザレアの背中の刺し傷に命中する。燃え上がっていたのはランチェ幻影であった。


 「あぁぁぁぁ~」

 「良い声を出すではないか!」


 悲鳴をあげたアザレアを嘲笑うかのようにコンチェが言い放つ。そして、苦痛に歪んだアザレアの額に剣を突き刺す。


 「うぉおおぉぉ~~」


 額から血が吹き出しているアザレアは全身の力を振り絞って炎の温度を上げてコンチェを抱きしめて焼き尽くそうとする。アザレアに抱きしめられたコンチェはスライム状になりドロドロを解け始める。

 アザレアはコンチェがドロドロの液体状になった姿を確認すると渾身の力で立ち上がる。そして、振り返りランチェと対峙する。


 「氷結球」


 ランチェは再び氷結球をアザレアに目掛けて発射する。しかし、アザレアが纏った炎の温度は上昇しているので氷結球は溶けてしまう。


 「レベル1の氷結球ではダメみたいですね」

 「そこをどきなさい」

 「どうぞ。私の氷結球が効かないのならもう術はありません」

 
 ランチェはさっと道を譲る。アザレアは走ってイネスの元へ駆け寄る。


 「氷結球」


 ランチェは背後から氷結球を放つ。しかも先ほど数倍もある大きな氷結球を。大きな氷結球を背後からくらったアザレアの背中が凍りつく。


 「次こそ死ね」


 凍りついた背中にコンチェが剣を突き刺す。

 アザレアの背中からは鮮やかに血が噴き出す。そして、そのまま倒れ込む。


 「ゴブリンが単純な生き物でよかったぜ」


 先ほど溶けて亡くなったのはランチェの作ったコンチェの幻影であった。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...