終焉の姫と聖女の姫

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ゴブリンキング討伐 パート18

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 「上手くいったな」

 「初見では俺らのコンビニーションを見破るのは無理だぜ」

 
 ランチェが幻影魔法をで相手を翻弄して、コンチェがトドメを刺すという。1対1の戦いと見せかけて2人で戦うという卑怯なやり方である。コンチェは『忍び』という称号を持っているので、『忍び』は自身の気配を消す『認識阻害』を得意とし、またスピードにも特化した称号である。


 「次はあの炎のゴブリンです」

 「幻影でなんとかなるか?」

 「このゴブリンの幻を見せてあげましょう」

 「わかった。お前がアイツのスキを作ったところで俺がトドメを刺すぜ」

 「わかりました」




 一方、ガロファーとシュヴァリエの戦いは、ガロファーの力の前にシュヴァリエの防戦一方になっていた。ガロファーの強靭なパワーの前にシュヴァリエは回避するのが精一杯であった。


 「逃げてばかりだと俺を倒すことはできないぞ」

 「別にこれでいいのよ。それに、私の目的はあなたと話をすることなのよ」

 「どういことだ」

 「6年前にこの辺りに王女様を連れた馬車は来なかったかしら?もし、見かけたなら教えて欲しいのよ」


 ガロファーの動きが一瞬止まる。


 「何か知っているのね」


 シュヴァリエはガロファーの動きの変化を見逃さない。


 「知らない」

 「嘘よ。何か知っているはずよ。あなたは少し動揺をしていたわ」

 「もし、知っていたとしても何も話すことはない」

 「あの馬車には私の妹が乗っていたのよ。それに、馬車の護衛には私の婚約者もいたのよ。あれから6年も経つのになんの手がかりもないの。お願い知っているのなら教えてちょうだい。もし教えてくれたのなら、私たちはゴブリンの村の襲撃を止めるわ」


 シュヴァリエは槍を置いて両手を上げた。




 「早く俺の腕を治せ!」

 「そんなに慌てないでください。すぐに治してあげます」


 真っ白な修道服を着た女性がモナークの腕の治療を行う。


 「どれくらいかかるのだ!」

 「すぐに治すこともできますが、魔力がかなり消費してしまします」

 「構わん。この腕さえ治れば後のことなどどうでもいい」

 「わかりました。すぐに治します」


 キュアはモナークの折れた腕を治療した。


 「よし、痛みは無くなった。腕も正常に動くぞ」

 「完全に治りましたので問題はありません。しかし、一気に魔力を使いましたので、他の方の手当てはできなくなります」

 「俺以外の雑魚を治しても意味はない。お前は俺だけを治療すればいいのだ」

 「わかりました」

 「俺にブーストをかけてくれ」

 「しかし・・・」

 「俺の命令が聞けないのか?」

 
 キュアはそっとダイモスの方を見る。ダイモスはキュアの言いたいことを理解してゆっくりと頷いた。


 「わかりました。ブーストをかけれるのは一日一度だけです。時間も15分程度です。ゴブリンキングが現れても、もうその時には使えませんが、本当によろしいいのでしょうか?」

 「構わん。あの生意気なゴブリン達に俺様の本当の強さを見せつけてやるのだ。そして、俺に刃向かったことを後悔させるためにも地獄のような苦しみを与えてやるのだ」

 「では、ブーストをかけます。これで、私も全ての力を使い果たしますので、この場から退かせてもらいます」

 「好きにしろ。ブーストを使った俺に勝てるモノなど存在しないわ」


 ブーストとは身体の限界を超えた強化することができる特殊スキルである。『治癒師』の称号を持つ者で、長年の修練を積むことで発動する特殊スキルである。一日一度のみ使用でき15分程度の効果しかない。

 モナークは自身の魔法での身体強化、『覇王』レベル1での身体強化、そして、ブーストによる身体強化により、全身の血管が浮き出て体は今にも破裂しそうなくらいに筋肉でパンパンに腫れ上がっている。肌の色も紫に変色して明らかに人間とは思えないような体つきになった。

 モナークはすぐに戦いの場に戻って行った。


 「はぁ~あのダメ王子にも困ったものですわ」


 キュアはダイモスに愚痴る。


 「そうですね。第3騎士団はモナーク王子様の専属の部隊。誰もがあの王子のお守りをするのは嫌がっていますからね。しかし、私もヘマをしてこの有様です。王子の悪口を言える立場ではありません」

 「確か、村の門を守るゴブリン以外にも村の中にはあなたの雷を撃破する強いゴブリンがいるのでは、このままだと怪物王女様が来る前に全滅もあるのでは?」

 「それは大丈夫です。もしものためにあの雷の魔法陣にはトラップを仕掛けています」

 「反射ですか?」

 「はい。6つの魔法陣全てに反射を設定していますので、魔法陣を壊すと同時に、その力は自分自身に返ってきているはずです。恐らく2体の魔法を得意とするゴブリンが魔法陣を壊し、そして反射によってかなりのダメージを負っているはずです。なので、村の門を守る3体のゴブリンを倒せばあとは問題ないでしょう」

 「そうなのね。それなら無事に任務を終えることができそうね」

 「あとはランチェ兄弟とシュヴァリエ大佐の頑張り次第です。私はここでいつでも逃げれるように準備をしておきます」

 「逃げる準備って・・・信用してないのですね」

 「あの王子がいるので安心はできません」

 「確かにそうですわ。私は魔力が枯渇したので先に帰らせてもらいます。ダメ王子のために死ぬのは嫌ですわ」


 キュアは騎馬にのり戦場を後にした。
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