終焉の姫と聖女の姫

ゴブリンキング討伐 パート15

　「まずはお前を血祭りにあげてやる。やれダイモス！」

　「わかりました。モナーク王子様」


　ダイモスはゴブリンの村を包囲している騎士達の間から姿を見せたかと思うと瞬時に姿を消してモナークの前に立つ。


　「私の相手はお前ではなくそのピンクアーマをきたご婦人が相手をするのですか」


　カレンドゥラは、モナーク自ら相手をしてくると思っていたので驚きを隠せない。


　「男の相手などしてられん。俺はお前の背後に隠れているメスども蹂躙してやるわ。それにダイモスは見た目は女に見えるが男だぞ。しかも、『大魔導士』の『レア称号』を持つ魔法のスペシャリストだ。ゴブリンオーガのお前でも勝つのは不可能だ」


　モナークは静かに歩き出しカレンドゥラの横を通り過ぎる。


　「さすが、この村を代表者ですね。モナーク王子に少しでも攻撃すれば、その隙にあなたは私の雷で黒焦げになっていたところですわ」

　「俺をここで足止めするのが作戦なのか？」

　「そうね。あなたたちがくだない話しをしているうちに、私の雷は至る所に配備させてもらったわ。あなたがそこから動けば容赦なく雷はゴブリンの村に降り注ぐわよ」

　「もう、いい頃合いだろう」


　カレンドゥラは、大地を蹴って素早い動きでダイモスとの距離をゼロにして、渾身の一撃をダイモスの顔面にぶつける。しかし、先ほどまで目の前にいたダイモスの姿はない。


　「瞬間移動か・・・」

　
　ダイモスは瞬間移動の魔法を使って、10mほど後ろに後退していた。


　「なぜ、私の雷が降り注がない・・・」

　「お前ら人間がやりそうなことはわかっている。お前が配備した魔法陣は全て解除したのだ」

　「ふふ、下等な生き物だと甘く見ていたことを謝罪しよう。私の本当の力を・・・」


　ダイモスが能書きを垂れている瞬間に、カレンドゥラはダイモスに掴みかかり体を抑え付けた。そして、カレンドゥラは体を膨張させて大爆発を起こした。凄まじい爆風でゴブリンの村を取り囲んでいた騎士達は吹き飛び、『称号』のない兵士たち数名は爆風の勢いで命を落とす。


　「自爆だと。これだから下等な生き物は馬鹿なのだ。私が瞬間移動できるのを理解できていなかったのかしら？少しあいつらの知能を認めてあげたのにガッカリだわ」


　ダイモスは爆発と同時に瞬間移動をして、直接爆発の威力からは難を逃れることができた。


　「皆さん、ゴブリンの村を守護するバカは自滅してしまったわ。今から、モナーク王子に続いてゴブリンの村を襲撃するわよ。みんな好きなだけ暴れてもいいわよ。モナーク王子のお墨付きよ！」


　ダイモスは第3騎士団に号令を掛ける。


　「ダイモス大佐殿！その体にまとわり付いている光の円は何なのですか？」


　ダイモスは自分の体を見ると光の円が体覆うようにまとわり付いていた。


　「これは・・・あのゴブリンもバカではなかったようね」


　ダイモスにまとわり付いているのは光の円は魔法を封じる『魔封じの円』である。しかし『大魔導士』の『レア称号』を持つダイモスの魔法を封じるには、かなりの高レベルの『魔封じの円』が必要である。

　カレンドゥラは、ダイモスが人間の部隊の中で一番強く一番厄介な相手だと瞬時に判断をして、自分の力では勝てないと悟り自己爆発でダイモスに目眩しをしつつ、カレンドゥラはの固有スキルである。『魔封じの円』レベル3を使用したのである。『魔封じの円』レベル3は最高難度の『魔封じの円』であるので『大魔導士』の称号を持つダイモスの魔法でさえ使えなくするのであった。