終焉の姫と聖女の姫

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ゴブリンキング討伐 パート14

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 「モナーク王子様!ゴブリンの村を偵察してきました」

 「よし、状況を説明しろ」


 モナークたちは以前から入手していた情報により、ゴブリンの村の場所はある程度把握していた。しかし、どの村にゴブリンキングが住んでいるのかまではわかっていない。


 「はい。村には総勢50名ほどのゴブリンがいると思われます。難敵であるゴブリンオーガ・ゴブリンアデージョは6体ほど、ホブゴブリンは20体、残りはホビットだと思われます。残念ながらゴブリンキングはいないと判断しました。

 「そうか。それで美しいゴブリンはいるのか?」

 「はい。ゴブリンアデージョに進化したゴブリンは美貌も知性も兼ね備えると言われています。私が確認したゴブリンアデージョはとても妖艶で美しく、あまりにも艶かしい体に私の興奮を抑えることができませんでした。ゴブリンがこんなに魅力的で美しい生き物だと初めて知りました」

 「ほほう。それは良いことだな。ゴブリンキングを誘き出すための作戦として、ホビットであろうが捕らえたゴブリンのメスは好きにしても良いと皆に伝えろ。しかし、1番の上玉であるゴブリンアデージョは俺がいただく。俺が使用した後は好きにして良い」

 「はい。わかりました。そのように伝えておきます」

 「1時間後にゴブリンの村を襲う。それまでに準備を済ませておけ」

 「わかりました」


 モナークは股間を大きく膨らませながらニヤニヤと嬉しそうに笑っている。


 「ダイモス、今の状況を聞いてどうとらえる」

 「はい。人数的にはこちらはゴブリンたちの倍の100名います。しかし、第5騎士団は『称号』何しの荷物持ち件雑用係です。ホビットすら捕獲するのにかなり苦労するでしょう。なので、こちらの戦力は第3騎士団の30名とシュベリエ大佐と第4騎士団の10名ほどの『称号』持ちだけと言えます。人数的にはさほど差はないと思いますので、ゴブリンたちを統率しているゴブリンオーガをゴブリンアデージョを真っ先に殺せば、統率を失ったゴブリンたちを蹂躙するのは容易いことだと思います」

 「そうか。それなら俺が一番美しいゴブリンアデージョの相手をしてやる。残りはお前たちに任せるぞ」

 「わかりました」



 「モナーク王子様、準備が整いました。いつでも攻め入ることができます」

 「よしわかった。ゴブリンの村に着いたら派手な演出を頼むぞ」

 「任せてください。モナーク王子様の初陣に見合うだけの演出を用意させていただいています」

 「楽しみにしているぞ」


 モナークたちは騎馬に乗りゴブリンの村に向かった。30分後にはゴブリンの村の目の前に陣をとり村の様子を伺っていた。

 ゴブリンたちも人間たちの動きにすぐにキャッチしていた。村長のカレンドゥラは幼いホビットたちを集会所に集め、そこを守るようにゴブリンナイト・ゴブリンメイジが配置されていて、村の入り口付近には、カレンドゥラ、ガロファー、アザレアたち含めたゴブリンオーガ、アデージョの4人が人間たちが来るのを待ち構えていた。

 モナークは1人でゴブリンの村の入り口まで近づいて行く。モナークの姿を確認したカレンドゥラも1人で村の入り口を出てモナークに近づいていく。


 「人間が何しに来たのだ?」


 最初に声を発したのはカレンドゥラであった。


 「亜人風情が人間様と同じ言語を発するのが俺は気に入らない!お前らは家畜の豚のようにブーブーと言っておけばいいのだ」


 カレンドゥラを煽るようにモナークはニタニタと笑いながら言う。


 「私の質問に答えてもらおう」


 カレンドゥラはモナークの挑発に乗ることなく淡々と答える。


 「奥に見えるのはゴブリンアデージョか?いい体をしているではないか。人間様にご奉仕ができるチャンスを与えてやろう。ここでお前が自害して、後ろにいるゴブリンアデージョ2匹を俺に差し出せば、この村は見逃してやっても良い。俺の目的はゴブリンキングだ。雑魚にはようはない」

 「残念ながらその申し出を受けることはできません。村の入り口にいるゴブリンアデージョの1人は私の愛する妻であります。ゴブリンは人間と違って愛を誓った女性1人を死ぬまで愛し続けるのです。その大事な妻を他の誰かに渡すことなどできるわけがないでしょう」


 ゴブリンは人間と違い1人女性を生涯愛し続ける種族である。たとえ、その女性が死んだとしても、他の女性と再婚する概念などない。一度愛を誓った女性とは、魂までも同化されると考えられていて、永遠に共に生きるのである。なので、浮気など存在はしないし、生涯1人の女性としか愛のある行為は行わないのである。

 そもそも、ゴブリンたちは性欲はほとんどなく、セックスは子供を産むための儀式と捉えられている。ゴブリンたちは性欲の代わりに共感によって快感を得ることができ、性行為よりもハグやキスなどによりお互いの気持ちを共感することによって快楽を得るのである。なので、人間たちがゴブリンたちを犯す行為をするのは理解し難いのである。


 「交渉不成立だな」


 モナークはさっと右手を空高く突き上げた。それと同時にドラム音が鳴り響き、デンメルンク王国の国歌を騎士たちが歌い出した。そして、魔法を使えるものは花火のような綺麗な閃光を空にあげて、華々しいパレードのような光景が映し出された。


 「俺はデンメルンク王国の次期国王のモナークだ。お前たち下等種族であるゴブリンは、俺の配下にすらなれない生き物だと自覚しろ。しかし、そこにいるゴブリンアデージョ2人には俺が人間の素晴らしさを教えてもらえる権利を与えてやろう。残りのゴブリン達は人間様の要求を断った罰として、この上ない苦痛と屈辱をプレゼントした上で殺してやる」
 「騎士達よ!心して俺の言葉を聞け!オスのゴブリン達のケツの穴に剣をぶち込んで、極上の快楽を与えて殺してやれ。そして、メスのゴブリン達には俺たちの聖剣をぶち込んで、人間様の素晴らしさを体で感じさせてやれ」

 「おぉぉぉぉ~」


 騎士達は大声をあげてモナークの言葉に答えた。


 「やはり人間は理解し難い生き物だ・・・なぜ神はあのような生き物に力を与えてしまったのだろう」


 カレンドゥラは小さな声でつぶやいた。



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