終焉の姫と聖女の姫

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ゴブリンキング討伐 パート13

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 「シメーレちゃん・・・どうしたのだい?」


 タナトス国王は薄気味悪い姿になったシメーレを見て困惑している。


 「・・・」


 シメーレはタナトス国王の問いかけに応えることなくスッと立ち上がり、薄み悪く真っ赤に光る瞳でタナトス国王をじっと睨みつける。


 「ひ・ひゃっ・・」


  シメーレの不気味な赤い瞳を見てタナトス国王は悲鳴をあげた。


 「お父様、私と決闘をしてくださいませんか?」


 シメーレは引きつるようなぎこちない笑顔でタナトス国王に微笑みかける。


 「ば・・化け物め・・・私の可愛いシメーレちゃんをどこにやったのだ!」


  変わり果てたシメーレの姿を見たタナトス国王は震えながら大声で叫ぶ。


 「あら?お父様。何を言っているのかしら。私は何も変わっていませんわ。それよりも神に誓って神聖な決闘をしてくださいませんか?」


 シメーレからは可愛らしい面影は消えた。そして、ただ不気味な能面のような無表情の笑顔にタナトス国王はただならぬ殺意を感じた。


 「俺は『覇王』レベル3の偉大なる国王だぞ。少し強くなったからと言って調子に乗るな!」


 豚のように丸々と太ったタナトス国王であるが、すぐさまに白いオーラを纏い身体強化を図り、赤いオーラを使い光り輝く光線を瞬時に発射した。


 「決闘の開始だぁ。死ね化け物め!」


 光り輝く光線はタナトスの決闘の了解の言葉と同時に発射され、瞬時にシメーレの胸を突き刺した。


 「お父様は相変わらずせっかちですね。そんなに急いで発射しないでも、私が丁寧に愛撫をして差し上げますのに」


 タナトスの放った光の光線は、シメーレの胸に突き刺さったかのように見えたが、実際はシメーレの体に吸収されるように消えていった。


 「魔力吸収だと・・・そんなのありえない」

 「お父様の大事な液体は私が残さずに綺麗に飲み込んであげますわ。お父様もそれがお望みでしょ」

 「ふざけるなぁ」


 タナトスはシメーレの悍ましい力に恐怖し、豪華で煌びやかな寝室内で特大の火炎球をシメーレに放つ。

 しかし、火炎球で全身を炎に包まれるがシメーレは全く苦痛を感じないどころか不気味な笑みを浮かべて笑っている。


 「お父様、こんなところで火遊びするなんて悪い子ね。悪い子には大きな肉棒を突き刺さないといけないと私に教えてくれましたよね」

 「なぜだ、なぜ火炎球が効かないのだ!」

 「なんでも教えを乞うのは良くないと私に言ってましたよね。どうやったら気持ち良くなれるのか、体に教えるのが一番だと言って、私の体を隅々まで荒々しく愛撫してくださいましたよね。今回は私がお父様の体に特大の火炎球をプレゼントしてあげるわね」

 「やめろ!やめてくれ・・・俺の負けだ。負けを認める」


 タナトスは全く魔法の効かないシメーレの姿を見て勝てる見込みはないと判断して、両膝をついて命乞いを始めた。


 「王位はお前に譲る。だから命だけは取らないでくれ」

 「負けを認めるのですね」

 「そうだ、お前の勝ちだ。この国はお前にやる。だから以前のような素直なお前に戻ってくれ」

 「わかったわお父様。昔のようにお父様に従順な私に戻ってあげるわよ」


 シメーレの能面のような笑顔から、以前のような眩しい可愛らし笑顔に変わった。


 「おぉ~私の可愛いシメーレちゃん。昔のように一緒に気持ちのいいことをしようね」


 昔の可愛らしい笑顔に戻ったシメーレを見たタナトス国王は、以前のシメーレに戻ったと思い、スッと立ち上がりシメーレに近寄り強く抱きしめる。シメーレもタナトス国王を包み込むように抱きしめ、お互いの温もり感じている。


 「お父様、これは私からのプレゼントですわ」

 
 そう言うとシメーレは黒い首輪をタナトス国王に付ける。


 「シメーレちゃん?これは首輪はなんだい?国王がつけるにはあまり良いデザインとはいえないよ」

 「それは支配の首輪よ」

 「支配の首輪だと!」


 タナトスの顔が青ざめる。そして、首輪を外そうとすると、全身に激しい電流が流れる。


 「グギャーーーー」

 「お父様、支配の首輪は私以外は外すことはできませんわ」

 「これを外せ!!!グギャーーーーー」

 「お父様、支配の首輪をつけられた者は絶対にご主人様には逆らえないのご存知ではなかったのかしら」

 「俺は『覇王』レベル3だぞ。支配の首輪など効果はないはずだ」

 「そうね。一般的に奴隷たちに使う支配の首輪だと『称号』なしの平民か幼い亜人種にしか効果はないわ。しかし、私の支配の首輪はレベル3よ。レベル1の粗悪な支配の首輪とは違って、誰にでも使うことができるのよ。しかも、こんな力もあるのよ」


 シメーレはそう言うと躊躇なくタナトス国王の首を刎ねた。タナトスの頭は床に転がり、首元から多量の血が吹き出してきた。


 「グギャーーー。痛い・痛い・痛い・・・」


 床に転がった頭からは壮絶なうめき声が轟く。


 「痛い・痛い・助けてくれぇー」


 頭のなくなった体は子供が駄々をこねるように全身を激しく動かしバタバタと音を立てながら転がりまわる。そう・・・タナトス国王は頭を刎ねれたのに死んでいないのである。


 「お父様、あなたは私の許可なく死ぬことさえできないのですわ」


 シメーレは騒ぎ立てるタナトス国王の頭を拾いあげ、バタバタを動き回る動体に壊れたおもちゃのように頭をくっつけた。


 「これが支配レベル3の力よ」

 「あぁぁ~ああ、あぁぁあ~」

 「多量の血を失ったからちゃんと喋れないのね。これをあげるわ」


 シメーレは人参を取り出してタナトス国王の口に突っ込んだ。


 「そういえば、にんじんはお尻に刺してあげたほうが嬉しいんだったかしら」

 「あぁぁ~ああぁぁ、あぁああぁ」

 「『覇王』レベル3のお父様ならにんじんがなくても時期に元に戻れるかしら」

 「あぁぁぁ、あぁぁぁあ~」

 「お父様、これからは二足歩行は許しません。お父様は豚のように四つんばになって歩くのよ。昔のように私がお父様の背中に乗ってあげますわ」

 「あぁああ、あぁぁぁあ」

 「あら、素直なのね。これからはずっと私と一緒よ。お・と・う・さ・ま」



 
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