終焉の姫と聖女の姫

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ゴブリンの少女ルティア パート3

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 モナークは快楽の絶頂を得て清々しい顔をして部屋を後にした。モナークの去った部屋の中には、歪な生き物が全身から血を流して横たわっていた。体には無数の咬み傷、乳首は噛みちぎられていて原型をとどめていない。股間には何か遺物が突き刺さっていておびただしい量の血が流れている。これでまだ死んでいないのが不思議であった。


 「これはひどいな。ウッ・・・」


 『亜人館』の新人の店員は、目を背けたくなる光景を見て思わず吐き出してしまった。


 「新人には少し刺激が強すぎたみたいだな。しかし、モナーク王子が来られた時はいつもこのような有り様だぜ」


 もう1人の男は慣れた様子で部屋の中へ入っていき歪な生き物を担いだ。


 「そのゴブリンはどうするのだ?治療しても使い者にならないだろう」

 「こいつはスラムに売り払うことになっている」

 「そんな状態でも買い手が付くのか?」

 「大した金にならないが処分するには丁度いい。国王からはかなりの金額はもらっているから捨てても良いのだが、捨てるのには金がかかるし、それなら安くても売ったほうが良いだろ?」

 「そういうことか!納得だ。しかし、これだけひどい扱いを受けて生きているなんてゴブリンの生命力はすごいな」

 「だからゴブリンは性奴隷として扱うには便利なんだよ。流石にここまでいたぶられると使い物にならなくるが、丈夫な体に人間と同じ体の構造、見た目も可愛げがあるから『亜人館』通う貴族も多いぜ」

 「確かに俺もゴブリンとやってみたい気がするが値段が高過ぎるぜ」

 「ハハハハ。そうだな。ゴブリンは捕獲するのが難しいし、性奴隷として使うにはホブゴブリンになってからでないと使えないから値段も高くなってしまうのだ」

 「なぜホブゴブリンにならないと使えないのだ?」

 「コブリンの頃は体も知能も未成熟だから性交渉をすると簡単に死んでしまうのだよ。たまにホビットの幼い体が良いと求めるお客もいるがウチでは断らせてもらっている。貴重なゴブリンをすぐに死なせたくないからな」

 「そうなのか・・・それならせっかく育てたゴブリンが台無しになってしまったのだな」

 「そういうことだ。しかし、それに見合うだけの金額はもらっているし、国王の頼みを断るわけにはいかないのだ」

 「モナーク王子の悍ましいプレイも国王の公認ってことだな」

 「そういうことだ。さてと・・・俺はスラム街にこいつを運んでくるから部屋の掃除は任せたぞ」

 「わかったぜ」


 男は歪な生き物の体を綺麗に洗って血を落としてから袋に入れ、馬車に乗って王都の外れにあるスラム街へ向かった。

 煌びやかな立派な家が立ち並ぶ王都の一角に、全く別の異世界へワープしたようなみすぼらしい家が立ち並ぶ場所がある。そこは、王都での裕福な生活を夢見て王都へ移住をした平民が、定職に就くことができずに借金だけが膨らみ、生きる気力を失った者が集まる場所である。全てを失った彼らはこのスラムに閉じ込められていると言っても過言ではない。

 スラム街は大きな壁で周りを囲まれていて自由に行き来することはできない。中へ入るには、正面にある大きな門を通過しないといけない。


 「『亜人館』からの送りもだぜ」


 男が門兵に声をかける。


 「また死体処理かぁ」

 「そんなところだな。身分証を確認するか?」

 「お前なら素性はわかっているから問題はない。今、門を開けてやる」


 大きな鈍い音を上げながら門はゆっくりと開いていく。男は門を通過して今にも壊れそうな家が立ち並ぶスラム街をゆっくりと馬車を走らせる。男が門を通過した時に、高貴な服を来た男女が後を追うようにスラム街に入って行った。

 男はボロ屋が立ち並ぶ一角にある少し大きめの空き地の近くで馬車を止めた。そして、馬車から袋を担いで下ろして、その空き地に歪な生き物を放り投げた。


 「あとはお前らの好きにしていいぞ!」


 男は大きな声で叫ぶと馬車に乗り込みその場を後にした。

 先程まで誰もいなかった空き地には、どこから現れたのかボロボロの異臭を放つ黒ずんだ服を来た男たちが、歪な生き物の周りに群がり始めた。


 「女だ!」
 「女だ!」
 「俺からやらせろ」
 「俺からだ」


 集まってきた20名ほどのスラムの男たちが、空き地に置き去りにされた歪な生き物を取り合うように喧嘩を始めた。中には喧嘩に参加せずに、歪な生き物の全裸の姿を見て、おもむろに性器を出して1人でマスターベーションをするものをいる。


 「お前らそこまでだ!その女の子は俺が買い取った。むやみにその子を触ることは俺が許さない」


 スラム街の住人に声をかけたのは、燃えるような赤い髪のマッシュウルフの髪型に、吸い込まれそうな透き通る青い瞳、誰もが振り返る端正な顔立ちに、少し細身だがバランス良く筋肉がついた優美な肉体、身長は180cmくらいあり、いかに高貴な人物だと思える凛としたたたずまい、この男性は見たスラム街の住人は、すぐに逆らってはいけない人物だと本能的に悟る。


 「皆さん、いつもの施しを配給場所に持ってきましたわよ。皆さん喧嘩せずに仲良くみんなで分け合って食べてくだいさいね」


 ルビーのように光り輝く赤いセミロングの髪型に、心が癒されるような新緑のような緑の瞳、誰もが笑顔になってしまうような明るく可愛い顔立ちに細身の体に少し小さめだが色気を誘う小ぶりの胸。この女性はスラム街の男たちとは面識があるみたいで、優しくスラム街の住人に声をかける。


 「ケルトお兄様、あまり皆さんを威嚇するような態度はやめてください」

 「何を言っているのだ。早くあいつらを追い払わないとあの子が殺されてしまうのだぞ」

 「わかっています。でも焦りは禁物です。スラム街にもきちんとしたルールがあるのです。ここのことは私のがよく知っているので、私に任せてくださいと言っておいたはずです」

 「すまん。ついあの子の惨たらしい姿を見たら焦ってしまったのだ」


 『亜人館』の男を尾行していたのは、ハイドランジア国王の第一王子のケルトとケルトの妹であり第一王女のヒーリンであった。




 
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