終焉の姫と聖女の姫

ゴブリンの村 パート5

　私がいずれ人間として人間の社会で生活できるように簡単な勉強、礼儀作法、
生活習慣など基本的なことを学ぶのである。なので、そんなに難しい内容ではないので、私は楽しくモルカナさんとの勉強に取り組むことができた。


　「ダクネスちゃん、魔法はどれくらい使えるようになったのだ？」

　「魔力を制御して筋力を上げれるようになったのですぅ」

　「魔力制御を重点的に行なっているのだね」

　「はい」


　　魔力を自分の体から上手く引き出すには魔力制御が重要である。なので私は父から魔法ではなく魔力の制御の仕方を教えてもらっている。

　
　「今日は勉強ではなくて攻撃魔法を覚えてみないかい？」

　「教えてくれるのですぅか？」

　「勉強ばかりでは面白くないだろう。ガロファーには内緒で俺が攻撃魔法を教えてあげよう」

　「嬉しいですぅ」


　私は人間としての教養などの勉強も好きではあるが、魔法にもかなり関心があった。しかし、ガロファーからは魔法の基礎である魔力操作しか学んでいない。


　「庭に出て軽く練習をしてみよう」


　私は攻撃魔法を覚えることができるのでニコニコしながら庭に向かった。


　「最初にお手本を見せるね」


　『火炎球』


　モルカナは手をかざして小さな炎の球を出した。


　「魔法は体内にある魔力を放出する部位に集めて、その集まった魔力をどのような物にするかイメージして魔力を具現化させるのだよ。なので、魔法に大事なのはイメージ力だよ。まずは、私が作った炎の球をイメージして魔力を手の平に集めてごらん」


　「かえんきゅーーう」


　私は全身に力を入れて手のひらから炎の球が出てくれるようにイメージして叫んだ。もちろん・・・何も出てこない。そこにあるのは力みすぎて顔を真っ赤に腫らした私の姿しかなかった。


　「ダクネスちゃん、気合は十分あったけど魔力が全く含まれていなかったよ」


　モルカナは笑いながら言った。

　身体強化の魔力操作と攻撃魔法の魔力操作は少し違うみたいである。

　「どうしたら、魔力を炎に変換できるのですぅか？」

　「身体強化の場合は、筋力に魔力を与えることで筋力が増加して、身体を強化することができるが、攻撃魔法は少しだけニュアンスが違うのだよ。魔力を新たな形に変化させるのでより明確なイメージが必要になるのだよ」

　「わかったのですぅ。ものすごい炎をイメージしてみますぅ」

　私は目を閉じて心を落ち着かせてみた。そして、全神経を体に集中させて魔力を感じ魔力を具現化するために燃え盛る炎をイメージした。

　『違うよ。炎をイメージするのじゃなくて、なぜ炎が燃えるのかをイメージするのよ』


　モルカナではない誰かが私の脳内に声をかけてきた。

　「誰ですか？」

　『私はあなた自身よ』

　「どういうことですか？」

　『私はあなたが生まれた時からずっと一緒にいるのよ。あなたと一緒にこの世界を終わらせるためにね！』

　「何を言っているのかわかりません」

　『簡単に説明すると私はあなたが授かった『終焉姫』の『称号』そのものですわ』

　「称号さんですか？称号を持っている人はみんな体内に称号さんがいるのですか？」

　『それは私にはわからないわ。私は『終焉姫』の『称号』を授かった人としか知らないからね」

　「そうなのですね。今までなぜ声をかけてくれなかったのですか？」

　『あなたが魔法を発動しようとしたから私に魔力が流れてきやっと自由に動けるようになったのよ』

　「そうだったんですね。今から私に魔法の使い方を教えてくれるのですか？」

　『教えると言うよりも思い出してもらうのよ』

　「何を言っているのかわかりません」

　『あまり深く考えなくてもいいのよ。私の言った通りにすれば上手く魔法を使えるようになるわ』

　「はーーい。よろしくお願いします」


　私は心の中で元気よく返事をした。


　『魔法を教える前に、あなたには『無限再生能力』と『支配』という二つの力が発動したことは知っていますよね』

　「はい。でも『支配』はどのように使うのかわからないですぅ」

　無限再生能力は、私の意思に関係なく自動的に細胞が活性化して私の傷を治してくれるチートな能力である。そして『支配』については全くわかっていない。

　『そうなのね・・・まだあの子は眠っているのね』

　「あの子とはどういうことですか？」

　『私は主に魔法などを担当をしているのよ。『終焉姫』の能力は私じゃないのよ。まだ、あの子はあなたの深層の奥で眠っているみたいだから、あの子が目覚めたら『支配』について確認するといいわ」

　「はーーい」


　私はあまり言っている内容は理解できなかったが、特に興味もなかったので空返事をした。

　私の脳内に現れた不思議な少女。彼女は私と同じくらいの年齢で私と同じ銀色の瞳に銀色の長い髪をしている。まるで鏡を見ているような感じがするが、しかし私と一点だけ違うところがあるそれは、頭に悪魔のような2本の鋭いツノと背中には羽が生えているところであっで。彼女が何者かはわからないが私の味方であるのは間違いないようである。