終焉の姫と聖女の姫

ninjin

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ゴブリンの村 パート3

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 あれから6年後・・・


 私は赤ん坊の頃の記憶が鮮明に残っている。私は『終焉妃』という『称号』を持って生まれたことで馬車の中で暗殺されたのである。大きな斧が私の頭上から降りてきて、私のお腹を真っ二つに切り裂いた。

 私の腹からは夥しいほどの血が噴き出してきて、それを第三者のように遠くから眺めいた気分であった。ものすごい勢いで飛び出す血は、火山か噴火したような雄大な景色に見え、私はその光景をこれからも忘れることはないだろう。

 私はあの時一度死んでしまっている。しかし、死んだことにより『終焉妃』の能力が発動した。それは細胞が活性化して、真っ二つに切り裂かれた私の体は時間をかけて再生したのであった。『終焉妃』の持つ『無限再生能力』は私を不死の体にしてくれたのであった。

 そして、『終焉妃』の能力にはまだ他にもある。それは、私が自由に人を操ることができる『支配』という能力である。私を殺したゾルダートという男は、私が死んだ時に発動した『支配』によってゾルダートは私の操り人形となったのである。しかし、今は『支配』の能力をうまく使うことができず、ゾルダートという男は放置したままである。『終焉妃』という『レア称号』にはどのような能力がありどのように使いこなすかはまだ私は知らないのであった。


 「ダクネスちゃん、今日もお父さんと剣術の練習よ」


 私が馬車の中で1人で寂しく泣いていたところを助けてくれてのが、ゴブリンアデージョのアザレアである。アザレアは私を本当の子供のように育ててくれた。私は人間なので絶えず獣の皮でできたフード付きの茶色い服をきて、顔も隠すようにしている。そして、白く目立つ肌を隠すために顔や手足に緑の染料のようなモノを塗りたくってゴブリンと同じような皮膚の色にしている。

 この姿で生活をすることが、私がゴブリンの村で住むことが許された条件であった。それは他のゴブリン達に私が人間だと悟られないためである。私を人間だと知っているのは、私を育ててくれた両親であるアザレアとガロファー、村長のカレンドゥラ、隣人のフラーゴラ、そして、隣の村に住むゴブリンキングのモルカナである。

 モルカナは、このあたりのゴブリンの村を統括するゴブリン最強の戦士である。ゴブリンオーガからゴブリンキングへ進化したモルカナはゴブリンたちの英雄である。

 村長のカレンドゥラはモルカナの承諾なしには、私をゴブリンの村に受け入れることはできないと判断し、カレンドゥラは父に私の受け入れをお願いされた次の日に、モルカナの住むエルデの村に向かって私の受け入れを確認しに行った。モルカナは人間と悟られないようにしろという制約付きで私の受け入れを認めたのである。

 
 「はーーい」


 私は元気よく返事をして、自分の体くらいある剣を引きずりながら家の庭に向かった。


 「ダクネス、お前を立派なゴブリンアデージョとして育て上げるぞ」


 私は3歳の頃からガロファーとモルカナから特訓を受けていた。ガロファーからは簡単な魔力操作と剣術を教えてもらっていた。そして、モルカナからは人間としての教養を学んでいた。モルカナはとても博識なのでいろんなことを教えてくれるのである。

 私は魔力を操作して筋力をアップする。さっきまで引きずっていた剣もこれで自由に扱うことができる。


 「魔力操作もさまになってきたみたいだな」


 私の剣の扱いを見てガロファー嬉しそうに言った。

 しかし、私は自分の魔力を上手く制御できていない。私の体から溢れんばかりの魔力はほとんどが制御できないままに無駄に消費しているのである。


 「俺に向かって斬りかかってこい」


 私は剣を両手で握りしめてガロファーに斬りかかる。ガロファーはこの村で1番の剣士である。しかも、私の身長は110cmであるがガロファーは2mの大柄の男性だ。しかも、鍛え上げれた肉体は彫刻のように美しい。いくら魔力で筋力を強化したとしても敵うわけがない。

 私の軽い剣はガロファーにことごとく弾かれる。


 「もっと腰を入れろ。腕だけで剣を振るうな。魔力を上手く融合させろ」


 ガロファーは、私に体で剣術と魔力操作を覚えさすために手加減はしない。大きな大剣が私に向けて容赦なく振り落とされる。


 「目をしっかりと開けて相手の動きを予測しろ。常に次の動きを見極めろ」


 ガロファーが私にきつい特訓をするには理由がある。それは、ある情報が入ってきたからである。それは、デンメルンク王国の第1王子であるモナークがゴブリンキングの討伐に向かうという情報を仕入れたからである。

 モナークは私の1番上の兄になる。モナークは『覇王』の『称号』を持ち将来ロード国王の後を継ぐための実績を作るために、モナークはゴブリンキングを討伐すると名乗りを上げたのであった。




 

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