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双子の王女 パート5
しおりを挟む「トゥルビヨンそのへんにしておきなさい。あなたはゾルダートが手を抜いているのがわからないのですか?ゾルダートはいつでもあなたを殺せるのですよ」
ルーラがツゥルビヨンに警告する。
「そんなことはない。俺のが強いはずだ」
「本当です。あなたも『レア称号』の持ち主で実力も折り紙つきです。しかし、ゾルダートは別格なのです」
「信じられるかぁ!あいつは俺の顔に傷を付けたのだ。落とし前をつけさせてやる」
「構いません。しかし、神聖な決闘としての戦いなら認めます」
『八咫烏』では、己の力に自信があるものは『八咫烏』のメンバー内で決闘を申し込み、『八咫烏』での地位を奪い合うことができる。
『八咫烏』で最強を誇る3名の三羽烏になるのも決闘を行なって地位を奪い取るのである。そして、ゾルダードは三羽烏の頂点に立つ『黒王』という地位にある。トゥルビヨンは最近三羽烏に昇進して日が浅く三羽烏でも1番地位の低い『黒鳥』の身分である。
「ゾルダート、『黒王』の座をかけて決闘だぁ」
「好きにしろ」
ゾルダートは興味がなさげに返事をする。
「ゾルダート外に出ろ!俺が新しい黒王なる」
トゥルビヨンは威勢良く言い放ち部屋を飛び出した。
『八咫烏』の本拠地は王都グロワールから少し離れた森の奥にある洞窟を切り開いてできた自然の居城である。
トゥルビヨンは、洞窟の居城を出て森の中にある少し広い草原に移動した。それを追うように静かにゾルダートも付いていく。そして、多くの八咫烏のメンバーも観戦に行く。今回の決闘は、最近『八咫烏』に入って、残忍なやり方でいろんな依頼をこなし、幾度か決闘を申し込み一年余りで三羽烏に昇格した超新星のトゥルビヨンなので、メンバー達はゾルダートにどれだけ通用するか見てみたいのである。
「本気でかかって来いよ!」
威勢良くゾルダートを挑発する。
「・・・」
ゾルダートは何も言わすに、大きな斧を地面から振り上げて戦闘態勢に入る。
「誓約に乗っ取り神聖な決闘を開催します」
どんな組織でもルールは必要である。なので、暗部組織である『八咫烏』は規律を重んじるのである。
決闘の合図はルーラにより出された。
トゥルビヨンの『風神』の能力は風を自在に操ることができる力である。風を自在に使って攻撃をするだけでなく、自らのスピードを強化したり自在に空を飛行できる凄腕の持ち主である。
トゥルビヨンは、試合の合図と同時に姿を消した。
ゾルダートは、トゥルビヨンが姿が消えると同時に大きな斧を地面に振り落とした。振り落とされた斧の衝撃で地面には大きな亀裂が走り半径10m以内に生えていた草木が全て吹き飛ばされた。
「上空に身を隠すなんて芸がない・・・」
ゾルダートは静かに呟いた。
斧を振り落としたゾルダートに向かって、上空からトップスピードで急降下するトゥルビヨンが見えた。トゥルビヨンは剣をゾルダートの頭頂部に突き刺す・・・が剣は簡単に折れてしまった。
「そんな・・・ありえない」
トゥルビヨンが、目を見開いて驚いているところをゾルダートは斧を振りかざしてトゥルビヨンの首を刎ねた。
ゾルダートの『軍神』の能力は人並み外れた攻撃力と防御力である。ゾルダートの体は剣を突き刺すこともできない強靭な肉体へと変貌している。これは生まれ持った『軍神』の称号の能力とその能力を向上させるために地道な努力の結果である。
トゥルビヨンは『風神』の力をほとんど見せることなくあっけなく死んでしまった。トゥルビヨンが弱いのではなくゾルダートが圧倒的に強すぎた結果なのである。
「やはり、手も足も出なかったぜ」
「やっぱりゾルダート様は最強だぜ」
「これで10戦無敗だ。次は誰が挑戦をするのだろうか・・・」
決闘を見ていたメンバーたちは、ゾルダートの力を再確認した。
「殺してしまったのですか・・・」
ルーラがゾルダートに近寄り声をかける。
「申し訳ありません。あまりにも弱すぎたので三羽烏の一角には相応しくないと判断しました」
「仕方がありません。また新し人材を探すとしましょう。それよりも、今回の依頼の件は頼りにしてます。王女の護衛は王族騎士団が担当するはずです。大将クラスの人物はいないですが、30名の護衛のプロが担当する予定です。気をつけてください」
「問題はない。この国で俺を倒せる者は1人しかいない。しかし、アイツも手の込んだことをするのだな」
「そうですね。それほど重要な案件なのです」
ロード国王は王女の護衛を手を抜くことはできない。あまりにも警護が手薄だと王女が死んだ時に疑いを掛けられるからである。
「今回も俺の部隊だけでいく。足手まといは必要ない」
ゾルダートの部隊は5人からなる少数精鋭部隊である。
「作戦は全てお任せします」
ゾルダートは仲間を連れて森の中へ消えて行った。
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