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逆転面接
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「やはり、私たちが面接に同行して正解でした」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「面接は終わりました。みなさん出ていってください」
「私の話を最後まで聞くのよ」
「シェーネさん、面接に同行することは認めてあげました。しかし、あなたが面接に参加する許可を与えたわけではありません。何度も言わせないでください。もう面接は終わりました」
「私は面接に参加するつもりはありません。しかし、健気で謙虚なハツキちゃんをこのまま帰らすわけにはいかないのです」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「どう言うことでしょうか?」
「ハツキちゃんが面接で発言した内容はまさに彼女の本心です。ハツキちゃんはただこの学院に通いたいだけです」
「だから、その短絡的な志望動機では面接を合格させるわけには行きません」
「普通の受験生ならそうでしょう。しかし、彼女は0の少女です」
「ほ・・・本当なのか。しかし、ヘンドラー男爵の紹介状にはそのような記載はない」
「ハツキちゃんは特別扱いをされるのが嫌で、ヘンドラー男爵様にお願いして、0の少女であることを隠しているのでしょう」
「本当に彼女は0の少女なのか?」
「はい。冒険者証を確認したので間違いありません。彼女は特別扱いをされるのが嫌で、0の少女であることを隠して面接に望んだのです」
「・・・」
「彼女は魔法量が0なので全く魔法・魔道具を使うことができません。魔法が使えない彼女は、今までどれほど大変な人生を歩んできたか、私たちは想像することもできません。彼女は14年間魔法が使えない不自由な生活をなんの不満を言わずにここまで成長したのです。いや、不満や嘆き、悲しみや怒り、絶望や失望などさまざまな感情に打ち勝って、ここまで成長してきたのです。私たちにとって魔法とは、呼吸をするように当たり前にできるものなので、彼女の本当の苦しみは理解することはできないでしょう」
「その通りです・・・」
「ハツキちゃんは、魔力量が0にもかかわらず冒険者になる事を決意して、冒険者ギルドの門を叩き、試験クエストを見事に合格して冒険者になる夢を達成することができたのです。そして、次に彼女が目指したものは・・・このシュテーネン専門魔法学院での学院生活です。学院長が言われた通りこの学院では、更なる魔法の高みを目指して入学を希望する方々ばかりです。それにひきかえハツキちゃんは、この学院に通っていたいという単純な志望動機です」
「・・・」
「しかし、魔法量が0の彼女が、魔法の探究を目指すこの学院を選んだことは、魔力量が0の自分でも何かできるのではないかという、究極の魔法探究だと私は気づいたのです」
「そういうことだったのか」
「特別扱いを望まないハツキちゃんは、あえて言葉足らずな表現で、学校に通いたいとだけ述べたのです」
「申し訳ない」
「ごめんなさい」
シェーネの言葉を聞いたデルフィヌスとアーモンドが頭を下げて謝った。
「ハツキさん、私の先程までの非礼な言葉申し訳ありません。私はシェーネ君が言う通り、何もあなたのことを理解できていませんでした。目の前にある情報をただ見ているだけの、愚かな面接官だったことに今理解いたしました。この愚かな私をお許しください。そして、面接試験は合格でございます。次は筆記試験と実技試験がありますが、全て免除させてもらいます」
「ヤッタァ~」
なんだかよくわからないが、面接試験は合格して、まだ残されている2つの試験が免除されたので、心の中で私はガッツポーズをして喜んでいた。
「お断りします」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
シェーネたちが試験免除の件を勝手に断ってしまった。
「学院長、ハツキちゃんは特別待遇は望んでいないのよ。みんなと同じように残りの試験も受けさせてもらいます」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「申し訳ない。確かにシェーネ君の言う通りかもしれない。ハツキさん、残りの二つの試験の日時は後ほどヘンドラー男爵の元へ連絡させてもらいます」
「は・・・はい」
私は魂が抜け落ちたかのようにガッカリした表情で返事をした。
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「面接は終わりました。みなさん出ていってください」
「私の話を最後まで聞くのよ」
「シェーネさん、面接に同行することは認めてあげました。しかし、あなたが面接に参加する許可を与えたわけではありません。何度も言わせないでください。もう面接は終わりました」
「私は面接に参加するつもりはありません。しかし、健気で謙虚なハツキちゃんをこのまま帰らすわけにはいかないのです」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「どう言うことでしょうか?」
「ハツキちゃんが面接で発言した内容はまさに彼女の本心です。ハツキちゃんはただこの学院に通いたいだけです」
「だから、その短絡的な志望動機では面接を合格させるわけには行きません」
「普通の受験生ならそうでしょう。しかし、彼女は0の少女です」
「ほ・・・本当なのか。しかし、ヘンドラー男爵の紹介状にはそのような記載はない」
「ハツキちゃんは特別扱いをされるのが嫌で、ヘンドラー男爵様にお願いして、0の少女であることを隠しているのでしょう」
「本当に彼女は0の少女なのか?」
「はい。冒険者証を確認したので間違いありません。彼女は特別扱いをされるのが嫌で、0の少女であることを隠して面接に望んだのです」
「・・・」
「彼女は魔法量が0なので全く魔法・魔道具を使うことができません。魔法が使えない彼女は、今までどれほど大変な人生を歩んできたか、私たちは想像することもできません。彼女は14年間魔法が使えない不自由な生活をなんの不満を言わずにここまで成長したのです。いや、不満や嘆き、悲しみや怒り、絶望や失望などさまざまな感情に打ち勝って、ここまで成長してきたのです。私たちにとって魔法とは、呼吸をするように当たり前にできるものなので、彼女の本当の苦しみは理解することはできないでしょう」
「その通りです・・・」
「ハツキちゃんは、魔力量が0にもかかわらず冒険者になる事を決意して、冒険者ギルドの門を叩き、試験クエストを見事に合格して冒険者になる夢を達成することができたのです。そして、次に彼女が目指したものは・・・このシュテーネン専門魔法学院での学院生活です。学院長が言われた通りこの学院では、更なる魔法の高みを目指して入学を希望する方々ばかりです。それにひきかえハツキちゃんは、この学院に通っていたいという単純な志望動機です」
「・・・」
「しかし、魔法量が0の彼女が、魔法の探究を目指すこの学院を選んだことは、魔力量が0の自分でも何かできるのではないかという、究極の魔法探究だと私は気づいたのです」
「そういうことだったのか」
「特別扱いを望まないハツキちゃんは、あえて言葉足らずな表現で、学校に通いたいとだけ述べたのです」
「申し訳ない」
「ごめんなさい」
シェーネの言葉を聞いたデルフィヌスとアーモンドが頭を下げて謝った。
「ハツキさん、私の先程までの非礼な言葉申し訳ありません。私はシェーネ君が言う通り、何もあなたのことを理解できていませんでした。目の前にある情報をただ見ているだけの、愚かな面接官だったことに今理解いたしました。この愚かな私をお許しください。そして、面接試験は合格でございます。次は筆記試験と実技試験がありますが、全て免除させてもらいます」
「ヤッタァ~」
なんだかよくわからないが、面接試験は合格して、まだ残されている2つの試験が免除されたので、心の中で私はガッツポーズをして喜んでいた。
「お断りします」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
シェーネたちが試験免除の件を勝手に断ってしまった。
「学院長、ハツキちゃんは特別待遇は望んでいないのよ。みんなと同じように残りの試験も受けさせてもらいます」
「そうよんよん」
「その通りだわ」
「申し訳ない。確かにシェーネ君の言う通りかもしれない。ハツキさん、残りの二つの試験の日時は後ほどヘンドラー男爵の元へ連絡させてもらいます」
「は・・・はい」
私は魂が抜け落ちたかのようにガッカリした表情で返事をした。
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