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復讐
唐突に裃は姿を消した
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(あんこちゃん!あんこちゃん!)
(なんだ?纏ちゃん)
(なんだじゃないわよ。さっきからボーっとしているけど大丈夫?)
俺は昔のことを思い出していた。下僕3号に騙されたことをきっかけに、裃の命令で下僕ゲーム以外でも様々ないじめを受けることになった。俺は下僕ゲームとイジメに耐えることができなくなり自殺を決意した。
(少し昔のことを思い出していたんだ。纏ちゃん、まだ心の整理が付いていないから実家に帰るのはやめておく。それよりも学校で気になることがあるんだ)
俺は纏と出会ったことにより新人間の存在を知ることになった。もしかすると裃達の正体は新人間ではないかと思いつく。
(気になることって?)
(俺をイジメていたヤツが新人間だと思うんだ)
(何か根拠はあるのかしら?)
俺は下僕ゲームのことを説明する。
(非常に興味深い話ね。私が〇✖高校に配属されたのはとある任務のためなのよ。もしかしたらだけど、私の任務と関りがあるかもしれないわね)
纏は目を爛爛と輝かせて機嫌がすこぶる良くなった。
(あんこちゃん。学校へレッツゴーよ!)
纏は元気一杯に走り出す。俺はおいてけぼりにならないように追いかける。猫の体はとても動き易い。人間の時はどんくさくて動きもとろくてバカにされていたが、猫の体は俊敏でジャンプ力もある。俺はすぐに纏を追い抜かして先導するように学校へ向かった。
(あんこちゃ~~~ん。早いわよ)
(猫の体って最高だな)
俺は快適に走れて気持ちがよかった。
(ここからは別行動ね。私は教室に向かうから、あんこちゃんは外から教室を覗くと良いわ)
(わかった。ところで纏ちゃん。転校初日に遅刻ってまずくないのか?)
時計の時刻は9時を過ぎていて、1限目の授業が始まっていた。
(問題ないわ。私の任務は勉学じゃなくハンター業務なの。学校は捜査の対象なので調べるために学生に扮するの。だから、校長先生がうまく先生たちを納得させてくれているわ)
(そうなんだ。じゃあ俺は外から教室を覗いて見るぜ)
俺は軽快に駆け出して教室が一望できる木の上に登った。この位置からなら教室を見下ろしながら全体が把握できて絶景だ。しかし、声が聞こえないのは残念だ。
俺は教室を覗くと真っ先にある人物を探す。もちろん裃だ。基本裃は学校には登校しない。裃が登校する時は必ず何かある時だ。俺が行方不明になった情報はいち早く裃にも届いているだろう。俺が行方をくらましたら裃はどんな手を使ってでも探しにくるはずだ。しかし、猫になった俺を見つけ出すことは不可能である。俺は安心感に包まれて笑みを浮かべながら教室を覗いていた。
俺の想像通り裃は教室にいた。裃は教壇に座り生徒一人一人へ尋問をしているように見える。裃の左右には晴天と曇天が仁王立ちしていた。曇天とは下僕3号のことで、下僕3号は裃の手下であり下僕ゲームの参加者ではなかった。裃は学校に来ないので、実質的にクラスを支配していたのは曇天だった。
裃は相変わらず死んだ魚のような目をして薄気味悪い笑みを浮かべている。裃とは対照的に晴天と曇天は鬼のような形相でクラスメートに詰め寄っている。しかし、いくらクラスメートを問いただしても俺の行方を知っている者は、ここにはいないことは裃達が一番わかっているはずだ。それなのに必要以上に問いただしているのは、俺が行方をくらますのは想定外だったのであろう。
「裃君、クラスのヤツラは何も知らないようです。そもそも下僕2号がクラスメートに何か打ち明けるタイプではないと思います。おそらくどこかで首を吊って死んでいると思います」
「僕もそう思います。下僕2号はいつ自殺してもおかしくない状況でした。そのうち死体が出てくるはずです」
「下僕2号には監視が付いていた。昨日アイツは校舎の屋上に向かったところまでは把握している。しかし、それ以降の足取りが全くつかめていない。絶対にアイツを逃がした協力者がいるはずだ。アイツの母親の様子から推察すると母親は手を貸していないことは明白だ。次に考えられるのはクラスの人間以外ありえない」
俺は16年間生きていて友達など1人もいない。厳密に言うと小学生の頃は話し相手くらいは1人か2人は居たかもしれないが記憶にはない。俺はずっと孤独だった。でも、それが苦ではなかったのも確かである。ゲームとテレビそしてネットがあれば友達など必要はなかった。
「お前ら、本当に下僕2号の行方を知らないのだな!」
「晴天さん、僕たちは本当に何も知りません。裃さん達を裏切るようなことは絶対に致しません」
クラスメートが裃に逆らうことなどない。それは晴天と曇天が一番わかっている。裃に逆らうことができないからこそ俺のイジメに加担していたのだ。
「裃君、やっぱりこいつらは何も知らないようです。これ以上話を聞いても無駄だと思います」
「……」
裃の顔が急変しニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる。
「裃君、申し訳ありません。コイツらは何か隠しているかもしれません。どんな手を使ってでも下僕2号の居場所をはかせます」
裃の不気味な表情を見た晴天は顔が青ざめた。晴天は裃の逆鱗に触れたと思い、クラスメートを暴力で支配することにした。
「晴天、俺も協力するぜ」
曇天もすぐに裃の変化に気づいて晴天の手助けをする。
「今日はもういい。俺は帰る」
裃は急に教室を飛び出して姿を消した。
(なんだ?纏ちゃん)
(なんだじゃないわよ。さっきからボーっとしているけど大丈夫?)
俺は昔のことを思い出していた。下僕3号に騙されたことをきっかけに、裃の命令で下僕ゲーム以外でも様々ないじめを受けることになった。俺は下僕ゲームとイジメに耐えることができなくなり自殺を決意した。
(少し昔のことを思い出していたんだ。纏ちゃん、まだ心の整理が付いていないから実家に帰るのはやめておく。それよりも学校で気になることがあるんだ)
俺は纏と出会ったことにより新人間の存在を知ることになった。もしかすると裃達の正体は新人間ではないかと思いつく。
(気になることって?)
(俺をイジメていたヤツが新人間だと思うんだ)
(何か根拠はあるのかしら?)
俺は下僕ゲームのことを説明する。
(非常に興味深い話ね。私が〇✖高校に配属されたのはとある任務のためなのよ。もしかしたらだけど、私の任務と関りがあるかもしれないわね)
纏は目を爛爛と輝かせて機嫌がすこぶる良くなった。
(あんこちゃん。学校へレッツゴーよ!)
纏は元気一杯に走り出す。俺はおいてけぼりにならないように追いかける。猫の体はとても動き易い。人間の時はどんくさくて動きもとろくてバカにされていたが、猫の体は俊敏でジャンプ力もある。俺はすぐに纏を追い抜かして先導するように学校へ向かった。
(あんこちゃ~~~ん。早いわよ)
(猫の体って最高だな)
俺は快適に走れて気持ちがよかった。
(ここからは別行動ね。私は教室に向かうから、あんこちゃんは外から教室を覗くと良いわ)
(わかった。ところで纏ちゃん。転校初日に遅刻ってまずくないのか?)
時計の時刻は9時を過ぎていて、1限目の授業が始まっていた。
(問題ないわ。私の任務は勉学じゃなくハンター業務なの。学校は捜査の対象なので調べるために学生に扮するの。だから、校長先生がうまく先生たちを納得させてくれているわ)
(そうなんだ。じゃあ俺は外から教室を覗いて見るぜ)
俺は軽快に駆け出して教室が一望できる木の上に登った。この位置からなら教室を見下ろしながら全体が把握できて絶景だ。しかし、声が聞こえないのは残念だ。
俺は教室を覗くと真っ先にある人物を探す。もちろん裃だ。基本裃は学校には登校しない。裃が登校する時は必ず何かある時だ。俺が行方不明になった情報はいち早く裃にも届いているだろう。俺が行方をくらましたら裃はどんな手を使ってでも探しにくるはずだ。しかし、猫になった俺を見つけ出すことは不可能である。俺は安心感に包まれて笑みを浮かべながら教室を覗いていた。
俺の想像通り裃は教室にいた。裃は教壇に座り生徒一人一人へ尋問をしているように見える。裃の左右には晴天と曇天が仁王立ちしていた。曇天とは下僕3号のことで、下僕3号は裃の手下であり下僕ゲームの参加者ではなかった。裃は学校に来ないので、実質的にクラスを支配していたのは曇天だった。
裃は相変わらず死んだ魚のような目をして薄気味悪い笑みを浮かべている。裃とは対照的に晴天と曇天は鬼のような形相でクラスメートに詰め寄っている。しかし、いくらクラスメートを問いただしても俺の行方を知っている者は、ここにはいないことは裃達が一番わかっているはずだ。それなのに必要以上に問いただしているのは、俺が行方をくらますのは想定外だったのであろう。
「裃君、クラスのヤツラは何も知らないようです。そもそも下僕2号がクラスメートに何か打ち明けるタイプではないと思います。おそらくどこかで首を吊って死んでいると思います」
「僕もそう思います。下僕2号はいつ自殺してもおかしくない状況でした。そのうち死体が出てくるはずです」
「下僕2号には監視が付いていた。昨日アイツは校舎の屋上に向かったところまでは把握している。しかし、それ以降の足取りが全くつかめていない。絶対にアイツを逃がした協力者がいるはずだ。アイツの母親の様子から推察すると母親は手を貸していないことは明白だ。次に考えられるのはクラスの人間以外ありえない」
俺は16年間生きていて友達など1人もいない。厳密に言うと小学生の頃は話し相手くらいは1人か2人は居たかもしれないが記憶にはない。俺はずっと孤独だった。でも、それが苦ではなかったのも確かである。ゲームとテレビそしてネットがあれば友達など必要はなかった。
「お前ら、本当に下僕2号の行方を知らないのだな!」
「晴天さん、僕たちは本当に何も知りません。裃さん達を裏切るようなことは絶対に致しません」
クラスメートが裃に逆らうことなどない。それは晴天と曇天が一番わかっている。裃に逆らうことができないからこそ俺のイジメに加担していたのだ。
「裃君、やっぱりこいつらは何も知らないようです。これ以上話を聞いても無駄だと思います」
「……」
裃の顔が急変しニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる。
「裃君、申し訳ありません。コイツらは何か隠しているかもしれません。どんな手を使ってでも下僕2号の居場所をはかせます」
裃の不気味な表情を見た晴天は顔が青ざめた。晴天は裃の逆鱗に触れたと思い、クラスメートを暴力で支配することにした。
「晴天、俺も協力するぜ」
曇天もすぐに裃の変化に気づいて晴天の手助けをする。
「今日はもういい。俺は帰る」
裃は急に教室を飛び出して姿を消した。
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