21 / 25
下僕ゲーム
第21話 唐突に態度がでかくなる
しおりを挟む
俺は目を覚ますと月明かりが照らす教室の椅子に座っていた。体は綺麗に洗い流されていて制服を着ている。そして、机の上にはロンTが綺麗にたたんで置かれていた。お尻はまだズキズキと痛いので、あの出来事は夢ではなかったと思い知らされる。
「嫌だ。もう下僕ゲームになんて参加したくない」
前回の下僕ゲームとは違い、今回は屈辱的なプレイをさせられて心も体も汚された。思い出すだけで吐き気が止まらない。微かに見える時計の時刻は22時を指している。今日、母親は夜勤の為、いくら遅くなっても問題ない。それだけが唯一の救いだった。
「どうしたら下僕ゲームから逃げ出すことができるのだろうか……」
下僕1号は学校を退学することで裃から逃げようとした。しかし、逃げることができずに殺された。だが本当に殺されたのだろうか?警察の発表では自殺である。全身を滅多刺しにされて自殺なんてありえないと俺は疑ってしまったが、本当に自殺だったのかもしれない。俺の思考回路は自分の都合の良い方に回転し始めた。
「いくら裃でも警察を操れることはないだろう。やっぱり下僕1号は自殺だったんだ」
俺は自分に言い聞かせる。そのように考えないと俺に希望の光は輝かない。
「俺も学校を辞めれば……」
俺は学校を辞めようと考えた。しかし、学校を辞めたいと言えば母親は心配するだろう。それに学校を辞める理由を尋ねてくるに違いない。その時どのように答えれば良いのだろうか。下僕ゲームのことを離せば理解してくれるだろうか。いや、言いたくない。ヤンキーに性行為を強要されたことを母親に説明したくない。これは、母親に心配をかけたくないという理由ではない。恥ずかしいからだ。母親にというよりも誰にも知られたくない。できることなら墓場まで持っていきたい秘密である。
「うぅぅぅ……」
再び嗚咽を上げて涙を流す。いじめられていることを告白することでさえ、恥ずかしくて人には言いにくいのに、性被害にあったことを告白することはさらに恥ずかしくて言えない。誰にも助けを求めることはできないと悟ってしまった。俺はしばらく教室で悶えるように泣いた後、夢遊病のように気が付いたら家に帰っていた。
ハッと意識を取り戻す。すると、俺はシャワーで全身を何度も洗っていた。特にお尻は真っ赤になるほど、何度も何度も洗っていた。いくら洗っても汚れた体は綺麗になることはない。
俺は体を洗うのをやめて風呂から出る。テーブルには母親が用意してくれた晩飯があるが食欲は全くない。しかし、晩飯を食べずに残しておくと、母親が心配するのでゴミ箱に捨てた。そして、俺は2階へ上がり自分の部屋に戻りベットへ潜り込む。もう、何も考えたくはなかった。俺は目を閉じて心を無にして眠ることにした。
次の日、何事もなかったかのように学校へ向かう。俺は心を無にして現実から逃げることは得意である。何も考えなければ心が苦しくなることはない。次の下僕ゲームが開催されるのは2週間後になるはずだ。それまでは平穏に過ごせるのだから、まだ起きていない出来事に不安で怯えるようなバカなことはしない。俺は心を無にして過ごし1週間が経過した。
「下僕2号君、元気にしているかい?」
「……」
いつも通りに登校して席に座ると、いつもの日常とは違う風景が映し出されていた。なんと、裃が登校していたのである。学校で裃に会うのは入学式以来である。それまで裃はずっと欠席していた。俺は裃に声をかけられるが、怯えて返事をすることができなかった。
「遅くなりましたが2連勝おめでとう!」
裃は空虚な笑みを浮かべて俺を祝福する。しかし、俺は裃が怖くて石になる。
「今日僕が学校に来た理由は、下僕1号君の後任が決まったことを報告しに来ました。次の下僕ゲームはチーム戦になります。下僕2号君だけでは参加することができないので、急遽新しい人材を確保したのです。僕は今から校長先生に転校生の受け入れを要請しますので、楽しみにしていてください。次の下僕ゲームでも勝利することを楽しみにしています」
俺は裃の話をガクガクと震えながら聞いていた。今回は、きちんと裃の話を聞けただけでも成長したと言えるだろう。裃は俺の返答を聞かずに教室から出て行った。
それから数分後、朝のホームルームが始まり、担任教師が転校生を連れてきた。転校生は下僕3号と紹介されたが、誰も違和感なく受け入れる。下僕3号は背が低く、出っ歯、団子鼻、小太り、ガマガエルのような顔、服は俺と同様に黒のロンTを着せられていた。下僕3号は空席だった下僕1号の席に座る。転校生の紹介が終わり1限目の授業が始まった。下僕3号は俺と同様にクラスメートから話しかけられることなく全ての授業が終了した。
俺は授業が終わり帰り支度を始める。すると、下僕3号が俺の机まで走ってやってきた。
「初めまして2号先輩。これからよろしくお願いします」
下僕3号の顔はたくさんの吹き出物ができていてガマガエルのような顔をしている。ニコニコと話しかける声もだみ声で歯切れの悪い耳ざわりな声だ。そんな下僕3号に俺は好感を持てる相手だと思った。俺のようなブサイクの陰キャは、自分よりも外見が悪く弱そうな相手には横暴な態度をとってしまうのだ。
「おう。こちらこそよろしくな!」
俺はあたかも自分が強者になった気分で下僕3号にあいさつをした。
「嫌だ。もう下僕ゲームになんて参加したくない」
前回の下僕ゲームとは違い、今回は屈辱的なプレイをさせられて心も体も汚された。思い出すだけで吐き気が止まらない。微かに見える時計の時刻は22時を指している。今日、母親は夜勤の為、いくら遅くなっても問題ない。それだけが唯一の救いだった。
「どうしたら下僕ゲームから逃げ出すことができるのだろうか……」
下僕1号は学校を退学することで裃から逃げようとした。しかし、逃げることができずに殺された。だが本当に殺されたのだろうか?警察の発表では自殺である。全身を滅多刺しにされて自殺なんてありえないと俺は疑ってしまったが、本当に自殺だったのかもしれない。俺の思考回路は自分の都合の良い方に回転し始めた。
「いくら裃でも警察を操れることはないだろう。やっぱり下僕1号は自殺だったんだ」
俺は自分に言い聞かせる。そのように考えないと俺に希望の光は輝かない。
「俺も学校を辞めれば……」
俺は学校を辞めようと考えた。しかし、学校を辞めたいと言えば母親は心配するだろう。それに学校を辞める理由を尋ねてくるに違いない。その時どのように答えれば良いのだろうか。下僕ゲームのことを離せば理解してくれるだろうか。いや、言いたくない。ヤンキーに性行為を強要されたことを母親に説明したくない。これは、母親に心配をかけたくないという理由ではない。恥ずかしいからだ。母親にというよりも誰にも知られたくない。できることなら墓場まで持っていきたい秘密である。
「うぅぅぅ……」
再び嗚咽を上げて涙を流す。いじめられていることを告白することでさえ、恥ずかしくて人には言いにくいのに、性被害にあったことを告白することはさらに恥ずかしくて言えない。誰にも助けを求めることはできないと悟ってしまった。俺はしばらく教室で悶えるように泣いた後、夢遊病のように気が付いたら家に帰っていた。
ハッと意識を取り戻す。すると、俺はシャワーで全身を何度も洗っていた。特にお尻は真っ赤になるほど、何度も何度も洗っていた。いくら洗っても汚れた体は綺麗になることはない。
俺は体を洗うのをやめて風呂から出る。テーブルには母親が用意してくれた晩飯があるが食欲は全くない。しかし、晩飯を食べずに残しておくと、母親が心配するのでゴミ箱に捨てた。そして、俺は2階へ上がり自分の部屋に戻りベットへ潜り込む。もう、何も考えたくはなかった。俺は目を閉じて心を無にして眠ることにした。
次の日、何事もなかったかのように学校へ向かう。俺は心を無にして現実から逃げることは得意である。何も考えなければ心が苦しくなることはない。次の下僕ゲームが開催されるのは2週間後になるはずだ。それまでは平穏に過ごせるのだから、まだ起きていない出来事に不安で怯えるようなバカなことはしない。俺は心を無にして過ごし1週間が経過した。
「下僕2号君、元気にしているかい?」
「……」
いつも通りに登校して席に座ると、いつもの日常とは違う風景が映し出されていた。なんと、裃が登校していたのである。学校で裃に会うのは入学式以来である。それまで裃はずっと欠席していた。俺は裃に声をかけられるが、怯えて返事をすることができなかった。
「遅くなりましたが2連勝おめでとう!」
裃は空虚な笑みを浮かべて俺を祝福する。しかし、俺は裃が怖くて石になる。
「今日僕が学校に来た理由は、下僕1号君の後任が決まったことを報告しに来ました。次の下僕ゲームはチーム戦になります。下僕2号君だけでは参加することができないので、急遽新しい人材を確保したのです。僕は今から校長先生に転校生の受け入れを要請しますので、楽しみにしていてください。次の下僕ゲームでも勝利することを楽しみにしています」
俺は裃の話をガクガクと震えながら聞いていた。今回は、きちんと裃の話を聞けただけでも成長したと言えるだろう。裃は俺の返答を聞かずに教室から出て行った。
それから数分後、朝のホームルームが始まり、担任教師が転校生を連れてきた。転校生は下僕3号と紹介されたが、誰も違和感なく受け入れる。下僕3号は背が低く、出っ歯、団子鼻、小太り、ガマガエルのような顔、服は俺と同様に黒のロンTを着せられていた。下僕3号は空席だった下僕1号の席に座る。転校生の紹介が終わり1限目の授業が始まった。下僕3号は俺と同様にクラスメートから話しかけられることなく全ての授業が終了した。
俺は授業が終わり帰り支度を始める。すると、下僕3号が俺の机まで走ってやってきた。
「初めまして2号先輩。これからよろしくお願いします」
下僕3号の顔はたくさんの吹き出物ができていてガマガエルのような顔をしている。ニコニコと話しかける声もだみ声で歯切れの悪い耳ざわりな声だ。そんな下僕3号に俺は好感を持てる相手だと思った。俺のようなブサイクの陰キャは、自分よりも外見が悪く弱そうな相手には横暴な態度をとってしまうのだ。
「おう。こちらこそよろしくな!」
俺はあたかも自分が強者になった気分で下僕3号にあいさつをした。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる