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世界の真実
唐突に美少女は空から降ってきた
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静けさが支配する深夜の校舎の屋上に、赤い月に照らされた怪しい人影が映し出される。燦燦と照り付ける太陽の下で、にぎやかな声が響き渡る校舎が表の姿とすれば、今映し出されている姿は裏の姿と言えるだろう。
誰もいない校舎に忍び込み陽気に騒ぐ害虫とは違い、慎ましやかに音も立てず、校舎の屋上に立つ1人の少年は命を絶つと決めていた。
月明かりで伸びた少年の影は異形の姿に見える。少年の心の中で研ぎ澄まされた刃の矛先は、アイツらに向けられるのではなく自分自身に向けられていた。結局臆病の殻を破ることができなかった少年が一番安全な選択を選ぶのは必然であった。それは決して間違った選択肢ではない。アイツらは1人ではない。アイツら全員を殺すのは難しい。少年がどれほど考えてもアイツら全員を殺す方法は思い浮かばなかった。
精神的弱者である少年は肉体的弱者でもある。もし、マシンガンがあれば肉体的弱者
でも強者に変貌することができたかもしれない。もし、多量の毒薬があれば精神的弱者でも強者に変貌することができたかもしれない。あくまで少年はリスクを犯したくない。ここでのリスクとは安全圏にいることである。自分に危害が及ばない安全地帯でアイツらを無双したい。そんな夢物語しか思いつかない少年の臆病な思考回路は直ぐにショートして自殺という選択肢に辿り着いた。
「お母さん・・・ごめん」
少年の唯一の理解者であり16年間愛情をこめて育てくれた母親を残して死ぬことだけが少年の蛮行を引き留める希望であった。冷たいコンクリートでできた校舎の屋上を一歩一歩踏み出して行く。その姿は英雄のような堂々たる振る舞いではなく、処刑台に向かう罪人のように恐怖で怯えていた。全身はガクガクと震え、瞳には自然と涙が溢れ出し、一歩一歩の歩幅はだんだん狭くなり、足枷をつけられたように足は重くなっていく。
少年の蛮行を引き留める最後の希望は恐怖かもしれない。死ぬよりも辛いいじめを受けていた。生きる意味などみいだせなかった。母親に助けを求める勇気を持てなかった。恐怖に立ち向かう度胸などなかった。恐怖に勝てない少年が自殺を前にして恐怖するのは当然だった。しかしこの時少年は間違った勇気を振り絞る。
「ここで飛び降りたらアイツらも恐怖するはずだ。先生達も言い逃れはできないはずだ。そのために遺書は三つ用意した。これでアイツらの悪行は全て明るみになるはずだ」
悪魔に魂を売ることで大きな力を得ることができると本で読んだことがある。これはその儀式と同じだ。少年は悪魔に命を差し出すことによって復讐が成就すると信じていた。
歪んだ思考が間違った勇気を生み出した。少年の足枷は外れ一歩一歩闊歩する。校舎の屋上の淵に立ち地面を見下ろした時、複数の手が少年を引きずるように襲い掛かる。そのまま引きずられて地面に落ちていれば目的は達成していた。しかし、少年は思わずのけぞってしまう。
「今のはまぼろしか・・・」
もちろんまぼろしであった。少年の恐怖が映し出したまぼろしである。少年は四つん這いになり再び屋上の淵に顔を覗き込む。
「やっぱりまぼろしか・・・」
屋上から飛び降りようと覚悟した少年は安堵した。これは恐怖に屈したわけではない、逆に勝利したと言えるだろう。
「お母さん・・・死にたくない」
少年は真の勇気を掴み取る。
「全部話そう・・・」
悪魔に憑りつかれたような青白い顔色が優しいピンク色に変わる。全身の震えも消え去り、鉄の鎧を脱ぎ捨てたように体も軽い。
少年は立ち上がる。向かうべき方向は屋上の淵ではなくなった。
「なんかスッキリしたなぁ~」
数年のいじめによって蝕まれた心は本来の形を取り戻す。何か解決したわけではない。明日登校すればいじめは待っている。母親に相談したところで何も変わらない。悪意に満ちた感情が少年を襲うがもう迷いはない。
少年は晴れ晴れとした気持ちになり夜空を見上げた。うつむいてばかりの人生だったので綺麗な星空を見るのは数年ぶりだった。
「え!」
夜空を見上げた瞬間に白い物体が顔にうずもれる。その物体は生暖かくてとても柔らかい。少年は痛いというよりも気持ちよいと感じていた。しかし、その白い物体が顔に直撃したことにより視界を失い、方向音痴のドライバーのように進むべき道を見失う。方向感覚を失った足は千鳥足になり正しい道を進まずに、間違った道を進みだす。
「あ!」
白い物体が顔から外れた時、少年の足は宙を歩いていた。人間は宙を歩くことはできない。すなわちそれは落下することを意味している。少年が幸いだったのは地面を背にして落ちたことである。少年の瞳に映るのは堅いコンクリートの地面ではなく、白い物体の正体である。キラキラと星のように光る金色の髪、雪のように真っ白な肌、アニメの世界で見たような短い丈のピンクの魔法着、そして魔法着の隙間から見える純白のパンティー。4階建ての校舎から地面に落ちる時間は2秒ほどだろう。少年は死を迎える最後の2秒に、綺麗な夜空を背景に美少女のパンティーを見ながら死ねたのは幸運だったと言えるだろう。
誰もいない校舎に忍び込み陽気に騒ぐ害虫とは違い、慎ましやかに音も立てず、校舎の屋上に立つ1人の少年は命を絶つと決めていた。
月明かりで伸びた少年の影は異形の姿に見える。少年の心の中で研ぎ澄まされた刃の矛先は、アイツらに向けられるのではなく自分自身に向けられていた。結局臆病の殻を破ることができなかった少年が一番安全な選択を選ぶのは必然であった。それは決して間違った選択肢ではない。アイツらは1人ではない。アイツら全員を殺すのは難しい。少年がどれほど考えてもアイツら全員を殺す方法は思い浮かばなかった。
精神的弱者である少年は肉体的弱者でもある。もし、マシンガンがあれば肉体的弱者
でも強者に変貌することができたかもしれない。もし、多量の毒薬があれば精神的弱者でも強者に変貌することができたかもしれない。あくまで少年はリスクを犯したくない。ここでのリスクとは安全圏にいることである。自分に危害が及ばない安全地帯でアイツらを無双したい。そんな夢物語しか思いつかない少年の臆病な思考回路は直ぐにショートして自殺という選択肢に辿り着いた。
「お母さん・・・ごめん」
少年の唯一の理解者であり16年間愛情をこめて育てくれた母親を残して死ぬことだけが少年の蛮行を引き留める希望であった。冷たいコンクリートでできた校舎の屋上を一歩一歩踏み出して行く。その姿は英雄のような堂々たる振る舞いではなく、処刑台に向かう罪人のように恐怖で怯えていた。全身はガクガクと震え、瞳には自然と涙が溢れ出し、一歩一歩の歩幅はだんだん狭くなり、足枷をつけられたように足は重くなっていく。
少年の蛮行を引き留める最後の希望は恐怖かもしれない。死ぬよりも辛いいじめを受けていた。生きる意味などみいだせなかった。母親に助けを求める勇気を持てなかった。恐怖に立ち向かう度胸などなかった。恐怖に勝てない少年が自殺を前にして恐怖するのは当然だった。しかしこの時少年は間違った勇気を振り絞る。
「ここで飛び降りたらアイツらも恐怖するはずだ。先生達も言い逃れはできないはずだ。そのために遺書は三つ用意した。これでアイツらの悪行は全て明るみになるはずだ」
悪魔に魂を売ることで大きな力を得ることができると本で読んだことがある。これはその儀式と同じだ。少年は悪魔に命を差し出すことによって復讐が成就すると信じていた。
歪んだ思考が間違った勇気を生み出した。少年の足枷は外れ一歩一歩闊歩する。校舎の屋上の淵に立ち地面を見下ろした時、複数の手が少年を引きずるように襲い掛かる。そのまま引きずられて地面に落ちていれば目的は達成していた。しかし、少年は思わずのけぞってしまう。
「今のはまぼろしか・・・」
もちろんまぼろしであった。少年の恐怖が映し出したまぼろしである。少年は四つん這いになり再び屋上の淵に顔を覗き込む。
「やっぱりまぼろしか・・・」
屋上から飛び降りようと覚悟した少年は安堵した。これは恐怖に屈したわけではない、逆に勝利したと言えるだろう。
「お母さん・・・死にたくない」
少年は真の勇気を掴み取る。
「全部話そう・・・」
悪魔に憑りつかれたような青白い顔色が優しいピンク色に変わる。全身の震えも消え去り、鉄の鎧を脱ぎ捨てたように体も軽い。
少年は立ち上がる。向かうべき方向は屋上の淵ではなくなった。
「なんかスッキリしたなぁ~」
数年のいじめによって蝕まれた心は本来の形を取り戻す。何か解決したわけではない。明日登校すればいじめは待っている。母親に相談したところで何も変わらない。悪意に満ちた感情が少年を襲うがもう迷いはない。
少年は晴れ晴れとした気持ちになり夜空を見上げた。うつむいてばかりの人生だったので綺麗な星空を見るのは数年ぶりだった。
「え!」
夜空を見上げた瞬間に白い物体が顔にうずもれる。その物体は生暖かくてとても柔らかい。少年は痛いというよりも気持ちよいと感じていた。しかし、その白い物体が顔に直撃したことにより視界を失い、方向音痴のドライバーのように進むべき道を見失う。方向感覚を失った足は千鳥足になり正しい道を進まずに、間違った道を進みだす。
「あ!」
白い物体が顔から外れた時、少年の足は宙を歩いていた。人間は宙を歩くことはできない。すなわちそれは落下することを意味している。少年が幸いだったのは地面を背にして落ちたことである。少年の瞳に映るのは堅いコンクリートの地面ではなく、白い物体の正体である。キラキラと星のように光る金色の髪、雪のように真っ白な肌、アニメの世界で見たような短い丈のピンクの魔法着、そして魔法着の隙間から見える純白のパンティー。4階建ての校舎から地面に落ちる時間は2秒ほどだろう。少年は死を迎える最後の2秒に、綺麗な夜空を背景に美少女のパンティーを見ながら死ねたのは幸運だったと言えるだろう。
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