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ホロスコープ星国 ルシス編 パート30
しおりを挟むそれから1時間経過した・・・
「あの人は寝ているのですか?」
私は、ドラゴンの背中でお茶菓子を食べながら言った。
「アトゥム様は、大事な出来事を考えるときは、いつもあのように瞑想してあらゆることを想定して、最善の答えを出すのです。長い時は3日間あのような状態で考え込むこともあります」
「仲間の竜騎士は逃げ出しましたが、どこへ逃げたのですか?」
私は話題を変えた。
「村に戻って、アトラース様に報告をしているはずです」
「黒幕の登場ですね」
「そうです。しかし、アトラース様は気まぐれなところがあります。あれから1時間経過していますので、この状況にあまり関心がないのかもしれません」
「アトラースとはどうやって連絡を取っているのですか?」
「アトラース様にいただいた、白い魔石具に向かって声をかけると、アトラース様に連絡が取れるのです。仕組みはわかりませんが、天界の魔石具だと思います」
「携帯電話みたいなものですね」
「携帯電話???なんのことかわかりませんが、ルシス様は不思議な白い魔石具のことを知っているのですね」
「アトゥムを待つのも面倒なので、このまま村に行って、白い魔石具を使って、アトラースに真相を確かめてきます」
「わかりました。私が村まで案内します」
私は、アトゥムをとりあえず放置して、竜騎士の村に行くことにした。これ以上無駄に時間を消費するのはもったいないのである。
私はドラちゃんに、追加のプリンをあげて、村まで運んでくれるようにお願いした。
「任せるのだ!」
ドラちゃんは、大きな雄叫びをあげて、勢いよく翼を羽ばたかせて、村に向かって飛んで行った。
「このドラゴンは。もう私の言うことよりもルシスさんの言うことを聞くようになってしまいました」
シューは悲しそうに言った。
私はドラちゃんと少しだけの空の飛行を楽しんで竜騎士の村に到着した。
「あの赤い屋根の大きな家が、アトゥム様の屋敷になります。白い魔石具はアトゥム様の屋敷にあります」
「わかりました。白い魔石具の場所まで案内してください」
「シュー、裏切ったのか!」
屋敷から一人の男性が出てきた。
「セト、俺の話を聞いてくれ。ルシス様は俺たちを救いに来てくれた天使のような方だ」
「天使ではありません」
私は少し不機嫌になる。
「申し訳ありません・・・神のような・・・」
「神ではありません。私は世界を救う魔王様のような人物に憧れているのです」
私に多大なる力を与えて下さった天使様には申し訳ないが、私は魔王の娘なので、天使と表現されるのは納得がいかない。さらに神などと表現されるのはもっと納得がいかないのである。
「ルシス様は・・その・・あの・・魔王様のようなに強くて優しい方だ。俺はルシス様に呪いを解除してもらった。お前もルシス様を信じて、呪いを解除してもらった方が良いぞ」
『デレデレ』
私は魔王様のようなと言われて、嬉しくてニヤニヤしている。
「そんな話信じられるか!それよりもアトゥム様はどうなったのだ!まさか・・・殺したのか?」
セトの顔が凍りつく・・・
「アトゥム様は今考え中だ。もうしばらく時間がかかるだろう」
「お前は悪魔に魂を売ったのだな!」
セトはシューの話をきちんと聞いていない。
「俺の話をきちんと聞け」
「うるさい。俺は騙されないぞ。もう時期アトラース様が来る頃だ。お前達の命もこれまでだ」
セトは気が狂ったのかのようにニヤニヤと笑い出した。
「あの方に何を言っても無駄みたいです。恐怖のあまり理性を失ってしまっていると思います」
セトは、ウルフキングの強さを目の当たりにし、そして、私の強さを見て恐怖のあまり理性が崩壊したのであった。
「セトは無視して、屋敷に入りましょう」
シューが、悲しそうな目をして言った。
「わかりました」
私とシューは、セトを無視して、屋敷の中に入ることにした。
「ゲハハハハ・ゲハハハハ」
私が近づいていくと、セトは空を仰ぎながら不気味な笑い声を上げた。
私が屋敷に扉を開けようとした時、空が金色に輝き、一筋の稲光が屋敷の前に激突した。
『ズドーーーン』
大きな鈍い音が響き渡る。
「私の遊びを台無しにしてくれたのはあなたですか?」
稲光が落ちた先にから一人の白いローブをまとった金色の長い髪の男性が現れた。
私は声のする方へ目を向けた。
「アトラース様、あの女が不法侵入者です。アトゥム様も殺されたみたいです。あの悪魔のような女を倒してください」
セトは、アトラースに駆け寄り懇願する。
「汚らわしい」
アトラースは、駆け寄るセトを蹴り飛ばした。
「アトラース様!」
セトは蹴り飛ばされて、転がりながら叫ぶ。
「下等な生き物が、俺に気安く近寄るな!」
アトラースは白い杖をセトに向けて振りかざした。
『ディサピアランス』
アトラースは光魔法を使った。白い杖から光り輝く光線がほとばしった。
「アトラース様・・・」
セトは金色の光線を浴びて、跡形もなく消えてしまった。
「セト・・・」
シューは呆然と立ち尽くして、消えていくセトをじっと見つめていた。
「アトラース様、なぜセトを消滅させたのですか?」
シューは涙を浮かべながら言った。
「新しいおもちゃが来たみたいだから、お前たちはもう必要ないのだよ」
アトラースは、ニヤニヤと笑いながら言った。
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