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ホロスコープ星国 ルシス編 パート15

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 翌朝


 「何があったのですか?」


 ヴァンピーがドラキュンの部下に問う。


 「昨日、ハダルの町に2人の女の子が訪れました。1人はC1ランクの冒険者で、もう1人は子犬に変身できる女の子です。その2人は、ハダルの町へ不法侵入しよと計画していましたので、ドラキュン様が2人を拘束して、なぜ不法侵入したよとしたのか尋問をするために、屋敷の倉庫に連行したのです。そして、ドラキュン様が尋問している最中に悲鳴が聞こえたので、倉庫を確信したところ、ドラキュン様が気を失って倒れていたのです」


 部下は昨日の出来事を説明する。


 「それで、ドラキュンは目を覚まさないのね・・・」


 ヴァンピーは、この時はまだ王に任命されていない。ヴァンピーは選挙活動のために、ハダルの町に訪れていたのである。


「いえ、違います。昨日の晩にやっと意識を取り戻したのですが、それまで眠った状態だったので、なかなか眠ることが出来ず、明け方にやっと眠ることができたのです。なので、ただ寝ているだけです」


 「そういうことなのね・・・しかし、その女の子達は一体何者かしら?」

 「ドラキュン様が、目を覚まし次第確認するのが良いと思います」

 「そうね・・・でも、ドラキュンはなかなか目を覚ましそうにないので、私が、直接女の子達に会って確認するわ」

 「ヤメておいた方がいいと思います。私がその女の子を見た時、その女の子は、子犬を抱いて目がハートマークになり、不穏な動きをしていました。その姿を見た時、私はかなりヤバい人物だと感じました」

 「大丈夫よ。私はそんな変わった女の子の扱いには慣れているわ」


 ヴァンピーは、フェニという特殊な女の子を相手していたので、風変わりな女の子には耐性がある。


 「それなら、倉庫へ案内します」


 ドラキュンの部下は、ヴァンピーを連れて倉庫へ向かった。


 「・・・」


 倉庫を見た部下は、目が点になっている。


 「いつの間に、こんなに豪華な倉庫に改装したのかしら?」


 ヴァンピーは倉庫の存在は知っている。なので、3階建ての豪華な倉庫に様変わりしているので、改装したのだと思ったのである。


 「いえ違います。昨日まではただの汚い倉庫でした」

 「そんなわけないでしょう。1日でこんな立派な倉庫・・・というよりも豪邸を作るなんて不可能よ。しかも、ドラキュンの屋敷よりも大きくなっているのじゃないのかしら?」


 私は数時間で、しょぼい倉庫を3階建ての立派なお屋敷にリフォームしたのである。一階には大きな食堂やキッチン、多目的ホールを作り、そして、螺旋階段を登って2階に上がると応接室、客間などがある。そして、3階にはゆっくりと休める部屋4つ作ったのである。


 「そのようでございます。私は夢でも見ているのでしょうか・・・」

 「残念ながら夢ではないみたいよ。とりあえず、倉庫の中に入ってみましょう」


 ヴァンピーは倉庫に入ろうとした。


 「鍵がかかっているわ。鍵を開けてくれるかしら」

 「私の持っている倉庫の鍵で開くのでしょうか?」

 
 部下はオロオロしている。


 『ガチャガチャ・ガチャガチャ』

 「開きません」


 部下や涙目で言った。


 「鍵が開かないということは、本当に一夜にして建てられたというこのね」


 ヴァンピーは驚かない。それはフェニが規格外なことをしてきたので、驚き耐性がついているのである。


 「中にいる女の子達に開けてもらうしかないわね」

 「それが良いと思います」


 ヴァンピーは扉をノックした。


 『コンコン・コンコン』


 「はーい、なのだぁ」


 中からゲリの声がした。


 「ドアを開けてもらえるかしら」

 「誰なのだぁ?」

 「私は、この町の領主ドラキュンの姉ヴァンピーです」

 「知らないのだぁ」


 ゲリが知らないのは当然である。


 「この倉庫はドラキュンの倉庫です。ドアを開けないと不法占拠の罪で監禁されますよ」


 しかし、私たちはもう監禁されているのである。


 「監禁されたくないのだぁ」


 ゲリは監禁されている自覚はない。


 「なら、ドアを開けるのよ」


 ヴァンピーは強い口調で言った。


 「ダメなのだぁ・・・ルシスちゃんに知らない人が来たら、絶対にドアを開けないようにと、言われているのだぁ」


 私は、ゲリにドアを開けないように注意をしていた。それは、ゲリがいつ何時誰にベアハッグをするかわからないからである。私はこれ以上罪を増やしたくないのである。


 「それなら、ルシスさんを呼んできてくれるかしら」

 「う~~ん・・・それも無理なのだぁ」

 「どうしてかしら」

 「ルシスちゃんは寝起きが悪いのだぁ。ルシスちゃんを怒らせると怖いのだぁ」

 
 私は昨日、短時間で倉庫を魔改造という名のリフォームをしたので、かなり疲れていた。なので、ゆっくりと寝たいので、ゲリに目が覚めるまで起こさないようにと頼んでいたのであった。


 「ルシスさんは、いつ目を覚ますのかしら」


 ヴァンピーは怒ることはしない。それは、シールドを張って眠りから絶対に覚めないフェニに、散々苦しめられたからである。ヴァンピーはフェニと一緒にいることで、様々な耐性をゲットしている。なので、どんなことがあっても冷静で慎重に対応できるのである。


 「お昼ぐらいなのだぁ」

 「わかりました。それならお昼にまたお伺い致します」


 ヴァンピーは倉庫に入ることを諦めて、ドラキュンの屋敷に戻るのであった。

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