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ホロスコープ星国 パート44

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 「アクエリアスさん、私は、もっと美味しいパンが食べたいのよ。王都から1番のパン職人を、アケルナルの町へ連れてきてくれるかしら」


 ヴァルゴが、アクエリアスの瞳を見つめながら言う。


 「ヴァルゴ様がお望みなら、すぐにでも連れてきます」


 アクエリアスは、ヴァルゴの虜になっているので、なんでも言うこと聞くのであった。


  「他に何か要望はありますでしょうか?」


 アクエリアスは、少しでもヴァルゴの望みを叶えたいのである。


 「もう、この屋敷にも飽きてきたから、新しい屋敷を作って欲しいわ」


 ヴァルゴは、アクエリアスの首元に手を伸ばして、頬を撫でながら言った。


 「わかりました。この屋敷より豪華な屋敷を早急に作らせます」


 アクエリアスの喜びは絶頂であった。ヴァルゴに体を触れられるのは、この上なく嬉しいのである。

 アクエリアスは、すぐに屋敷を飛び出して、王都からパン職人を連れ去る作戦と、ヴァルゴの新しい屋敷の建築の手配を行う会議を開くのであった。


 「退屈だわ」


 ヴァルゴは、ボソリとつぶやいた。


「なぜでしょうか?」


 ヴァルゴの世話係のノスフェラーが言う。


 「全てが、私の思い通りになるからよ」


 ヴァルゴは、『魅惑』の能力により、何事も自分の思い通りになるのであった。


 「素敵なことではありませんか」


 ノスフェラーが、笑いながら言った。


 「私は刺激が欲しいのよ。私の意を反して、私に対して攻撃を仕掛けてくるような、素敵な人に出逢いたいのよ」


 ヴァルゴは、大きく両手を上げて、天を仰ぐように言った。


 「それは難しいことでしょう。ヴァルゴ様の美しさの前では、誰しも無力になってしまいます」


 ノスフェラーは、微笑みながら言った。


 「そうね。あなた以外はね・・・」


 ヴァルゴの目つきが鋭くなる。


 「そんなことありませんわ。私はヴァルゴ様をお慕い申しております」


 ノスフェラーが跪いて言う。


 「私にはわかるのよ。あなたの忠誠心は偽物よ」


 ヴァルゴは先ほどまでとは違い、氷のような冷たい表情になっている。


 「そう思うのなら、なぜ私を世話係に任命したのですか」


 ノスフェラーは、終始笑顔を絶やさない。


 「さっきも言ったけど、刺激が欲しいのよ。あなたを側に置いておけば、いずれ何かが起こると思っているのよ」


 ヴァルゴはノスフェラーの目を見て、笑いながら言った。


 「買いかぶりすぎですわ。私は何もできませんわ」


 ノスフェラーは、笑って誤魔化した。


 「いいわ。いずれあなたの正体を突き止めてみせるわ」


 ヴァルゴは、にこやかな顔をして言ったのであった。



★フェニ視点に戻ります



 私は、レジスタンスのアジトに案内された。


 「レジスタンスさんはどこにいてるのですか?」


 私はワラキアに聞いた。


 「どう言うことでしょうか」


 ワラキアは首を傾げる。


 「私はレジスタンスさんに、協力するように言われました。なのでレジスタンスさんと話をしたいのです」


 私は飲み込みの悪いワラキアに、不機嫌そうに言い放った。


 「フェニ王、彼がレジスタンスのリーダーのワラキアです」


 レオが、私に助言した。


 「レジスタンスのリーダーのワラキア???」


 もちろん、飲み込みが悪いのは私である。


 「そうです。レジスタンスとは、人の名前ではありません」


 レオは私の耳元で、小さくつぶやいた。


 「エーーーーー」


 私は、大声で叫んでしまった。


 「私が、レジスタンス『レッドブラット』のリーダーのワラキアです」


 ワラキアは、私の間違いがなかったかのように、きちんと挨拶をしてくれた。


 「レジスタンス?レッドブラッド?リーダー?ワラキア?」


 たくさんの名前が出てきて、さらに私がパニックになったのであった。

 
 「そうです。私がワラキアです」



 私のパニックを察して、ワラキアは、最低限の自己紹介に変更した。


 「私はフェニちゃんです」


 私は、最大限の笑顔で自己紹介した。そう・・・笑って誤魔化すという戦法をとったのであった。


 「フェニさんのことは、レオさんからいろいろと聞いています。フェニさんのおかげで、革命の火が灯りました。フェニさん、一緒に革命を成し遂げましょう」


 ワラキア、は熱い思いを私にぶつけた。


 「わかりました。全力で協力します」


 ワラキアの熱い思いは、私には理解できなかったが、私は会議室の空気を読んで、協力を承諾したのであった。


 「では早速、ヴァルゴ様のいるアケルナルの町へ行きましょう」

 「はーーい」


 私は、軽やかに返事をした。


 「フェニ王、どうやって、ヴァルゴを救出するつもりですか」


 レオは、私に尋ねる。


 「直接会って、連れて帰ればいいのです」


 私は基本無計画である。なので、とりあえず、ヴァルゴのところへ行けばいいと思ったのであった。


 「ほほう・・・ヴァルゴとフェニ王の会談ですね。それはいい考えだと思います。フェニ王の強さを知れば、ヴァルゴも協力するに違いありません」


 レオの瞳は曇っている。なので、私の意見は全て良いように捉えるのであった。


 「アケルナルの警護は鉄壁です。どうやって、ヴァルゴ様のところまで行くのですか?」


 ワラキアが、アケルナルの現状を私に説明する。


 「それは問題ない。ここには『星の使徒』が4人もいるのだ。『星の使徒』がアケルナルの町を訪れれば拒むことはできない。もし拒むようなら、俺が力づくでも門を開けてやるぜ」


 レオが勇ましく言った。


 「確かにそうでございます。私たちには4人の『星の使徒』にフェニさんがいてます。何も恐れる必要などなかったのですね」


 ワラキアは、嬉しそうに言った。
 
 そして、私たちは、アケルナルの町へ向かうのであった。


 

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