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ホロスコープ星国 パート38

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 私は、ヴァンピーの忠告を無視して、ベガちゃんを運んで、王都の塀を飛び越えるところまでは成功したが、水路を越えようとしたところで、ベガちゃんを水路に落としてしまったのであった。

 勢いよく水路に落ちたベガちゃん・・・私はすぐに水路に降りて、ベガちゃんを探すが、水路の中に沈んだベガちゃんを見つけることができないのであった。


 「ベガちゃん!ベガちゃん!」


 私はパニックになって、ベガちゃんの名前を大声で叫んでいた。


 「お嬢さんが落としたのはこのお牛さんですか?」


 水路の中から、ベガちゃんをおぶって飛び出してきた男性が、泣いている私に声をかけてきた。


 「私のベガちゃんですぅ~」


 私は、泣きながら言った。


 「空から牛を落とすのは、やめた方がいいぜ」


 男性は、私を指さしてカッコよく言った。


 「わかりました。ベガちゃんを助けてくれて、ありがとうございます」


 私は、深々と頭を下げてお礼を言った。


 「気にすることはないぜ。水のことなら、このピスケス様に頼めば、全て解決するぜ」


 ピスケスはウインクをしながら言った。


 「ピスケスさんカッコイイです」


 私の大事なベガちゃんを助けてくれたピスケスは、私にとってヒーローであった。


 「俺がカッコイイだと・・・嬉しいことを言ってくれるぜ」


 ピスケスは、すごく嬉しそうであった。


 「カッコイイです。水面からベガちゃんをおぶって出てくる姿は、まさにスーパーヒーローですぅ~」


 私は、本心で言った。


 「スーパーヒーロー・・・素敵な響きだ」


 ピスケスは自分に酔っている。


 「何があったのだ!」


 ベガちゃんが水路に落ちて、大きな音がして、私が大声で泣き叫んだので、門を警護していたアリエルが、何か起きたのかと思って、水路に駆けつけたのであった。


 「ヒーロー物語が起きたのさ!」


 ピスケスは、まだ自分に酔っている。


 「何を訳のわからないことを言ってるのだ!」


 アリエルがピスケスを怒鳴りつける。


 「お前は、ヒーローの器ではないから、俺の言葉の意味を理解できないのだ」


 ピスケスは、アリエルを見下すように言った。




 「お嬢さん、牛さんがたくさん水を飲んでいるので、こうやって、水を吐き出させると良いでしょう」


 アリエルとピスケスが言い争っている間に、サジタリウスも水路に到着して、水をたくさん飲んで、ぐったりとしているベガちゃんの介抱をしてくれているのであった。


 「すごいですぅ~」

 
 私は、サジタリウスのテキパキした動きに感動していた。サジタリウスの手際の良い救助活動により、ベガちゃんは多量に飲んだ水を吐き出して、意識を取り戻したのであった。


 「ヒヒヒーーン」


 ベガちゃんは、サジタリウスにお礼を言っているみたいである。


 「ヒヒン・ヒヒン」


 そして、私に無茶をしないでね!と注意をしているみたいであった。


 「ベガちゃん、ごめんなさい」


 私は素直にベガちゃんに謝った。


 
 「そんなことより、このガキは何者だ!」


 アリエルは、私の存在に気づいてみたいである。


 「それこそどうでも良いだろ。お前はヒーローになれない出来損ないだ」


 ピスケスは、私にスーパーヒーローと言われて、有頂天になっている。


 「ベガちゃんを救ってくれてありがとうございます。あなたも私のスーパーヒーローですぅ~」


 私は、アリエルの存在を無視して、サジタリウスにお礼を言った。


 「俺もスーパーヒーローかぁ・・・」


 サジタリウスも、とても嬉しそうである。


 「お前らは、使い物にならん!その怪しいガキは、俺が連れて行くぜ」


 アリエルは、ピスケス、サジタリウスの様子を見て、話すだけ無駄と感じて、怪しそうな私を連れて、門へ帰ることにしたのであった。


 「ちょっと、待ちな」


 ピスケスは、上目遣いでカッコつけて言った。


 「お嬢さんに危害を加えることは許さないぜ」


 サジタリウスも、大きく腕を上げらながら言った。


 「俺の邪魔をするのか」


 アリエルが2人を睨みつける。


 「ここは水路の近くだぜ。俺に勝てると思っているのか」


 ピスケスは、挑発するように言った。

 サジタリウスは、さっと姿をくらました。


 「サジタリウスは、お前を射程範囲に捕らえているだろう。お前が不審な動きをすれば、サジタリウスの矢が飛んでくるぜ」


 ピスケスは、アリエルに警告した。


 「お前達、何をしているのかわかっているのか?」


 アリエルは、分が悪いと感じている。


 「俺は、その子のスーパーヒーローだ。だから、その子を連れて行くことは俺が許さない」


 ピスケスは、スーパーヒーロとして、私を守ると宣言したのである。


 『ピュッ』


 弓矢がアリエルの頬をかすめた。


 「サジタリウスも俺と同じ気持ちみたいだぜ。大人しくこの場を去らないと、次は外さないはずだ!」


 ピスケスは、サジタリウスの気持ちを代弁した。


 「お前ら・・・後で後悔するぜ」


 そう言って、アリエルは門へ戻って行った。


 「お嬢さん、もう安全です」


 ピスケスは、ガッツポーズをしながら言った。


 「ありがとうございます」


 私は、笑顔でお礼を言った。


 「当然のことをしただけだ」


 ピスケスは誇らしげに言う。


 「本当にカッコイイですぅ~」


 見ず知らずの私を助けてくれたピスケスに、感謝の意を込めて言った。


 「カッコイイ・・・良い響きだぜ」


 ピスケスの顔が、だるんだるんに緩んでいる。


 「俺の弓は、どうだったかな?」


 サジタリウスは、アリエルが去ったことを確認すると、急いで私の目の前に現れた。


 「カッコいいです!」


 もちろんサジタリウスも褒めてあげた。


 「デヘヘヘへ」


 サジタリウスはニヤついている。


 「私は、先を急ぐので、これで失礼します」


 私は、カペラの町へ向かわないといけないので、牛のようになったベガちゃんを引き連れて、カペラの町へ向かうことにした。



 「これから、どうするよ」


 サジタリウスがピスケスに問う。


 「俺たちは、あの子のスーパーヒーローだぜ。あの子に危険が訪れないように、俺たちが守ってあげないといけないぞ」


 ピスケスが、瞳を輝かせながら言った。


 「その通りだな。よし、俺の『超ノゾキ』であの子に危険が訪れないか見守るぞ」


 サジタリウスが嬉しそうに言った。

 こうして、私の知らないところで、私の『見守り隊』ができたのであった。

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