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ホロスコープ星国 パート34
しおりを挟む「キャンサー!そのお嬢さんに手出しをしないでください」
スコーピオは、私がキャンサーに連れ去られると思っているのである。
「スコーピオ、邪魔はしないでもらえるかな」
キャンサーは、私が嬉しそうに笑っているのに快感を覚えているのであった。
「その子は、私の大事な人の知り合いです。私の言う通りにしてください」
スコーピオは、このままだと私がキャンサーの『高速横走り』の犠牲になってしまうと感じたのである。
「フェニちゃん、スコーピオを知っているのですか?」
キャンサーは驚きながら言った。
「知らないですぅ~」
私はスコーピオの顔を覚えていなかった。
「キャンサー、その子を下ろして、私に渡しなさい」
スコーピオは、鋭い目つきでキャンサーを睨みつける。
「フェニちゃんをどうするつもりだ」
レオが、キャンサーの前に立ちはだかり、私を守るように現れた。
「レオ・・・貴方こそ、その子をどうするつもりですか?」
スコーピオは、レオとキャンサーの2人を相手にするのは、危険だと感じたが、もう引くことはできないのであった。
「俺は、フェニちゃんに忠誠を誓ったのだ。だから、お前にフェニちゃんを渡すことはできないのだ」
レオは、誇らしげに言った。
「そうだ。俺も忠誠を誓ったぞ」
キャンサーも大声で宣言した。
「どういうことですか?」
スコーピオは理解できないのであった。
「ライちゃんも横走りちゃんも私の友達です。貴方こそ、私の遊びの邪魔をしないでください」
私は楽しくキャンサーの『高速横走り』を楽しんでいた。なので、邪魔をしにきたスコーピオに腹が立っていたのであった。
「えっ」
スコーピオは全く理解できないのであった。
「スコーピオ、俺はもうジェミニ王の配下ではない。これ以上の会話は無用だ。すぐにこの場を立ち去らないと、俺はお前を殺すことになるだろうぜ」
レオは、威嚇するように大声を張り上げていった。
「そういうことだ。フェニちゃんを捕らえることは、オレ達が許しはしないぞ」
キャンサーもスコーピオは睨みつけながら言った。
「待ってください。私はその子を捕まえにきたのではないのです。むしろ助けに来たのです」
慌てて、スコーピオが言った。
「どういうことだ」
レオが不思議そうに問いかける。
「私は、ポルックス様に頼まれて、その子を守りに来たのです」
スコーピオは、冷や汗をかきながら必死に言った。
「フェニちゃん、ポルックスを知っているのですか?」
レオが私に問いかける。
「ポルさんなら知ってます。アダラの村に来たのは、ポルさんの依頼ですぅ」
流石の私も依頼のことは忘れていないのである。
「レオ、キャンサー、私の話を聞いてください」
スコーピオは、レオとキャンサーがジェミニ王を裏切ったと悟って、ポルックスのことを説明したのであった。
「そういうことなのか」
レオは笑いながら言った。
「理解したぜ。お前も俺らと同様にジェミニ王を裏切ったのだな」
キャンサーは楽しそうに言った。
「私は、ポルックス様に忠誠を誓っています。なので、ポルックス様がジェミニ王に仕えるように指示をされていますので、今もジェミニ王にも忠誠を誓っています」
スコーピオは真面目に答えた。
「やっぱりこの村は、レジスタンスのアジトだったんだな」
「そうです。この村を隠れ蓑にして、レジスタンスの活動をしています。今は、あなた方2人が村を監視していたので、活動は止まっています」
「俺たちは、もうレジスタンスには興味はない。好きに活動するがいい」
「それは助かります。レオとキャンサーはこれからどうするのですか?」
「どうしよう・・・」
レオは考え込む。
「俺はレオについて行く」
キャンサーはレオに丸投げする。
「フェニちゃん、俺はどうしたらいいのだ」
レオは、困惑しながら言った。
「カペラの町へ行ったらいいよ」
私は基本無計画である。なので、レオにどうしたらいいか聞かれても困るのである。なので、とりあえずポルックスに、任せよと思ったのであった。
「それがいいでしょう。ポルックス様なら喜んで歓迎してくれるでしょう。ジェミニ王には私から、上手いこと伝えておきます」
「俺は、フェニちゃんの言われたことに従うまでだ」
レオは威勢良く言った。
「俺も着いていくぜ」
もちろんキャンサーも同行する。
「あっ、村長さんにお手紙を渡さないと・・・」
私は重大な任務を忘れていたのであった。こんなところで無駄話をしている暇があったら、早く村長のところへ行って、ポルックスに受けた依頼を達成しないといけないのであった。
依頼は達成が早いほど、報酬額も増えるのである。なので、1秒でも早く依頼を達成したいのであった。
「フェニさん、もう村長への手紙は必要ありません。村長への手紙よりも、ポルックス様に、レオとキャンサーが貴方の仲間になったことを、すぐに報告した方がいいと思います」
スコーピオは優しく言った。
「依頼失敗しちゃったの・・・」
私は、もう手紙が必要ないと言われて、ポルックスのからの依頼が失敗したのだと思ってしまった。
『エーーン、エーーン』
「私頑張ったのに、依頼失敗しちゃったよ」
私は、依頼料を返還しないといけないと思って、泣き出したのであった。
「フェニさん、違います。依頼は大成功です。失敗などしていません」
スコーピオは慌てて、私に言い聞かす。
「本当ですか・・・」
私は涙ぐみながら言った。
「本当です。フェニさんのおかげで、レジスタンスのアジトは見つからず、しかも、レオとキャンサーを仲間にすることができました。追加の報酬をもらってもいいくらいです」
スコーピオは、私を元気つけようと明るく言った。
「追加報酬ですか!!!」
さっきまで泣いていた私の顔は、ダルンダルンになるくらいに緩んで、ニヤニヤしているのであった。
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