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ホロスコープ星国 パート32

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 「俺を怒らせない方がいいぞ」


 レオは、冷酷な目で私を睨みつける。


 「お前に大金は不要だ!俺が有意義に使ってやる」


 キャンサーの目は、ギラギラと輝いていた。


 「手紙もお金も渡しません!」


 私はキッパリと言った。


 「ガキが調子に乗るなよ」

 
 『ライオンモード』


 レオの体からモフモフの金色の毛が生えてき、体もムクムクと大きくなった。レオは体長3mの二足歩行のライオンに変身した。口からは鋭い大きな牙を生やし、二つの大きな手には、刃のような爪が伸びているのであった。


 「俺は、どんな相手でも手を抜くことはしない。たとえガキであろうとも、俺に歯向かうものは容赦しないぜ」


 レオは低い声で私を脅すように言った。


 「レオ、ガキの相手は任せるぜ」


 キャンサーは面倒なことはしない。全てレオに任せて、私がレオに倒された後にお金を回収することにしたのであった。


 レオは、ズシンズシンと音を立てて、私の目の前に歩き出した。

 私は、すぐにライトシールドを張って、レオの攻撃に備えることにした。


 「シールド魔法を使えるのか・・・お前は、ただのガキではないな」


 レオは冷静に私を分析する。


 「わかったぞ!お前はウルフキングの仲間のガキだな」


 レオは、私とフレキの手配書を確認している。手配書とは雰囲気が違うので、すぐには気づくことはなかったが、レオの冷静な判断で、私を手配書の女の子だと推測したのであった。


 「レオ、俺も加勢しようか」


 フレキの仲間と知って、キャンサーも緊張感が湧いてきた。


 「お前は、周りの様子を確認しておけ。ウルフキングが隠れているかもしれないぞ」


 レオはウルフキングを警戒している。


 『剛腕』『倍倍』


 レオは『スター』を発動して、筋力を強化した。『ライオンモード』でもかなりの腕力があるが、さらに強化したのであった。レオは、バネのように地面を蹴って、私にもう突進してきた。そして、5本の鋭い爪で私の『ライトシールド』破壊しようとした。

 私は魔力を『ライトシールド』に専念した。タラウスの時とは違って、レオの並々ならぬ殺気に油断は禁物だと感じたのであった。レオは他の『星の使徒』と違って、自分の力を過信して、相手を舐めたような行動はしないのであった。レオは、どのような相手でも全力で、最善を尽くして攻撃するのであった。

 
 『カキーーン』


 レオの鋭い爪の攻撃を、私の『ライトシールド』が防いだ。しかし、『ライトシールド』わずかに亀裂が入った。レオは、全てパワーを爪先に集中させて、亀裂の入ったところを集中的に攻撃を仕掛けるのであった。

 私は、『ライトシールド』を盾にして、素早くレオの背後に回り込んだ。


 『ヘルファイヤー』


 しかし、レオはすぐに振り返って、両手をクロスして、私の巨大な炎を受け止める。


 『耐熱』『倍倍』


 レオは『スター』を腕力から防御に変えた。

 レオの体は炎に包まれるが、すぐに鎮火した。


 「『対熱』を習得した俺に、炎系の魔法は通用しないぜ」


 レオは自慢げに言った。


 『耐熱』とは、ある程度の炎の魔法を無効化できる『スター』である。『耐熱』を習得するには、並大抵の努力では習得できないと言われている『レアスター』である。なので、『耐熱』を使える者はほとんどいない。

 炎の魔法を得意とする私には、レオは天敵であるのかもしれないと私は感じた。

 
 「いくぜ」


 レオは、猛ダッシュして私に突進してきた。

 
 『剛腕』『倍倍』

 『ゴロンゴロンアタック』


 レオは『スター』を攻撃力に特化させて、私に転がりながら突っ込んできたのであった。

 私は、炎の翼を出して、勢いよく空へ逃げ出した、

 目標物を失ったレオは、そのまま近くの大木を薙ぎ倒して進むのであった。


 「空に逃げるなんて卑怯だぞ」


 レオは、薙ぎ倒された大木の隙間から大声で叫んだ。

 パワー重視のレオにとって、空に逃げた私を攻撃するのは難しいのかもしれない。


 「これでもくらえ」


 しかし、レオは大木を掴んで、私に向かって投げつける。


 『ヘルファイヤー』


 私は、レオの投げつける大木を次々に燃やしていく。しかし、このままではお互いに埒があかないのであった。


 「これを使ってみようかな」


 私は、収納ボックスから剣を取り出した。

 私は剣術のセンスは皆無だった。だからパースリの町では地下室に送り込まれたのであった。しかし、リプロ様に魔法と剣術は大切だからきちんと練習しなさいと注意を受けていた。リプロ様が言うには、剣に魔力を流し込み、剣に新た力を与えることで、非常に強力な武器になると言っていた。そして、私はリプロ様にティルヴィングという剣をもらっていた。

 この剣はとても不思議な剣で、狙った者を絶対に外さない剣であるとリプロ様が言っていた。なぜ?リプロ様がこんな私のために、女の子にしてくれたり、不死鳥フェニックスの能力をくれたり、そしてティルヴィングという不思議な剣をくれたのかはわからないが、この剣はリプロ様がくれた大事な剣なので、使わずに大事に保管していたのであった。

 しかし、大切に保管するよりも、実戦で使った方が、リプロ様も喜んでくれるはずなので、私は意を決して、ティルヴィングを収納ボックスから取り出したのであった。

 私はティルヴィングを握りしめて、魔力を流し込む。ティルビングはルビーのように綺麗に光り輝いた。


 「ライちゃん、私の邪魔をするのでしたら、頭を切り落としちゃいますよ」


 私は、ティルヴィングを握った時に、凄まじい力を感じた。この剣を使えば、ライちゃんを一瞬で倒せると私は確信したので、ライちゃんに警告をしたのであった。


 「俺に脅しは通用しないぞ。そんなヘンテコな剣で何ができるのだ!」


 レオは、私の警告を無視して、『スター』を発動した。


 『防備』『倍倍」


 レオは、防御力を最大限にまで上げたのであった。

 私は、さらに魔力をティルヴィングに流し込んだ。そして、私は剣を強く握りしめて、レオのところへ炎の翼をバタつかせて急降下した。



 「ごめんさい」


 レオは『ライオンモード』を解除して人間の姿に戻って、土下座をして謝ったのであった。

 レオは、理論的で無駄なことはしない。レオは、私がティルヴィングを取り出したときに、すぐに悟ったのであった。あの剣はやばいと。しかし、レオにも『星の使徒』としてのプライドもあるので、なんとか防ぐことはできないかと、防御力をアップして、対抗しよとしたが、私がさらに魔力をティルヴィングに注ぎ込んだのを見て、絶対に勝てないと判断したのであった。

 しかし、攻撃モードに入った私は、急に止まることはできない。でも、土下座をして謝っている人の頭を切り落とすことは、私にはできないのであった。

 私はレオを攻撃するのをやめたが、勢いを止めることはできず、そのままレオに衝突したのであった。


 『ゴッチン』


 レオと私の頭が衝突して、すごい鈍い音が響いたのであった。
 

 
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