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ホロスコープ星国 パート27

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 ★フェニ視点に戻ります


 ベガちゃんの体調も万全になったので、私はベガちゃんに乗り、王都シリウスに向かって、パカパカと走り出した。

 ベガちゃんが頑張ってくれたので、日が暮れる少し前に、王都シリウスへ入る門まで辿り着くことができたのであった。

 王都シリウスの門には、黄色の鎧を着た兵士たちが、門を守るように取り囲んでいた。


 
 ★ホロスコープ視点になります



 「アリエル団長、今日もウルフキングは姿を見せませんでしたね」


 王都シリウスの門を守る兵士が言った。


 「そうですね。でも油断は禁物です。ライブラからウルフキングを討伐したとの連絡があるまでは、安心はできません」


 緊張した面持ちでアリエルが言う。


 「ライブラ様が、ウルフキングの討伐に出て、もう1週間を過ぎています。もしかしたら、ウルフキングに殺されたのではないかと、王都では噂になっています」


 兵士が怯えながら言った。


 「それはないでしょう。ライブラの『ゾディアックサイン』の能力は最強です。ライブラが負けるとは思いません」


 アリエルは自信を持って言った。


 「私もそう思います。ライブラ様が、たかがウルフの魔獣に殺されるなんてありえません。平民どもはライブラ様の強さを知らないのだと思います」


 兵士は、拳をにぎしめながら力強く言った。


 「スコーピオが、大袈裟にウルフキングの強さを説明したので、ウルフキングが魔獣王並みに強いという嘘の情報が、王都の市民に伝わっているのが原因だと思います」


 アリエルは、黄色い髪をかき上げながら、イライラしながら言った。


 「確か・・・ウルフキングの討伐難度はC3ランクのはずです。それがいつの間にか、魔獣王クラスの強さだと嘘の情報にすり替わっています。誰がこんな嘘の情報を流したのでしょうか」


 兵士は疑問に思った。


 「レジスタンスでしょう。ウルフキングが北の森から姿を現して、南下していると情報を聞きつけて、ホロスコープ星国を混乱させるために、嘘の情報を王都に流したのだと私は思っています」


 アリエルは、スコーピオから直接ウルフキングの強さを聞いている。しかし、アリエルは、スコーピオを信用していない。それは、スコーピオがポルックスを敬愛していることを知っているからである。

 アリエルもポルックスに、『ゾディアックサイン』の能力は、国民を守る為に使うべきであり、己の力を誇示するためではないと何度も注意されていた。しかし、アリエルは、『ゾディアックサイン』の能力は、選ばれしエリートの証だと思っているので、ポルックスの教えには賛同できないのであった。

 そんなポルックスを敬愛しているスコーピオの情報を、そのまま信用するわけにはいかないのであった。なので、アリエルは、カプリコーンにウルフキングの強さを再度確認したのであった。


 「ウルフキングの強さだと・・・大したことないわ。ガハハハハ」


 とカプリコーンが言ったので、アリエルは、ウルフキングはC3ランクの魔獣だと思っているのであった。


 

 「一緒にいる子供はどう思われますか?」


 兵士がアリエルに聞いた。


 「なぜウルフキングと共にいるのかわからないですが、ただの子供だと思います。しかし、油断してはいけません。ウルフキングは、人間に化けることができると聞いています。なので、その子供も魔獣である可能性があります」


 アリエルは、淡々と言った。しかし、アリエルは、とてもイライラしていた。C3ランクのウルフキングに、ただの子供の女の子に対して、『星の使徒』である自分が、門番という下等な仕事をしないといけないことに。門番など高貴な身分である『星の使徒』がするべき仕事ではないと思っているのであった。


 「17時になりましたので、私はシリウス城に戻ります。夜勤はヴァンピー担当です」


 そういうと、アリエルは、すぐに門を離れて行った。


 「皆さん、お疲れならもう帰ってもいいのですよ」


 黒い長い髪の美し女性が、門を守る黄騎士団の兵士に言った。


 「いえ、自分はまだ働けます」

 「私もです」

 「もちろん私もです」


 門を守る全ての黄騎士団の兵士が言った。


 「そうなのね。それならお願いするわ」


 この美しい女性が、王都シリウスで1番の魔法士のヴァンピーである。ヴァンピーと少しでも一緒にいたい黄騎士団の兵士は、勤務時間外なのに誰も帰ろうとしないのであった。

 ウルフキングが攻めて来るかもしれないので、王都の門は、17時までは、黄騎士団が守り、17時になるとヴァンピーが率いる魔法士団が門を守っているのであった。

 しかし、ヴァンピーの率いる魔法士団は5名と人数が少ないので、有志の兵士が多数集まって、門の警護についているのであった。

 有志とは聞こえが良いが、実際はヴァンピーの美しさに惚れている兵士ばかりであった。


 「ヴァンピー、女の子がこちらへ向かってきているわ」


 魔法士団の1人シーシュが言った。


 「手配書の女の子かしら」


 手配書を確認しながら、魔法士団の1人のグェイが言う。


 「髪型が違うわよ」


 シーシェも手配書を確認した。


 「でも、女の子が1人で王都シリウスに訪れるなんて怪しいわ」

 「そうね。手配書が完璧とは限らないしね」

 
 シーシェとグェイは、あきらかに疑っていた。


 「ちょっと待って、あの子は問題ないわ」


 ヴァンピーが、確信を持って言った。


 「どうしてよ」


 シーシェとグェイは納得がいかない。


 「私に任せて」


 ヴァンピーはそういうと女の子の元へ駆け寄って行った。
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