251 / 453
ホロスコープ星国 パート27
しおりを挟む★フェニ視点に戻ります
ベガちゃんの体調も万全になったので、私はベガちゃんに乗り、王都シリウスに向かって、パカパカと走り出した。
ベガちゃんが頑張ってくれたので、日が暮れる少し前に、王都シリウスへ入る門まで辿り着くことができたのであった。
王都シリウスの門には、黄色の鎧を着た兵士たちが、門を守るように取り囲んでいた。
★ホロスコープ視点になります
「アリエル団長、今日もウルフキングは姿を見せませんでしたね」
王都シリウスの門を守る兵士が言った。
「そうですね。でも油断は禁物です。ライブラからウルフキングを討伐したとの連絡があるまでは、安心はできません」
緊張した面持ちでアリエルが言う。
「ライブラ様が、ウルフキングの討伐に出て、もう1週間を過ぎています。もしかしたら、ウルフキングに殺されたのではないかと、王都では噂になっています」
兵士が怯えながら言った。
「それはないでしょう。ライブラの『ゾディアックサイン』の能力は最強です。ライブラが負けるとは思いません」
アリエルは自信を持って言った。
「私もそう思います。ライブラ様が、たかがウルフの魔獣に殺されるなんてありえません。平民どもはライブラ様の強さを知らないのだと思います」
兵士は、拳をにぎしめながら力強く言った。
「スコーピオが、大袈裟にウルフキングの強さを説明したので、ウルフキングが魔獣王並みに強いという嘘の情報が、王都の市民に伝わっているのが原因だと思います」
アリエルは、黄色い髪をかき上げながら、イライラしながら言った。
「確か・・・ウルフキングの討伐難度はC3ランクのはずです。それがいつの間にか、魔獣王クラスの強さだと嘘の情報にすり替わっています。誰がこんな嘘の情報を流したのでしょうか」
兵士は疑問に思った。
「レジスタンスでしょう。ウルフキングが北の森から姿を現して、南下していると情報を聞きつけて、ホロスコープ星国を混乱させるために、嘘の情報を王都に流したのだと私は思っています」
アリエルは、スコーピオから直接ウルフキングの強さを聞いている。しかし、アリエルは、スコーピオを信用していない。それは、スコーピオがポルックスを敬愛していることを知っているからである。
アリエルもポルックスに、『ゾディアックサイン』の能力は、国民を守る為に使うべきであり、己の力を誇示するためではないと何度も注意されていた。しかし、アリエルは、『ゾディアックサイン』の能力は、選ばれしエリートの証だと思っているので、ポルックスの教えには賛同できないのであった。
そんなポルックスを敬愛しているスコーピオの情報を、そのまま信用するわけにはいかないのであった。なので、アリエルは、カプリコーンにウルフキングの強さを再度確認したのであった。
「ウルフキングの強さだと・・・大したことないわ。ガハハハハ」
とカプリコーンが言ったので、アリエルは、ウルフキングはC3ランクの魔獣だと思っているのであった。
「一緒にいる子供はどう思われますか?」
兵士がアリエルに聞いた。
「なぜウルフキングと共にいるのかわからないですが、ただの子供だと思います。しかし、油断してはいけません。ウルフキングは、人間に化けることができると聞いています。なので、その子供も魔獣である可能性があります」
アリエルは、淡々と言った。しかし、アリエルは、とてもイライラしていた。C3ランクのウルフキングに、ただの子供の女の子に対して、『星の使徒』である自分が、門番という下等な仕事をしないといけないことに。門番など高貴な身分である『星の使徒』がするべき仕事ではないと思っているのであった。
「17時になりましたので、私はシリウス城に戻ります。夜勤はヴァンピー担当です」
そういうと、アリエルは、すぐに門を離れて行った。
「皆さん、お疲れならもう帰ってもいいのですよ」
黒い長い髪の美し女性が、門を守る黄騎士団の兵士に言った。
「いえ、自分はまだ働けます」
「私もです」
「もちろん私もです」
門を守る全ての黄騎士団の兵士が言った。
「そうなのね。それならお願いするわ」
この美しい女性が、王都シリウスで1番の魔法士のヴァンピーである。ヴァンピーと少しでも一緒にいたい黄騎士団の兵士は、勤務時間外なのに誰も帰ろうとしないのであった。
ウルフキングが攻めて来るかもしれないので、王都の門は、17時までは、黄騎士団が守り、17時になるとヴァンピーが率いる魔法士団が門を守っているのであった。
しかし、ヴァンピーの率いる魔法士団は5名と人数が少ないので、有志の兵士が多数集まって、門の警護についているのであった。
有志とは聞こえが良いが、実際はヴァンピーの美しさに惚れている兵士ばかりであった。
「ヴァンピー、女の子がこちらへ向かってきているわ」
魔法士団の1人シーシュが言った。
「手配書の女の子かしら」
手配書を確認しながら、魔法士団の1人のグェイが言う。
「髪型が違うわよ」
シーシェも手配書を確認した。
「でも、女の子が1人で王都シリウスに訪れるなんて怪しいわ」
「そうね。手配書が完璧とは限らないしね」
シーシェとグェイは、あきらかに疑っていた。
「ちょっと待って、あの子は問題ないわ」
ヴァンピーが、確信を持って言った。
「どうしてよ」
シーシェとグェイは納得がいかない。
「私に任せて」
ヴァンピーはそういうと女の子の元へ駆け寄って行った。
0
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる