248 / 453
ホロスコープ星国 パート24
しおりを挟む★フェニ視点に戻ります。
「ベガちゃん重いよ・・・」
私は弱音を吐いていた。魔法で筋力を強化したけれど、馬を背負って歩くのは正直しんどいのであった。遠くに関所は見えていたので、このくらいの距離なら大丈夫だと思ったのだが、考えが甘かったのであった。
「重いのは、フェニちゃんがたくさん人参を食べさせたからよ」
と言いたげに、ベガちゃんは冷たい視線で私を見ているのであった。
「うんしょ、うんしょ」
私は掛け声を出しながら、ベガちゃんをおぶって、一歩一歩進んで行った。
「ヒヒーーン」
やっと関所入り口にたどり着くと、ベガちゃんは、関所を通しなさいと言わんばかりに叫んだ。
「馬が何しにきたのだ」
関所の兵士が問いかけてきた。
「ブヒィヒィヒィヒィ~ン」
ベガちゃんは、兵士に応答するかのように答える。
「おい。この馬は何を言っているのだ」
兵士は困惑して、別の兵士に声をかけた。
「俺にわかるわけないだろう。馬よりも、馬に乗られている女の子に聞いた方がいいだろう」
もう1人の兵士は冷静に判断をした。
「お嬢さん、なぜ馬に乗られているのですか?」
兵士は困惑しながら聞いた。
「これには、重大な理由があるのです・・・それよりも、ベガちゃん、降りてちょうだい」
もう関所に着いたので、私はベガちゃんに降りてもらうようにお願いした。
「ヒーーーーン」
ベガちゃんはとても悲しそうな声を上げた。ベガちゃんは、私に運んでもらってとても上機嫌だったので、降りたくないのであった。
「もうダメです」
私は、力の限界がきてそのまま倒れ込んでしまった。
『グーーーー』
私のお腹の音がなった。私はベガちゃんに人参を与えてばかりで、自分の食事を全く取っていなかったのであった。なので、お腹がペコペコで力の限界がきたのであった。
私が倒れ込んだので、ベガちゃんは私から降りて、心配そうに私の方を見ている。
「おい、その馬は何者だ!」
タラウスが、関所の入り口に顔を出した。
「馬は馬です」
兵士は当然のことを言う。
「そうか。馬なのか」
タラウスは納得した。
「タラウス様、馬に酷使されていた女の子が、倒れ込んでしまいました」
兵士は、私のことを心配してタラウスに報告した。
「すぐに魔法士のところへ連れて行って、治療でもさせておけ」
「身分証の確認はいいのですか」
兵士は、責務を全うする。
「それよりも馬を調べろ。ウルフキングは人間に変化する魔獣と聞いている。もしかしたら、馬にも変化しているかもしれないぞ」
タラウスは、人間を馬のように扱うベガちゃんを怪しいと判断した。
「確かにそうでございます。さすがタラウス様、ホロスコープ星国一の知将でございます」
兵士は、タラウスにおべんちゃらを使う。
「俺を侮るなよウルフキングよ!お前の策略など俺にかかれば、全てお見通しだ!」
タラウスはベガちゃんを指さして、偉そうに言った。
兵士たちは、ベガちゃんを調べ上げる。兵士がいくらベガちゃんを調べてもただの馬にしか見えないのであった。
「タラウス様、この馬はただの馬だと思います。もしウルフキングなら、こんなに大人しくしているはずがありません」
兵士は、タラスに報告をした。ベガちゃんは、まだ人参の食べ過ぎで、動く気力もないので、兵士が馬体を触っても大人しくしているのであった。
「そんなはずはない。俺の判断は絶対に正しいはずだ」
タラウスは、大きな剣を抜き取り、ベガちゃんに向けて剣を構えた。
「ウルフキング!俺は騙されないぞ。お前は馬に化けてこのまま関所を通り抜けていくつもりだろう。連れの女の子とは、さっきの奴隷の女の子だろ。俺が関所を守っているのが運の尽きだったな。他のやつならうまく騙せただろうにな」
「タラウス様、女の子は手配書の似顔絵とは異なりますが・・・」
兵士がタラウスに進言する。
「手配書など信用するな。俺は自分の直感を信じるのだ」
タラウスは自慢げに言う。しかし、タラウスの直感は、半分は間違っていないのであった。
「正体を現さないのなら、ここで俺がお前を殺してやる」
「もし、ただの馬だったらどうするのですか?」
兵士は不安げにタラウスに言った。
「もしただの馬なら、それでいいだろう。馬を殺したところで何も問題はない。しかし、馬を見逃して、もし馬がウルフキングだったら、それこそ大問題だ!」
タラウスは、大声で兵士を怒鳴りつけた。
「申し訳ございません」
兵士は、頭を下げて謝った。
「ウルフキング。ここでお前は死ぬのだ」
『鉄壁』『倍倍』
タラウスは油断はしない。ウルフキングの強さはスコーピオから聞かされている。なので『スター』を発動して防御力を上げた。
『フルチャーージ』
タラウスは全身に力を入れた。タラウスの『ゾディアックサイン』の能力は牛のような強大なパワーを発動できることである。『フルチャージ』をしている間は、体から金色のオーラーが発光して、本来の5倍の力を発揮できるのであった。
「俺は、油断はしない。全力でお前を殺してやるぜ」
タラウスは、ベガちゃんに突進して、剣を振り上げてベガちゃんの首を切り落とそうとした。
「真剣白刃取り」
私は、タラウスと兵士のやりとりを聞いていた。私は空腹で、関所の休憩室で治療をしてもらう予定だったが、私はお腹が減っているだけなので、治療の必要はなかった。でももしかしたら、休憩室で美味しい食事をもらえるのではないかと、甘い期待をしていたので、兵士に運ばれるままに休憩室にきたのであった。
しかし、タラウスが勘違いして、ベガちゃんをフレキだと認識してしまった。このままだとベガちゃんが危険だと察知した私は、収納ボックスから果物を取り出して、空腹を満たして、すぐにベガちゃんの元へ駆けつけたのであった。
私は、ライトシールドの応用で、全身にシールドを張りながら、タラウスの剣を両手で受け止めたのであった。
0
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
追放された付与術士、別の職業に就く
志位斗 茂家波
ファンタジー
「…‥‥レーラ。君はもう、このパーティから出て行ってくれないか?」
……その一言で、私、付与術士のレーラは冒険者パーティから追放された。
けれども、別にそういう事はどうでもいい。なぜならば、別の就職先なら用意してあるもの。
とは言え、これで明暗が分かれるとは……人生とは不思議である。
たまにやる短編。今回は流行りの追放系を取り入れて見ました。作者の他作品のキャラも出す予定デス。
作者の連載作品「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」より、一部出していますので、興味があればそちらもどうぞ。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる