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ホロスコープ星国 パート12
しおりを挟むドラキュンは、野外ステージでコンサートをすると言って、やっと宿屋から出て行ってくれた。これでゆっくりと眠ることできると思った私の考えは甘かった・・・
ドラキュンのトチ狂った歌声が、町中に響きわたる。歌というよりも朗読に近い音程を感じさせない、アグレッシブルな歌は、私に安眠を与えてくれなかった。
しかし、『恋フェロモン』によって、心を支配された魔獣たちは、ドラキュンのひどい歌声も、天使の歌声のように感じて、歓喜をあげて喜んでいるのであった。
町の住人もドラキュンに、バンパイヤにしてもらったドラキュン派閥のバンパイヤなので、ドラキュンの歌声にうっとりとして喜んでいた。
私とフレキだけが、ドラキュンのトチ狂った歌声によって苦しめられていたのであった。
ドラキュンの野外コンサートは、深夜0時をもってやっと終了した。
これで、やっと私とフレキは安眠を取れると思ったが・・・
魔獣たちが、いざこざを始めてしまった。
「お前ごときが、ドラキュン様に結婚を申し込むとは、甚だおかしいぜ」
グリフォンが、怒りを込めて言った。
「お前こそ、どの面下げてドラキュン様に結婚を申し込んでいるのだ」
ケルベロスが言った。
グリの森の主グリフォンとケルの森の主ケルベロスが、揉めているのであった。
ドラキュンの野外コンサート終了後、ステージのドラキュンに対して、2体の魔獣が歓喜余って、ドラキュンに結婚を申し込んだのであった。
「私はみんなの姫なので、結婚は致しません」
とドラキュンは毎回言っているが、それでもドラキュンに結婚を申し込む魔獣は多い。
しかし、今回は森の主の2体の魔獣が、求婚をしたので大騒ぎになっているのであった。
ドラキュンが、ステージからさった後グリフォンの軍勢とケルベロスの軍勢が睨み合っているのであった。
「この際だからはっきりさせようではないか。ドラキュン様は、どちらの森のお姫様なのか!」
グリフォンが、大きな声で言った。
「はっきりさせるまでもない。ドラキュン様はケルの森の姫だ!」
ケルベロスは大声で叫んだ。ケルベロスは三つの頭を持つ犬の魔獣である。討伐難度C2ランクの魔獣になる。
「調子にのるなよ」
グリフォンは、翼を広げて上空に飛び上がり、ケルベロスに向かって炎を吐き出した。
凄まじい炎が、ケルベロスを襲う。
ケルベロスの体は激しく燃え上がった。
「こんな炎では、俺の強靭な体を燃やすことはできないぞ」
ケルベロスは、激しく燃えているが、ダメージはさほどないみたいであった。
ケルベロスは、大きくジャンプして、グリフォンの足を噛みつこうとした。
グリフォンは、翼をばたつかせて、ケルベロスの攻撃を交わす。
ケルベロスは、グリフォンへの攻撃を失敗して、地面に着地する。
ケルベロスが地面に着したところをライフォンが、突進してタックルをぶちかます。
『バコ、ベキ』
タックルをしたライフォンが、ケルベロスの強靭な体に弾かれて倒れ込む
「お前ごときが、俺に勝てると思っているのか」
ケルベロスが、倒れ込んだライフォンの首をかぶりつく。
「グギャーーーー」
ライフォンが悲鳴をあげる。
グリフォンがライフォンを助けるために、急降下して、ケルベロスの頭部を鋭い足の爪で斬りつける。
ケルベロスは、もう一つの頭でグリフォンの足をかぶりつく。
「グギャーーーー」
グリフォンが悲鳴をあげる。
そして、ケルベロスはもう一つの頭で、グリフォンの首をかぶりつく。
グリフォンは多量の血を流して倒れ込んだ。
「俺は、魔獣王様の正当な血を引き継ぐ魔獣だ。お前らのような下等な魔獣と一緒にするな」
ケルベロスは、大声で言った。
「助けてくれ・・・」
グリフォンがうなだれるように言った。
「死ね」
ケルベロスは、グリフォンの首を噛みちぎった。
「グリの森に住む魔獣どもよ、今日から俺がグリの森の支配者になる。俺に従わない者は、グリフォン同様に咬み殺すぞ」
ケルベロスが、威嚇していった。
「俺は、グリフォン様に使える偉大なる魔獣だ。お前になんか絶対に従わない」
ライフォンは、首から多量の血を流しながら、懸命に言った。
「まだ生きていたのか」
ケルベロスは、ライフォンの頭を踏みつけて、息の根を止めた。
「まだ俺に逆らう者がいるのか!」
ケルベロスは威嚇する。
グリフォン、ライフォンが殺されたので、ケルベロスに逆らう魔獣はいない。
「何を騒いでいるのですか」
魔獣たちが、騒いでうるさくて眠れなかった私とフレキは、魔獣たちに静かにしてもらうように、野外ステージに来たのであった。
「お前が、ウルフキングか・・・」
ケルベロスは、睨みつけながら言った。
「グリフォンさん・・・ライフォンさん・・・」
フレキは、グリフォンとライフォンが殺されている姿を見て呆然とした。
「あなたが2人を殺したのですか」
フレキは、鋭い目つきをして言った。
「そうだぜ。俺に逆らう者は、ああなるのだ!お前も俺に逆らうと、どうなるかわかっただろう」
ケルベロスは、威嚇して言った。
「なぜ、同じ魔獣なのに殺したのですか」
フレキは、怒りに満ちて言った。
「同じ魔獣だと・・・何を言っているのだ。俺は魔獣王様の血を引く、高貴な魔獣だぞ。あいつらと同じにしてもらったら困るぜ」
ケルベロスは、笑いながら言った。
「くだらない・・・あなたの言っていることは、とてもくだらない」
フレキは、静かに言った。
「フェニちゃん、森の外に出てすぐにわかりました。人間も魔獣もとてもくだらない生き物ということが・・・私はただ、平和にみんなと暮らしたかっただけなのに、どうしても邪魔をする者がいるみたいです。私はそんな生き物を許すことができません」
フレキは、静かに私に言った。
「フレキさん、落ち着いて」
私はフレキが心配になった。
「フェニちゃん、少し離れていてくれるかしら・・・グリフォンさんたちの仇をとります」
フレキは、私を背から下ろして、ケルベロスの元へ向かった。
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