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ホロスコープ星国 パート9
しおりを挟むハダルの町は、北にウルフの森、西にグリの森、南にケルの森に面している町であり、魔獣が住む森に面しているので、とても危険な町と言われているが、あることが理由で、この町を襲わないのであった。
ウルフの森はウルフキングの森であり、グリの森はグリフォンの森であり、ケルの森はケルベロスの森である。ケルベロスの配下であるキマイラが、ケルベロス軍団派閥から抜け出して、キマイラ軍団を立ち上げるために、カプリコーンの話を信じて、ウルフの森へ行った。そしてキマイラの手下の羊の魔獣も後を追ったのである。
フレキのウルフでの姿の走行は爽快であった。まるでバイクを乗っているかのような心地よい風を感じながら、ハダルの町へ向かった。
「フレキさん、町が見えたきたよ」
「本当ですね」
フレキは、町が見えてきたので人間の姿になった。
「フレキさん、町に入るには身分証が必要なの・・・私は身分証はないし、フレキさんもないよね」
「もちろんありません」
「でも、身分証がなくても、町へ危害を加えないと判断されたら、町へ入ることができるので、フレキさんは大人しくしていてね」
「私はいつもおとなしいので大丈夫です」
フレキが静かに言った。
私は、フレキと姉妹という設定で、この町に入る事にした。
私はハダルの町の門番に声をかけた。
「町に入りたいのです」
「身分証を見せてください」
門番は答える。
「盗賊に襲われて、持ち物は全て奪われました。なので身分証はありません」
私は適当に嘘をついた。
「たぶん・・・盗賊の正体はホロスコープ星国の連中でしょう。命があっただけでよかったですね」
門番は心配そうに言った。
「この町は、ホロスコープ星国ではないのですか?」
私は門番に聞いた。
「この町は、どこの国も属さない町です。ホロスコープ星国は、星の使徒から力を授かった12使徒が支配している国です。12使徒に従わない者は、容赦無く殺される危険な国です。なので、この町はホロスコープ星国から逃げ出した者で作られた町です」
門番が言った。
「そうなのですね。ホロスコープ星国は危険な国なのですね」
私は聞いてみた。
「そうです。あの国へは行かないほうがいいでしょう」
門番はアドバイスをくれた。
「わかりました」
私は元気よく返事をした。
「旅で疲れているでしょう。町へ入る許可を与えましょう」
門番は優しく言った。
「ありがとうございます」
私は門番にお礼を言って、町の中へ入って行った。
「どうして、あの姉妹を簡単に町の中へ入れたのだ」
もう1人の門番が言った。
「美人の姉に可愛い妹ではないか。町長様も気に入られるだろうよ」
門番は不敵笑みを浮かべて言うのであった。
「フレキさん、優しい門番でよかったね」
私は元気よく言った。
「そうね。でもなんか変ね匂いがしたわ。この町は本当に人間の町なのかしら」
フレキは不安げに言った。
「フレキさん問題はありませんよ。そんなに簡単に、人間に変身できる魔獣なんていないですよ」
私は率直に言った。
「そうですね。私の考え過ぎでしたね」
フレキは静かに言った。
私は、町に入るとすぐに冒険者ギルドを探した。しかし、この町には冒険者ギルドはないらしい。この町はどこの国にも属さないので、ギルドが存在しないのであった。
私は、南の森で手に入れた素材を売って、お金に変えようと思っていた。フレキの仲間の素材なので、フレキには丁寧に説明して許可はもらっている。
私は、素材は道具屋さんで売れると聞いて、道具屋さんに行き、素材の換金をすることができた。
フレキは、初めて町にきたので、物珍しそうにキョロキョロと周りも見ている。
「あの食べ物を食べてみたいです」
フレキは、フランクフルトを指さした。
「あの飲み物を飲んでみたいです」
フレキはオレンジジュースを指さした。
「あの食べ物も美味しそうです」
フレキはパンを指さした。
私は、フレキに人間の食べ物を食べさせてあげたいと思って、気になる物は全て買ってあげる事にした。
フレキは、両手一杯の食べ物飲み物を持って、嬉しそうにしている。
「人間の食べ物は美味しいです。森を出てよかったです」
フレキは満足そうに言った。
私は、フレキと食べ歩きをして町を散策した。そして、町の散策を終えて、宿屋に泊まることにしたのであった。
フレキは、初めての森を出て、いろいろな経験をしたので、かなり疲れていたみたいであった。なのでフレキは、すぐに眠ってしまった。
私もフレキの隣で、お姉さんに甘えるように、フレキに抱きついて寝る事にした。
『ガタン』
私たちが寝静まった後に、宿屋の部屋の扉がゆっくりと開いた。
「あそこに寝ているのが、昼間にこの町にきた綺麗な女性と可愛い女の子ね」
1人の女性の声がした。
「はい。そうです。ホロスコープ星国から逃げてきたと思われます」
男性が静かに言った。
「かわいそうに・・・私があの姉妹を救ってあげるわ」
女性が言った。
「それがいいと思います。美しい姉妹なので姫の仲間に、ピッタリだと思います」
男性が言った。
「そうね。私の美貌には敵わないと思うけど、私の次に美しいと認めてあげるわ」
女性は自信ありげに言った。
「姫も美しいですが、あの姉妹のお姉さんのが美しいと思います」
男性が張り合うように言った。
「そんなことないもん!私のが美しいもん」
女性は、自分のが美しいと言い張る。
「もちろんです。姫はとても美しいです。世界で2番目に美しいと思います。しかし1番は彼女だと思います」
男性は、頑なにフレキが1番だと言い張る。
「私だもん」
「彼女です」
「私だもん」
「彼女です」
2人の争いは止まらない。
「うるさーーーーーーい」
私は、2人のやりとりがあまりにもうるさいので、目を覚ましてしまった。
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