上 下
224 / 453

神守聖王国オリュンポス パート32

しおりを挟む

 『グルメ祭り』は、序盤は『ラスパ」の出店が圧倒的に人気を誇ったが、途中で入り数詐欺疑惑が発生して、信用がガタ落ちしていまい、後半はかなり失速してしまった。

 『王国騎士団』の出店も、序盤はジュノ、フレイヤの握手作戦が国民の関心をかって、売り上げを伸ばしたが、後半ジュノとイージス伯爵の結婚話に嫉妬したジュノのファンが、不買運動を始めたことにより、後半はかなり売り上げを落としてしまった。

 『金玉』の出店は、序盤は人が集まることがなく暇な状態が続いていたが、昼過ぎからは、『キュンキュン教団』に興味を持った、恋に悩める王都の人々が多く押し寄せて、後半だけの売り上げは、ぶっちぎりのトップであった。しかし、それは『ラスパ』『王国騎士団』の売り上げが、後半に極端に落ちたおかげでもあった。

 売り上げ金のトータルは、最終的には、3店舗ともほぼ横並び状態であった。なので、どの出店にも優勝の可能性が出てきたのであった。

 王都の大広場にネテア王が姿を現して、『グルメ祭り』の結果発表が行われる。


 「『グルメ祭り』に、たくさんの国民の皆さんが来てくださったことに感謝いたします。この『グルメ祭り』は、油を使った料理を紹介するためのイベントでございます。油を使った料理方法で、美味しい料理が作れることが、皆さんにご理解していただけかと思います。この油は、悲劇の町パースリで製造されています。パースリの町の復興のためにも、国として油の使った料理をお勧めしますが、油が火に引火すると、急激に燃え上がり危険です。なので、油を始めて使用する時は、使用方法もきちんとレクチャーする予定です」


 広場に集まった国民は、真剣な眼差しでネテア王の話を聞いていた。


 「サラのせいで、後半の売り上げが激減したぜ」

 
 トールさんが怒る。


 「違うわよ。私は、唐揚げの味がおちていないか、全ての唐揚げをチェックしていたのよ。しかし、後半は、私のチェックがなくなったから、売り上げが落ちたのよ」


 サラちゃんは堂々と言った。


 「もう、何を言っても仕方がないわよ。あとは結果を待つだけです」


 ロキさんが静かに言った。


 「ジュノの浮気のせいで、後半の売り上げが落ちてしまったわ」


 フレイヤがジュノを責める。


 「フレイヤ様が、私の口を塞いだので、弁明ができなかったのです」


 ジュノの意見が正しい。


 「着実に『キュンキュン教団』の信者は増えましたわ」


 マーニが嬉しそうに言う。


 「これもマーニの直向きな布教活動のおかげです」


 ハデスが嬉しそうに言う。


 「私は、ポテトフライの売り上げを伸ばすために、必死にポテトフライを揚げていたのに」


 ソールが悲しそうに言った。


 「さて、本題ですが『グルメ大会』の優勝者を発表いたします。どの出店も売り上げが好調で、かなり接戦になりました。しかし、それは一つの出店を除いてです。ある出店だけは、随時売り上げは好調で、圧倒的大差の売り上げを叩き出しました。その店舗は・・・ネテア王の出店です。なので優勝は私でーーーーす」


 ネテア王が笑顔で言った。


 『ズコーー』『ズコーー』


 トールさんとポロンさんが新喜劇のように激しくコケた。


 「お前が優勝かーーーーい」


 トールさんが激しくツッコミを入れた。


 「お前も出店を出してたんかーーーい」


 ポロンさんも大声でツッコミを入れた。

 しかし2人がツッコミを入れるが、国民たちは大きな拍手でネテア王を祝福したのであった。

 ネテア王の出店は、カレーパンの出店であった。ネテア王が、私にも揚げ物を紹介して欲しいと言ってきたので、私はカレーと言う食べ物を紹介して、それをパンに包んで揚げるカレーパンを教えてあげたのであった。

 ネテア王の出店は、大広場の入り口に建てられていて、大広場に来たら最初に目に付く出店であり、立地条件が良かった。そして、ネテア王自ら販売をしていたので、常に大行列が途絶えることがなかったのであった。

 
 「『グルメ大会』優勝者の私には、ネテア王よりカレーパン一年分をプレゼントします」


 ネテア王が、はしゃぎながら言った。


 「冗談はここまでにして、今から重大な発表があります」


 ネテア王が真剣な表情になった。国民達もさっきまで笑顔から、真剣な眼差しに変わる。


 「皆さんも気づいている方も多いと思いますが、私の息子のジュピターが、王都に無事に帰還しました。しかし、ジュピターはデレクの支持に従って、神守教会に加担していました。また王子という立場を利用して、不正に冒険者ランクを上げたり、横暴な振る舞いをして、国民の皆様に迷惑をかけてきました。デレクとの決着も付いた今、ジュピターにも裁きを受けてもらいます」

 
 国民達は知っていた。ネテア王が、ジュピターの横暴を止めることができなかったのは、神守教会とデレク王の邪魔があったことを、だから、誰もネテア王を責めることはしない。

 ネテア王の横にジュピターが現れた。

 ジュピターは、ジュノにフラれて、デレク王に助けを求めにお城に戻ったが、デレクはすでに王の座を退き、ネプチューン、アポロはネテア王に敗北して地下牢に幽閉されていると知ったのであった。そして、今までデレクの支持に従っていた自分の人生も終わったと実感したのであった。

 ジュピターは、すぐに拘束されて、ネテア王の元に連れていかれたのであった。そして、ネテア王に、どのような処罰が与えられるか聞かされたのである。


 「私は父デレクの支持に従い、いろんな悪事をしてきました」


 ジュピターが加担した悪事は、全て失敗に終わっていたこと国民は知っている。


 「そして、王子である立場を利用して、傲慢な振る舞いをとっていました」


 ジュピターが傲慢だったので、国民達はみんな無視をしていたし、口だけの男だったので、さほど被害は起きていないのを国民達は知っていた。


 「私は王子の座を退き、一般の国民になります。そして『七珍万宝』は解散して、『雲湖朕鎮』のメンバーとして一からやり直したいと思っています」


 ジュピターは、国民に向かって深々を頭を下げた。

 国民は、ジュピターは大嫌いであったが、大したことはしていないので、王子の座を退いたことで、納得しているみたいであった。


 「ジュピターの更生は、俺が責任を持ってしてやるぜ。ワハハハハ」


 アルテミスが姿を出した。

 大広場から歓声が上がる。『雲朕』のリーダーアルテミスは、豪快な性格で国民達に人気があった。


 「アルテミス、任せたぞ」

 「アルテミス様が、更生してくれるなら問題ないぜ」


 国民達は、拍手でアルテミスを応援した。


 「国民の皆様、私の不甲斐ない子供を許してくださってありがとうございます」


 ネテア王が深々と頭を下げた。


 「ネテア様!」

 「ネテア王!!」


 国民達はネテア王に声援を送る。


 「これからは、神守聖王国オリュンポスと言う国名を改名して、オリュンポス国として再スタートをしたいと思います。国民の皆様ご協力をお願いします」


 こうしてネテア王は、オリュンポス国として再スタートを図るのであった。
 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...