上 下
208 / 453

神守聖王国オリュンポス パート17

しおりを挟む


 『ロックバード』


 ケレスも神の子の力を発動した。ケレスの神の子の力は大地を操る能力である。地面から岩が飛び出してきて、ケレスの周りを囲い込む。岩の壁によって、アポロ公爵の炎を耐え凌いだ。


 「小癪な真似をしおって」

 「簡単にここを通すわけにはいきません」


 「神技『剛腕』『倍倍』」


 アポロ公爵は、力を強化して、大きく剣を振りかざす。ちなみにアポロ公爵が同時に使える神技は2つである。

 
 『カキーーーン』


 アポロ公爵の剣が折れる。


 『ドッカンボルケーノ』

 
 ケレスは、大地に両手をあてて叫んだ。アポロ公爵の立ってる大地が裂けて、その隙間から、マグマが勢いよく飛び出してきた。

 アポロ公爵がマグマに焼かれて、体がヘドロのように溶け出した。


 「ケレス、忘れたのか・・・俺には炎は効かないぞ」


 アポロ公爵の体は、赤いヘドロの状態になったが、死んではいないようである。

 ヘドロは、しばらくすると、人間の形に戻っていき、元のアポロ公爵の姿に戻ったのであった。


 「俺の神の子の力は太陽の能力だ。俺は太陽の能力を使って、全身を炎に変えている、だから、俺を燃やすことは不可能なのだ」

 「本当に効かないのですね。全身を焼き尽くせば倒せるのだと思っていました」

 「浅はかだったようだな。俺の体の炎は5505度だ!俺を殺せる者など存在しないのだ」


 アポロ公爵が、ケレスを守る岩の壁に手に触れる。


 『太陽光』


 アポロ公爵の体が太陽にように燃え上がる。アポロ公爵が触れるものは、全てがゼリーのように溶けていく。ケレスを守る岩の壁も簡単に溶けてしまう。


 「ケレス、お前が俺に勝てるわけがないだろう。お前や、アレスが強くなれたのは、俺の指導のおかげだろ?それを忘れてしまったようだな」

 「それは、わかっています。しかし、どうしても戦わないといけない時があるのです」

 「そんなにバルカンが大事なのか!」

 「そうです。それに、兄上に神剣を渡してしまうと、この国は大混乱になることは、目に見えてわかっています。私は争いを起こさない為にも、兄上に神剣を渡すことはできないのです」

 「お前は、何も理解していないようだな。今ネプチューンに協力すれば、兵を動かさなくても、莫大な利益と地位が手に入るのだぞ。こんなチャンスを棒に振るわけにはいかないのだ!」


 アポロ公爵はケレスの胸ぐらを掴んで威嚇する。ケレスは神技を発動して、アポロ公爵の炎を耐え凌ぐ。


 「いつまで我慢できるかな。俺が少しでも、『太陽光』の量を増やせば、一瞬でお前は灰になってしまうだろうよ」


 アポロ公爵は、不敵な笑みを浮かべて言った。

 ケレスの体はどんどん燃え上がる。


 「ケレス、最後にチャンスをやろう。俺に跪き忠誠を誓うなら、今日のことは見逃してやろう。一度死にかけていたお前を俺は救ってあげた。俺は寛大だから2度目のチャンスを与えてやろうではないか」


 アポロ公爵は、ケレスを見下しながら言うのであった。


 「一度命を救って頂いたことは感謝しています。俺は、以前の記憶はほとんど残っていませんが、以前の俺は、わがままで傲慢でどうしよもないクズだったと聞いています。しかし、命を救っていただいてからの俺は、みんなが慕ってくれるほどの人物に変わったと、仲間達が嬉しそうに言ってくれるのです。俺は、今の自分が大好きです。ここで兄上に従えば、俺は昔のクズ男に戻ってしまうと思うのです。だから俺は、自分の信念をに曲げません。俺はバルカンを守り、神剣をお前になんか絶対に渡さない」


 ケレスは、全身が燃え盛る中、胸を張ってアポロ公爵に言い放ったのであった。


 「くだらん。死ね」


 アポロ公爵は静かに言った。そして、『太陽光』の量をあげたのであった。


 「アチョーーーーー」


 アポロ公爵の頭にチョップがお見舞いされた。

 アポロ公爵が地面の中にめり込んだ。


 『リフレッシュ』


 ケレスを燃やしている炎は鎮火して、なおかつ全身の火傷を治癒してもとの状態に戻ったのであった。


 「あなたは・・・あの時の魔術師ルシス様」

 
 私達は、倭の国から神守聖王国オリュンポスに戻っていたのである。



 ★アトランティスの地下遺跡に戻ります。


 
 「まだ生きているか」


 ユーピテルがマーニとソールに言い放つ。

 2人は息がするのがやっとであるので、声を上がることももうできない。


 「私がトドメを刺しましょう」

 
 ハデスに魂を乗っ取られたアレスが言った。


 「お前は、まだ体がボロボロであろう。少し休んでおけ。俺が全てを終わらせる」


 ユーピテルは、大きく剣を振り上げた。



 『氷結ハンマー』


 ユーピテルの頭に大きなハンマーが落ちてきて、ユーピテルの頭を潰し、そして全身を一瞬で凍らせた。




 『ブラックファイヤーバード』


 大きな黒い火の鳥が現れて、凍りついたユーピテルを大炎上させる。


 「トドメを刺しますわ。イフリート、あいつを灰になるまで燃やしてちょうだい」

 「わかりましたポロンさん」


 イフリートは、ポロンさんの精印から姿を現して詠唱を始めた。


 「暗黒の大地から現れし暗黒の勇者の始祖よ、今こそ、我に暗黒の炎の礎を示したまえ。この暗闇が覆い尽くす、汚れた世界を光り輝く栄光ある世界への再興させ、未来永劫に光を与える希望の大地にしたまえ、そのためならば、全ての命を我と共に、暗黒の間に陥れ・・・」


 「詠唱長すぎですわ」

 『気炎万丈』


 凄まじい黒炎が現れて、大炎上していたユーピテルをさらに大炎上させて灰にした。

 ロキさんが、イフリートの詠唱が長すぎたので、『気炎万丈』を使ってユーピテルを葬った。


 「黒き大地の申し子が現れて、黄色の姫の手を握り、共にダンスを踊りながら・・・・」


 まだ詠唱を続けるイフリートであった。




しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...