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神守聖王国オリュンポス パート16

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 ★場面は変わってパーシモンの町になります。



 「バルカン、明日までには必ず神剣を作るのだぞ」


 アポロ公爵がバルカンを怒鳴りつける。


 「わかりました。必ず間に合わせます」


 バルカンは頭を下げて言った。

 アポロ公爵は、2週間以内に神剣を渡す約束をしていた。その期日が明日に迫ったいたのであった。


 「ケレス、バルカンが明日までに必ず神剣を作るように、お前が監視しておけ。もし、明日までに神剣が作れなかったら、バルカンの命はないと思え」

 「兄上、無茶なこと言わないでください。バルカンの体力はもう限界です。せめてあと3日ほど時間をください」

 「ダメだ!2週間以内で作るとネプチューンに約束したのだ。俺に約束を破れと言うのか?」

 「初めから2週間は無理だったのです。私がネプチューン伯爵様の元へ行って交渉してきます」

 「ダメだ!俺にもメンツがある。それに期限を引き延ばせば、俺への報酬も変更される可能性がある。俺はコーンウォリアスの領土を手に入れて、神守聖王国オリュンポスの最大の領主になるのだ」

 「そんなうまくいくのでしょうか?私は、兄上は騙されていると思います」

 「うるさい。俺に指図をするな。お前は黙って俺の言うこうと聞いていればいいのだ。お前は大怪我から回復してから、おかしくなったみたいだな。以前は俺のすることにいつも賛成していただろう」

 「しかし・・・」

 「ケレス団長、俺なら大丈夫です。明日までに神剣を仕上げたいので、急いで工房まで行きましょう」


 バルカンはケレスと共に、パーシモンの町から少し離れた工房へ向かったのであった。


 「バルカン、本当に大丈夫なのか?」

 「俺は、神剣を作るために今まで何不自由のない生活を保障されていた。だから神剣を作るのは、俺にとって命をかけてする仕事だと思っている。しかも、レア素材を譲り受けたから、何年もかけて作る神剣を短時間で作ることが可能になった」

 「しかし、いくらレア素材があると言っても、限度あるだろう」

 「確かに・・・2週間で作るのは不可能に近い。しかし、作り上げないとどうせ俺は処刑される。どうせ死ぬのなら、俺は神剣を作り上げて死にたいのだ」

 「バルカン・・・お前はそこまでして神剣を作りたいのだな」

 「そうだ。最初は神剣がネテア王妃様に献上されると思って快く承諾した。しかし、俺の作る神剣がネプチューンの元へ渡るのは納得がいかない。ネプチューンの計画は想像はできる。たぶん俺の神剣をアレスに持たせて、ネテア王妃を亡き者にするのだろう。しかし、それだけは絶対に食い止めなければいけない」

 「なら、なぜ神剣を作るのだ。お前の神剣を悪用されたくなければ、作らなければいいのではないのか?」

 「確かにケレス団長が言う通りです。しかし、俺はある人物にこの神剣を渡したいのです」

 「例の女の子か?」

 「そうです。ルシスちゃんにはハンマーを作ってあげる約束をしたのです。彼女なら私の作る神剣を、平和のために使ってくれるでしょう。俺はこの国の未来をルシスちゃんに託したいのです。だから、俺が作り上げた神剣は、ケレス団長から、ルシスちゃんに渡してください」

 「それなら明日、兄上が神剣を取りに来たらどうするのだ」

 「神剣を作るのを失敗したと伝えます」

 「そんなことをしたら、殺されてしまうぞ」

 「大丈夫です。俺は神剣を作り上げたら体力の限界で、動くこともままならにでしょう。そして、2、3日後には命を落とすでしょう。だから殺されても問題ないのです」

 「何か別の方法はないのか?」

 「ありません。それに・・・もし奇跡が起これば、俺も死ぬこともないでしょう」


 バルカンは笑顔で言ったのであった。


 次の日、バルカンは気力を尽くして神剣を完成させたのであった。


 「ケレス団長、この神剣いや『ミョルニル』をルシスちゃんに渡してください」


 工房で、倒れ込みわずかな気力を振り絞って、ケレスに神剣を託した。


 「バルカン、これは受け取れない。俺は奇跡が起きること信じている。だからその神剣は、お前の手でルシスちゃんに渡すのだ」


 ケレスは、そう言うと工房から出た。


 「ケレス、ちょうどいい時に出てきたな。神剣はできたのか」

 
 アポロ公爵が、神剣を取りに工房に出向いたのであった。


 「バルカンは見事神剣を完成させました」

 「でかしたぞ!これで俺の地位も安泰だな。ワハハハハハ」


 嬉しそうにアポロ公爵は笑うのであった。


 「しかし、兄上に神剣を渡すことはできません」


 「・・・」


 アポロ公爵は何を言っているのかすぐには理解できなかった。


 「ケレス、今なんと言ったのだ?」


 アポロ公爵が聞き返す。


 「神剣を渡すことはできないと言ったのです」


 アポロ公爵の表情が一変した。


 「ケレス、もう一度だけ言うぞ。なんと言ったのだ!」


 「兄上に渡す神剣などありません」


 ケレスは強い口調で言い放った。


 「俺に逆らったらどうなるかわかっているだろう。一度助けた命を粗末にするとは、相変わらずバカな弟だ」

 『プロミネンス』


 アポロ公爵は、神の子の力を使った。紅炎がケレスを包み込んだ。


 
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