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神守聖王国オリュンポス パート12
しおりを挟むアレスは三層の門を入り、ユーピテルと対峙した。
「まだ、俺の力は7割しか回復していない。しかし、お前の相手なら7割でも十分だろう」
ユーピテルが自信ありげに言った。
「俺を、みくびらないでください」
『勇敢なる鼓舞』
アレスは三層にいるゾンビ達を自分の支配下に置くことにした。『勇敢なる鼓舞』によって三層のゾンビ達がユーピテルを襲う。
『絶対零度』
ユーピテルは神の子の力を発動した。ユーピテルの神の子の力は、自然を操る能力である。ユーピテルは神の子の力を使って、地下三層を極寒の大地に変えたのであった。
「神技『防備』『倍倍』『倍倍』」
アレスは『絶対零度』に対抗して神技を発動した
ユーピテルの『絶対零度』によって、三層のゾンビ達は全て凍りついて動かなくなった。アレスは神技を使用したので凍りつくことはなかった。
『アースクェイク』
ユーピテルは神の子の力を発動した。『アースクェイク』は地面の下にある断層を動かす力である。断層を動かすことによって、大きな揺れを起こしたり、地面に亀裂を作ることができるのである。
『アースクェイク』の力によって、地下三層に大きな亀裂が出来て、ゾンビ達を飲み込んだ。
アレスは飛び上がって、亀裂に落ちないように逃げた。
「邪魔なゾンビ達はこれでいなくなったな」
「そうみたいですね」
「次はお前の番だな」
「俺は、雑魚のゾンビのようにはいかないですよ」
『黒風白雨』
ユーピテルが神の子の力を使った。
凄まじい風と、槍のような雨がアレスを襲う。
アレスは、両手をクロスして雨風を耐え凌ぐ。
しかし、凄まじい雨風にアレスは耐えきれなくなって、吹き飛ばされる。
アレスは地面に強打して倒れ込む。
「これで終わりだ」
『アースクェイク』
アレスの倒れた地面に亀裂が入る。
「アレス、危ない!」
ジュノが飛び出して、アレスを抱えて逃げる。
しかし、凶戦士モードのアレスは、3mもあるゴリラのような化け物だ。ジュノの力では、素早く動くのは難しかった。
地面の亀裂がどんどん大きくなる。
「ウオオオオオーーーー」
ジュノは、神技を使って筋力を上げて、アレスをお姫様抱っこして、全速力で亀裂から逃げ出す。
「ジュノ、頑張るのよ」
マーニがエールを送る。
「マーニ、『ゼログラビティー』でアレスを助けないの?」
ソールがマーニに問いかける。
「愛のための戦いに、無粋なマネはしたくないよ」
マーニは真剣に答えた。
「・・・」
ソールは何も言い返せなかった。
「まだ生きていたのか」
ソールの背後に1人の男性が立っていた。
ソールは、声のするの方に、視線を向けた。
「ハデス、なぜここにいるの?」
ソールの後ろに立っていたのは、神光教団の教祖であるハデスであった。
「お前達の動向はずっと監視されていたのだ。お前達を誘き寄せるために、あえてアトランティスの地下遺跡の監視にスキを作って、地下遺跡に侵入させたのだ。頭のいいお前達のことだから、ギルドの依頼通りに、夜に探索すると思っていなかったからな」
「私たちをハメたのね」
「そうだ。邪魔なお前達を始末するついでに、ユーピテル様の餌にしようと思ったのだ。しかし、アレスが裏切るのは誤算だったがな」
「それで、あなたはここに何しに来たのかしら」
「お前達が死んでいるのを確認するように、ネプチューン侯爵様に命令されたのだ。しかし、まだ生きているとは驚きだったぜ」
「私たちは、簡単にはやられないわよ」
「そうみたいだな。しかし、いくらアレスが仲間になったからといっても、ユーピテル様に勝つのは不可能だ。ユーピテル様は、まだ7割の力しか回復していないが、それでも人類最強なのは揺るぎないからな」
「私たちの心配よりも、自分の心配をしたら?あなたこそ、ここから生きて帰れると思っているのかしら?」
「俺は確認しに来ただけだ。だから戦う意思はないぜ。あくまで戦うのはユーピテル様だからな」
そう言うと、急いでハデスは逃げ出したのであった。
『ゼログラビティー』
マーニはハデスを逃さない。ハデスは宙を走るように足をバタつかせている。
『爆炎黒陽斬』
ソールはハデスに向かって燃え盛る炎を放つ。
「グギャーーーー」
ハデスは炎に包まれて燃え上がる。
「偽物ね」
マーニがつぶやいた。
燃え盛るハデスの後ろから、もう1人のハデスが現れる。
「よく見破ったな」
ソールは剣を振りかざして、ハデスの頭を切り落とした。ハデスの頭が地面に転がる。
「まだ喋っている途中だぞ。人の話は最後まで聞くものだぞ」
「ゾンビの話を聞くほど暇じゃないのよ」
「そんなに焦らなくても良いではないか。まだ夜までは少し時間があるぜ。俺の力を最大限に発揮できる夜まで、ゆっくりと遊ぼうではないか」
ソールは剣に魔力を込めて、剣を燃え上がらせてハデスを焼き払った。
しかし、またハデスが現れたのであった。
「キリがないわね。二層に戻ってハデスの本体を探しましょう」
ソールがマーニに言った。
「・・・」
「マーニ、行くわよ」
「アレスとジュノの恋の行方が気になるわ」
マーニが答える。
「マーニ、今はハデスを倒すのが先決よ」
「そんな・・・」
マーニは渋々二層に戻ったのであった。
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