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倭の国パート32

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 「なんだ、この人集りは、宿屋に入れないぞ」

 「本当ですわ。どうしましょう」

 「私が、何が起こっているか確認してきます」


 かえでちゃんは、ピョンっと跳ねて宿屋に前に飛んだのであった。


 「何をしているのですか?」

 
 かえでちゃんは、宿屋に前に群がる町民に声をかけた。


 「あっ、かえで様、宿屋の前にこんなにたくさんの米俵が現れました。この米俵の持ち主は誰なのでしょうか・・・少しでも譲ってもらえないかと、町人達が集まってきたのです」

 「宿屋の主人には、確認したのですか」

 「もちろんです。しかし、宿屋の主人も心当たりがないみたいです」

 「そうなのですか・・・それなら、私が、宿屋に泊まっている客人に確認をとってきます」

 「お願いします」

 「かえでちゃん、何をしているの?」

 「ルシスさんではありませんか。実は、ここにある米俵の持ち主を探しているのです」

 「この米俵はサラちゃんからもらったので、私のですよ」

 「そ・そ・そうなんですか!!!」

 「そうなんですよ!」

 「ルシスさん、お願いがあります」

 「かえでちゃん、何も言わなくてもわかっています。このお米は、町人の方で分けてください」

 
 私は、ヒメコ様から町人達が、米が手に入らなくて困っているのを知っていた。なので、この米は町人達にあげることにしたのであった。

 米を町人にあげるのは、大きな理由がある。それは、サラちゃんが倭海を温暖化させて、海の幸が取れなくしてしまったことである。1度は平穏な海に戻すことができたのだが、ポロンさんの大失態で、また温暖化した倭海に戻してしまったのである。なので、お詫びとしてお米をあげることにしたのであった。

 お米をもらった町人達は、とても喜んでくれた。

 ロキさん達に、事情を説明してたら、喜んで了承してくれた。特にポロンさんはホッとした感じであった。ポロンさんは、倭海を温暖化してしまった事を気にしていたのであった。

 

 ★時がラストパサーが、エルフの国を目指していた時間に戻ります。

 王都ジンジャーにて・・・

 「まさか、ジュノをよこすとは思ってもいませんでしたわ」

 「今回の任務はかなり危険と聞いています。なので私が選ばれたのでしょう」

 「でも、王国騎士団の副団長が抜けても大丈夫なの」

 「問題ありません。フレイヤ団長がいれば、私など居ても居なくても同じです」

 「謙遜しないで、フレイヤからは、アレス以上の実力者と聞いているわ」

 「大袈裟ですよ。アレス前副団長は王国最強の戦士でした。私など足元におよびません」

 「今回の任務は、そのアレスに関してよ」

 「存じ上げています。アレスの頭が行方不明になった件、そして、ネプチューン侯爵の不穏な動きの件ですね」

 「そうよ。ネプチューン侯爵領では、神光教団の教えが根付いているわ。神光教団の教えも基本は、神守教会と同じよ。人間以外の種族は認めないと、うたっているわ。神守教会の力が弱まった今、神光教団の力が増して、何かよからぬ事を企んでいるみたいだわ」

 「そのようでございます。そして、アポロ公爵もネテア王女様に取り入ろうと努力していましたが、相手にされないので、ネプチューン侯爵と手を結ぼうとしているみたいです」

 「それは、本当なのですか?」

 「はい。これは極秘情報なのですが、アポロ公爵が神剣の製作を始めたと知って、ネプチューン侯爵がアポロ公爵を取り囲んだと聞いています」

 「バルカンがついに、神剣の製作に着手したのね」

 「はい。バルカンがある冒険者からレア素材を入手して、神剣の作成に本気を出したみたいです」

 「神剣ができるまでに、アレスの頭のありかを見つけ出さないといけないわね」

 「そういう事になると思います。神光教団の教祖ハデスは神の子です。ハデスの力は死者を操る能力です。なので、アレスの頭は確実にハデスの元にあると思います」

 「そうね。ゾンビとなったアレスに神剣を持たせて、ブラカリを襲撃するか、それともネテア王女様に反旗を翻すかどちらかね」

 「はい。フレイヤ団長もそれを懸念しています。なので私はソールさんのところへよこしたのでしょう」

 「そうね。こんなことなら、『ラスパ』のメンバーにも応援を要請すべきだったわ」

 「『暴食』の方ですね。フレイア様の情報では、今はエルフの国へ行っていると聞いています」

 「そうね。すぐに戻ってきてくれると助かるのにね」

 「戻られ次第、応援に来てもらえるように手配はしておきます」

 「助かるわ。彼女達なら、ネプチューン侯爵さえ簡単に倒してくれるはずよ」

 「かなり評価が高いのですね」

 「そうね。メンバー1人1人もかなりの実力だけど、1人とんでもない女の子がいてるのよ」

 「例の女の子ですね」

 「そうよ。あの子が味方についた方が、この国の戦いに勝利するはずよ」

 「それほどの力の持ち主なのですね」

 「そうね」

 「ソール、馬車の用意ができたわ。キャロトの町へ行きましょう」


 とマーニが静かに言った。

 
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