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倭の国パート4
しおりを挟む「サラが原因で、強い魔獣が、倭海に住みついたのか?」
「そうだと思います」
「それなら、なおさら、俺達が、解決しないといけないな」
「私も、そう思うわ」
「私もよ」
みんなの意見は、一致したのであった。
私たちは、一旦、エードの町から出て、倭海に向かった。
エードの町から倭海へは、そんなに時間はかからなかった。大きな白いきれいな砂浜に来た私たちは、海の中にいる魔獣をどうやって倒すかを考えた。
「フワリンを使って、上空から倒す、作戦でいきましょう」
「サラちゃんを呼び出して、海を沸騰させて、魔獣を茹で上げるのが1番だと思いますわ」
「俺は、氷水属性を手に入れたから、海中でも、自由に動けるぜ。俺が海に潜って、倒して来てやるぜ」
私は、3人の意見を却下した。
ロキさんの上空からの作戦は、海の中にいる魔獣が、海から出てこないと成立しないので却下した。
ポロンさんのサラちゃんを使った作戦を実行すると、新鮮な海の幸まで、茹でてしまうので却下した。
トールさん単独撃退作戦は、トールさん1人にかなり負担がかかる。デスシャーク、ヘルオクトバスは、C2ランクの強い魔獣である。なので、トールさんの安全を考えて却下した。
「なら、ルシスの案を、教えてくれよ」
全ての意見を却下した私に、トールさんが尋ねる。
私は、みんなに魔獣と倒すプランをプレゼンした。
「まず最初に、ヘルオクトパスを倒しましょう」
「どうやって倒すのだ?」
「ヘルオクトパスは、大きなタコの魔獣です。タコはカニが大好物です。そして、タコはツボに入る習性があるので、この2つの習性を利用します。私が大きなタコツボを海岸に用意します。そして、その中に、ビッククラブを餌として入れます。そうすることで、ヘルオクトパスは、自ら海岸に現れるはずです」
「か・か・完璧だ・・・」
「私もそれを考えていたのよ」
「そんなにうまくいくのかしら?」
ロキさんだけは、不安を感じていたが、この作戦以外に、有能な新しい案が、出なかったので、タコツボ作戦が採用された。
私は、すぐに、アカシックレコードを使って、大きなツボの作成に取り掛かった。
1時間後、木製の大きなツボを3個用意することができた。
私は、その大きなツボを海岸に置いて、余っていた、ビッククラブを収納ボックスから取り出して、ツボの中に設置した。
「ビッククラブ・・・俺が食べたい」
トールさんが、遠い目をしながら、ビッククラブを眺めている。
「ジュルジュル。ジュルジュル」
ポロンさんが溢れ出るヨダレを、我慢して、ビッククラブを眺めている。
この様子だと、ヘルオクトパスより先に、この2人が、ビッククラブを食べてしまいそうである。
「2人共、我慢しなさい。ビッククラブを食べるよりも、ヘルオクトパスを倒すのが先決よ」
「わかっているけど、魔獣に渡すのは、もったいないぜ」
「そうよ、魔獣に渡すくらいなら、私が食べたいわよ」
私は、トールさん達の扱いには慣れている。2人がダダをこねるのも、想定内であり問題はない。
「ヘルオクトパスの肉は、生でも焼いて食べても、美味しいと聞いています」
トールさん達の目つきが、変わった。
「一兎を追う者は、二兎を得るってヤツだな」
「肉を切らして、大きい肉を得るってことね」
トールさん達は、訳のわからないことを言っているが、納得してくれたみたいである。
タコツボをセットして、5分後、ジャイアントクラブの匂いに釣られて、ヘルオクトパスが、3体海から這いずり出てきた。
ヘルオクトパスは、全長20mあるとても強大なタコの魔獣である、八本の長い手足には、たくさんの吸盤が付いていて、一度捕らえられると、2度と抜け出すことができなくなり、八本の手足で締め付けられて、殺されると言われている。
「俺の食べ物だ」
「いえ、私のよ」
トールさんと、ポロンさんがすぐに飛び出した。
「トール、ポロン待ちなさい」
続いて、ロキさんが飛び出した。
トールさんは、ヘルオクトバスの頭に、大きなハンマーをぶちかます。
「くらえ、メガトンハンマー」
ヘルオクトパスの弾力のある頭を、ハンマーで殴りつける。しかし、ヘルオクトパスの頭は、クッションのように凹むが、すぐに元に戻ってしまう。
「なんだ、こいつの体は」
ヘルオクトパスの体は弾力性があり、トールさんのハンマーが効かなかった。そして、ヘルオクトパスは、八本の手足を伸ばして、トールさんを拘束する。
「吸盤の吸い付きが強くて、抜けだぜないぞ」
トールさんは、吸盤に圧着されて、身動きが取れなくなった。そして、八本の手足で、ギュッと締め付けられる。
「氷結サンダーライトニング」
トールさんは、雷魔法と氷魔法の合体魔法を使う。
ヘルオクトパスの体が凍りつき、その凍りついた体に凄まじい電流が流れる。
ヘルオクトパスは、たまらず、トールさんは離す。
しかし、逃げ出したトールさんにむかって、ヘルオクトパスは、口から、黒い猛毒を吐きつける。
「アイスガード」
トールさんは、自らの体を凍らせて、毒を体に、触れさせないようにして、黒い猛毒の中を突き進む。
「氷結ハンマー」
トールさんのハンマーが、無数の氷柱のような尖った氷が付いたハンマーに変形した。
トールさんは、ヘルオクトパスに目がけて、何度もハンマーを振り落とす。
ヘルオクトパスは、氷結ハンマーの氷柱が、全身に突き刺さり、動かなくなってしまった。
ポロンさんは、ヘルオクトパスへ炎の矢を撃ち放つ、炎の矢は、イフリートの力を借りて、マグマの矢に変わる。
マグマの矢は、一瞬でヘルオクトパスの八本の手足を焼き尽くす。
「私のタコさんの手足が、すべて、焼き尽くされてしまったわ」
「ポロンさん、火力が強すぎました。申し訳ありません」
イフリートが、残念そうにポロンさんに謝る。イフリートもタコさんを、食べたかったのである。
「まだ、頭が残っていますわ」
ポロンさんは、急いで、ヘルオクトパスの頭を拾いに行く。
「タコさんの頭は、私のものですわ」
ポロンさんは嬉しそうに、ニコニコしている。
「そういえば、ルシスちゃんは、生で食べても美味しいと言っていたわね」
ポロンさんは、パクリとタコさんの頭にかぶりついた。
「ウェーーーーーーーー」
ヘルオクトパスの頭には、猛毒が詰まっている。なので、頭は食べれないのである。
ポロンさんは、猛毒を少し食べてしまい倒れ込むのであった。
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