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妖精王パート18
しおりを挟む「ルシスちゃん・・・どうしよう」
サラちゃんは泣きそうな顔をして、私に助けを求めてきた。
「サラちゃん、大丈夫よ。猛毒のコアは、レアアイテムなのよ。猛毒のコアを食べると、完全毒耐性を習得し、なおかつ、猛毒のブレスを吐くことが、できるのよ」
「そうなんだ。心配して損したわ」
「でも、サラちゃん。変な物は、むやみに口にするのは、危険だから、気をつけてね」
「はーーーい」
安心したサラちゃんは、いつもの元気なサラちゃんに、戻ったのであった。
「オロチを追いかけるぞ」
「了解よ」
トールさんとポロンさんは、オロチを追いかけて、家の外に出た。
「トール、これは・・・・どういうことなの」
外で待機していたロキさんが、驚いた表情で立ちすくんでいた。
「これが、山田 オロチの正体なのか・・・・」
「間違いないわ。本人が言っていたわ、これが本来の姿だと・・・」
ロキさん達が目にしたのは、体長20cmくらいの、8つの頭をもつ蛇であった。
「ちっさくないか?」
「これが、八岐大蛇なの・・・イメージしてたのと違うわ」
「八岐大蛇さん、これがあなたの姿なの」
「・・・・違う、本当はもっとデカイのだ。なぜだ?俺の魔力が、ほとんどなくなってるぞ!!!」
サラちゃんに、何十回もヒュドラを倒されてたので、八岐大蛇の魔力は、かなり消耗していた。なので、本来なら、30mもある体長も、20cmになってしまったのであった。私の作戦勝ちである。
「ロキ、どうする」
「理由は、わかりませんが、今が、チャンスです。八岐大蛇を討伐しましょう」
「そうだな。オロチ、お前のせいで、村の人は困っているのだ。おとなしく、死んでもらうぜ」
「体は小さくなったが、俺の攻撃力は、落ちていないはずだ。これでもくらえ」
八岐大蛇は、8つ頭から炎を吐き出した。凄まじい炎がトールさんを襲う。
トールさんは、大きく息を吸い込んで、口から息を吹きかける。
八岐大蛇の炎は、すぐに消えてしまった。
「なんか、小動物をいじめているみたいで、やる気が出ないわ」
「私もよ」
「でも、どうするの?」
「そうだ、小瓶に詰めて、持って帰るか」
「名案ですわ。私も、それを言おうと思っていたのよ」
「でも、ちょうどいい、小瓶なんてあるかしら?」
「これを使ってください」
家の中から、ミコトさんが、出てきたのであった。
「この瓶は、封印の瓶です。オロチは、昔この瓶に封印されていました。その封印を私たちの村の祖先が、解除してしまったのです。なので、私たちの村は、その責任を取らされて、年に一度、生贄を差し出さないといけなくなったのです」
「そういうことなのか」
「ロキお姉ちゃん、八岐大蛇は、どうなりましたか?」
私とサラちゃんが、ロキさん達と合流したのであった。
そして、お互いの状況を説明した。
「それで、八岐大蛇は、小さくなったのね」
「そうみたいですね」
「私の活躍のおかげですわ。1番頑張った私が、ヤミークラブを食べる権利がありますわ」
サラちゃんが、自慢げに言う。
「ヤミークラブ調理工場に、行けばたくさんヤミークラブを食べれるのではないか」
「なんですって!!!今すぐに、行きましょう」
サラちゃんのテンションが上がる。
トールさんは、ミコトさんに、ヤミークラブ調理工場の場所を確認しようとした。
「山頂にあります。でも、早く逃げたほうがいいと思います」
「なぜですか」
「今日のヤミークラブの調理分は、全て虹蛇様が食べてしまいました。残っているのは、家にある歓迎会用の鍋の分だけです。なので、調理場に行く意味がないのです。そして、ヒュドラが討伐されて、八岐大蛇が封印されたので、虹蛇様が動き出すと思いますので、早急に逃げることをオススメします。私も、生贄のみんなを連れて、逃げようと思います」
「虹蛇は、どこにいるのだ」
「ここにいます」
「ここって、どこだ」
「私たちの足元です」
「どういうことだ」
「この出雲山が虹蛇です。私たちは、虹蛇の上にいるのです」
クラちゃんが言っていた、出雲山は蛇の楽園と言う意味は、出雲山自体が、蛇という意味だったのかもしれない。
「これは、早く逃げたほうが、良いみたいだぜ」
「そうですわ。すぐに逃げましょう」
「いえ、ヤミー様が、あの家にいます。私は救助しに行きます」
サラちゃんは、家の中へ走っていった。
「ミコトさん、ヤミークラブはどこにあるの」
私は、ミコトさんに確認した。
「2階の食卓に準備してあるわ」
「よし、俺が、サラを連れ戻して来る」
そう言って、トールさんが、家の中に入っていった。
「私も、サラちゃんが心配ですわ」
そう言って、ポロンさんは、家に入っていった。
「ルシスちゃん。あの3人は大丈夫でしょう。私たちは、ミコトさんの仲間を連れて、下山しましょう」
私とロキさんは、生贄として、連れ去られた女性達を、家から連れ出して、出雲山を下山したのであった。
私たちが、下山している頃、トールさん達は、ヤミークラブを探し回っていたのであった。
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