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ターニプ防衛パート7
しおりを挟むワニパラ団は、戦線離脱したので、残るはダーシンシンだけになった。ダーシンシンは、トールさんに頭を殴れられて、怒りの頂点に達していた。
「ゴリパンチを喰らいやがれ」
ダーシンシンは、トールさんに近づき、ボクサーのように、鋭いパンチを連打する。ゴリラの握力、筋力は動物界No.1と言われている。なので、そのパンチ力の破壊力は、鋼鉄をも砕くのである。
しかし、猫の瞬発力も動物界のトップクラスである。柔軟な筋肉を持ち、それを支えるバランス感覚も優れている。猫の獣人ならば・・・しかしトールさんは、猫の獣人ではないのである。
ダーシンシンの破壊力のあるゴリパンチが、トールさんを襲う。トールさんは、風魔法を使い、的を絞らせないように、俊敏に移動する。ゴリラの視力は、人間とさほど変わらない。なので、トールさんの素早い動きに、ゴリパンチは、空を斬るのであった。
「ちょこまかと逃げおって、猫野郎め。お前を相手にしていると、ブランシュを思い出すぜ」
ブランシュとは、ティグレさんの奥さんで、猫の獣人である。
「お前のパンチが、遅すぎるだけだ。そんなハエが止まるようなパンチなど、全然怖くはないぞ」
「ゴッホ、ゴッホ」
ダーシンシンは、叫びながら、さらにドラミングをした。
ダーシンシンの体は、次は銀色に輝き出した。
「次は逃さないぞ」
ダーシンシンは、先ほどと同様に、鋭いパンチを連打する。シルバーコングモードに入ったダーシンシンのスピードは、強化されており、先程の数倍のスピードで、パンチを連打する。
トールさんは、素早く避けるが、ダーシンシンの高速ラッシュパンチを、完全に避けることができず、ダーシンシンのパンチを食らってしまう。
「ぐはっ」
ダーシンシンのパンチを食らったトールさんは、5mくらい吹っ飛んだ。
「やばいなこれは」
ダーシンシンのパンチにより、トールさんの鎧は砕け、口から血を吐き出している。
「俺のパンチを食らって、生きているとは、しぶとい奴だな」
「こんなへなちょこパンチで、死んでたまるか」
「強がっていられるのも、今のうちだけだ。次は確実に、トドメを刺してやる」
ダーシンシンは、両手を地面につけて、ナックルウォーキングでトールさんに、もう突進してきた。
トールさんは、先程のダーシンシンのパンチのダメージは、かなりのものであり、避けようとするが、体がいうこと聞いてくれない。
「食らえ、ゴリアタック」
ダーシンシンは、体を丸くして、転がりながら、トールさんに突進した。
「俺の足、動きやがれーー」
トールさんは、渾身の力を振り絞って、風魔法を使い、ジャンプした。紙一重で、ダーシンシンのゴリアッタクを回避して、上空へ逃げることが、できたのであった。
そして、トールさんは、空中の上で、回復魔法を使って、ゴリパンチのダメージの回復に努める。
「空に逃げるとは、卑怯な奴め。これでも食いやがれ」
ダーシンシンは、草を引っこ抜くかのように、森の木を簡単に引っこ抜き、トールさんに目掛けて、木を投げつける。
動物界No.1の筋力で投げつけられる、木のスピードは、銃弾のように速く飛んで行く。しかし、ダーシンシンはノーコンのため、宙に止まっているトールさんに、木をぶつける事ができない。
「あのゴリラが、ノーコンで助かったぜ。これで、回復に専念できるぜ」
「すばしっこい奴め。全然当たらないぜ」
ダーシンシンは、自分のコントロールの悪さに、全く気付いていないのであった。
「だいぶ回復出来たみたいだ。反撃するか」
「いつまでも、逃げていないで、かかってきやがれ」
「今から行くぜ」
トールさんは、上空から降りて、風魔法を使って、ダーシンシンの周りを高速で動く、あまりの速さのために、ダーシンシンの目には、トールさんが、複数人いるかのように見える。
「どれが、本物だ・・見分けるのは、面倒だ。全て殴り倒してやる」
ダーシンシンは、トールさんの残像に向かって、ゴリパンチを繰り出す。
「わかったぜ。本体は、周りにいると見せかけて、最後は、頭上から攻撃するきだな。だから、本体は、上だぁー」
ダーシンシンは上空を見上げ、右手に力を込めて、渾身の一撃のゴリパンチを放つ・・・・
「あれ、いないぞ・・・」
「背中がガラ空きだぞ。サンダーライトニング」
ゴリラの知能は、他の動物に比べて、高い方である。トールさんは、ダーシンシンが、幻影に惑わされることなく、先の手を読んで、上空からの攻撃を警戒すると、予測していたのであった。なのでトールさんは、ひたすら、ダーシンシンの周りを、動き続けていたのであった。
そして、ダーシンシンの強靭な肉体は、物理的な攻撃では、びくともしないと感じていたので、魔法を使うことにしたのであった。
「ぐわっ」
ダーシンシンの体に、電流がほとばしる。ダーシンシンは痙攣して、悲鳴をあげる。
「ビリビリパンチを、お見舞いしてやるぜ」
トールさんは、ダーシンシンには、雷系の魔法が有効だと確信したので、トールさんは、拳に電気をまとい、ダーシンシンを、サンドバックのように殴りまくる。
ダーシンシンの属性は、炎である。なので、電撃には、弱いのであった。
ダーシンシンは、両手をクロスにして、防御に専念するが、トールさんの、ビリビリパンチは、皮膚を通して、全身に電撃を送り込むので、意味がないのであった。
「グギャーー」
ダーシンシンは、防御しても、意味がないことに気付いて、トールさんのビリビリパンチを、ゴリパンチで対応することにした。
しかし、電撃を食らって、体が痺れているので、動きが鈍くて、ゴリパンチは、トールさんに当たらないのであった。
トールさんのビリビリパンチの猛攻を受けて、ドラミング効果が解けて、ダーシンシンは、元の黒い毛並みに戻る。
トールさんは、ダーシンシンの身体強化が、途切れたチャンスを見逃しはしない。
「今ならいけるな」
トールさんは、ハンマーを大きくして、強く握りしめて、ダーシンシン目掛けて大きくジャンプする。
「メガトンハンマーーーを喰らいやがれ」
トールさんは、大きくハンマーを振り落とす。
ダーシンシンは、危機を感知して、両手で頭を覆い隠す。
しかし、トールさんのメガトンハンマーの方が先にダーシンシンの頭を砕く。
「グギャーーー」
ダーシンシンは、目を丸くして、倒れ込んだ。
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