上 下
120 / 453

ターニプ防衛パート7

しおりを挟む
  

 ワニパラ団は、戦線離脱したので、残るはダーシンシンだけになった。ダーシンシンは、トールさんに頭を殴れられて、怒りの頂点に達していた。

 「ゴリパンチを喰らいやがれ」

 ダーシンシンは、トールさんに近づき、ボクサーのように、鋭いパンチを連打する。ゴリラの握力、筋力は動物界No.1と言われている。なので、そのパンチ力の破壊力は、鋼鉄をも砕くのである。

 しかし、猫の瞬発力も動物界のトップクラスである。柔軟な筋肉を持ち、それを支えるバランス感覚も優れている。猫の獣人ならば・・・しかしトールさんは、猫の獣人ではないのである。

 ダーシンシンの破壊力のあるゴリパンチが、トールさんを襲う。トールさんは、風魔法を使い、的を絞らせないように、俊敏に移動する。ゴリラの視力は、人間とさほど変わらない。なので、トールさんの素早い動きに、ゴリパンチは、空を斬るのであった。


 「ちょこまかと逃げおって、猫野郎め。お前を相手にしていると、ブランシュを思い出すぜ」


 ブランシュとは、ティグレさんの奥さんで、猫の獣人である。


 「お前のパンチが、遅すぎるだけだ。そんなハエが止まるようなパンチなど、全然怖くはないぞ」

 「ゴッホ、ゴッホ」


 ダーシンシンは、叫びながら、さらにドラミングをした。

 ダーシンシンの体は、次は銀色に輝き出した。


 「次は逃さないぞ」


 ダーシンシンは、先ほどと同様に、鋭いパンチを連打する。シルバーコングモードに入ったダーシンシンのスピードは、強化されており、先程の数倍のスピードで、パンチを連打する。

 トールさんは、素早く避けるが、ダーシンシンの高速ラッシュパンチを、完全に避けることができず、ダーシンシンのパンチを食らってしまう。


 「ぐはっ」


 ダーシンシンのパンチを食らったトールさんは、5mくらい吹っ飛んだ。


 「やばいなこれは」


 ダーシンシンのパンチにより、トールさんの鎧は砕け、口から血を吐き出している。


 「俺のパンチを食らって、生きているとは、しぶとい奴だな」

 「こんなへなちょこパンチで、死んでたまるか」

 「強がっていられるのも、今のうちだけだ。次は確実に、トドメを刺してやる」


 ダーシンシンは、両手を地面につけて、ナックルウォーキングでトールさんに、もう突進してきた。

 トールさんは、先程のダーシンシンのパンチのダメージは、かなりのものであり、避けようとするが、体がいうこと聞いてくれない。


 「食らえ、ゴリアタック」


 ダーシンシンは、体を丸くして、転がりながら、トールさんに突進した。


 「俺の足、動きやがれーー」


 トールさんは、渾身の力を振り絞って、風魔法を使い、ジャンプした。紙一重で、ダーシンシンのゴリアッタクを回避して、上空へ逃げることが、できたのであった。


 そして、トールさんは、空中の上で、回復魔法を使って、ゴリパンチのダメージの回復に努める。


 「空に逃げるとは、卑怯な奴め。これでも食いやがれ」


 ダーシンシンは、草を引っこ抜くかのように、森の木を簡単に引っこ抜き、トールさんに目掛けて、木を投げつける。

 動物界No.1の筋力で投げつけられる、木のスピードは、銃弾のように速く飛んで行く。しかし、ダーシンシンはノーコンのため、宙に止まっているトールさんに、木をぶつける事ができない。


「あのゴリラが、ノーコンで助かったぜ。これで、回復に専念できるぜ」

「すばしっこい奴め。全然当たらないぜ」


 ダーシンシンは、自分のコントロールの悪さに、全く気付いていないのであった。


 「だいぶ回復出来たみたいだ。反撃するか」

 「いつまでも、逃げていないで、かかってきやがれ」

 「今から行くぜ」


 トールさんは、上空から降りて、風魔法を使って、ダーシンシンの周りを高速で動く、あまりの速さのために、ダーシンシンの目には、トールさんが、複数人いるかのように見える。


 「どれが、本物だ・・見分けるのは、面倒だ。全て殴り倒してやる」


 ダーシンシンは、トールさんの残像に向かって、ゴリパンチを繰り出す。


 「わかったぜ。本体は、周りにいると見せかけて、最後は、頭上から攻撃するきだな。だから、本体は、上だぁー」


 ダーシンシンは上空を見上げ、右手に力を込めて、渾身の一撃のゴリパンチを放つ・・・・


 「あれ、いないぞ・・・」

 「背中がガラ空きだぞ。サンダーライトニング」


  ゴリラの知能は、他の動物に比べて、高い方である。トールさんは、ダーシンシンが、幻影に惑わされることなく、先の手を読んで、上空からの攻撃を警戒すると、予測していたのであった。なのでトールさんは、ひたすら、ダーシンシンの周りを、動き続けていたのであった。

 そして、ダーシンシンの強靭な肉体は、物理的な攻撃では、びくともしないと感じていたので、魔法を使うことにしたのであった。


 「ぐわっ」


 ダーシンシンの体に、電流がほとばしる。ダーシンシンは痙攣して、悲鳴をあげる。


 「ビリビリパンチを、お見舞いしてやるぜ」


 トールさんは、ダーシンシンには、雷系の魔法が有効だと確信したので、トールさんは、拳に電気をまとい、ダーシンシンを、サンドバックのように殴りまくる。

 ダーシンシンの属性は、炎である。なので、電撃には、弱いのであった。

 ダーシンシンは、両手をクロスにして、防御に専念するが、トールさんの、ビリビリパンチは、皮膚を通して、全身に電撃を送り込むので、意味がないのであった。


 「グギャーー」


 ダーシンシンは、防御しても、意味がないことに気付いて、トールさんのビリビリパンチを、ゴリパンチで対応することにした。

 しかし、電撃を食らって、体が痺れているので、動きが鈍くて、ゴリパンチは、トールさんに当たらないのであった。

 トールさんのビリビリパンチの猛攻を受けて、ドラミング効果が解けて、ダーシンシンは、元の黒い毛並みに戻る。

 トールさんは、ダーシンシンの身体強化が、途切れたチャンスを見逃しはしない。


 「今ならいけるな」


 トールさんは、ハンマーを大きくして、強く握りしめて、ダーシンシン目掛けて大きくジャンプする。


 「メガトンハンマーーーを喰らいやがれ」


 トールさんは、大きくハンマーを振り落とす。

 ダーシンシンは、危機を感知して、両手で頭を覆い隠す。

 しかし、トールさんのメガトンハンマーの方が先にダーシンシンの頭を砕く。


 「グギャーーー」

 
 ダーシンシンは、目を丸くして、倒れ込んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

まさか転生? 

花菱
ファンタジー
気付いたら異世界?  しかも身体が? 一体どうなってるの… あれ?でも…… 滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。 初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...