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武道大会パート8
しおりを挟むサラちゃんは、その後も、ブドウと答え続けたが、もちろん当たることはなく、イフリートが、全て答えを当てた。
「イフリートやるわね。でも最終問題は、ポイントは10点ですわ。私の逆転のチャンスはありますわ」
「えっ・・・そんな予定は・・・・」
司会者は、困惑する。
「最終問題は、10点ですわーーーーーーーーーー」
サラちゃんのただならぬ迫力に司会者は、恐れを感じ、予定を変更して、最終問題は、10点にすることにした。
「えーーー、最終問題は、皆さんに、逆転のチャンスを与えるために、ポイントが10点入ります。では、最終問題です。丸い実がたくさんついています。ジュースやお酒にもなる果物は何」
「はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
「サラ選手、答えてください」
「ブドウですわ。たくさん実があるのは、ブドウしかありませんわ」
「正解です。クイズ大会優勝者はサラ選手です」
「わーーーーい。わーーーーーい。わーーーーーい」
サラちゃんは、見事優勝を勝ち取った。そう強引に勝ち取ったのであった。司会者は、サラちゃんが、もし優勝しなかったら、とんでもないことになるような気がしたのであった。なので、問題を変更して、答えがブドウになるようにしたのであった。
もちろん観客もそれは、瞬時に理解した。なので、盛大な拍手で、サラちゃんを、褒め称えたのであった。
サラちゃんは、商品の雷光石を受け取り、満足げにしていた。
「さすが、サラマンダー様です。私が勝つのは無理でした」
イフリートは、とても悔しそうであった。
サラちゃんが、クイズ大会に出場していた頃、ポロンさんは、姉のヘラと一緒に、武道大会の控え室にいた。
「これを、食べすぎて、昨日は倒れ込んでいたのね」
「はい、お姉様、ふわふわの食感がたまらないのですわ」
「本当に、すごく美味しいわ。どこで買うことが、できるのかしら」
「このプリンは、売っていないのです。私の冒険仲間が、作ってくれたのです」
「そうなの。ポロンの仲間には、料理人もいてるのね」
「料理人ではないのですが、いろんな料理を作れるうえに、魔法にも詳しい、とても頼りになる仲間です」
「そうなのね。いい仲間と出会えてよかったね」
「はい、仲間のおかげで、強くなることができました」
「でも、無理はしないでね。ロイドは、かなり強いわ。無理だと思ったら棄権するのよ」
「はい。お姉様」
「ポロン選手、試合が始まります。舞台へお越しください」
「ポロン、頑張ってね」
「はい。お姉様。がんばります」
ポロンさんの対戦相手は、ダミアンの長男のロイドである。ロイドは、この大会の優勝候補である。姉のヘラと同い年の25歳で、学生時代から、その強さは有名であった。
姉のヘラでさえ、妖精の召喚は、まだできないのに、ロイドは、妖精の召喚契約を結ぶことに成功している。妖精の召喚は、かなりの魔力を消費するので、1日1回が限度である。
ポロンさんが、何度もイフリートを召喚しているのは、実は、召喚ではない。イフリートが、お酒を貰う為に、自分の意思で、現れているので、魔力の消費はないのである。
「只今より、武道大会1回戦を始めます。第1試合は、ロイド選手対ポロン選手になります」
武道大会は、どちらかが、降参するか、審判が止めに入るかで、勝敗が決まる。会場は、バトルロワイヤルでも使われた、円形の広場で行われる。円形の広場には、いくつもの、障害物の岩が置かれているので、それを利用して、戦闘を有利に進めるのである。
エルフは、弓が得意な者が多いので、接近戦よりも中距離戦がメインの戦いになる。
「俺は、エルフの王になる男だ。俺の妖精の力で、お前を叩き潰す」
ロイドがポロンを挑発する。観客席からは、盛大な拍手が起こる。エルフは、美男美女が多いが、ロイドは、その中でも、ずば抜けて男前なので、人気は高い。しかも実力も折り紙付きだ。次の王には、ロイドを進める者も多い。
「カエルの妖精なんて、気持ち悪いので、出さないでほしいですわ」
ロイドの妖精は、カエルの姿をした妖精ウォーターリーパーである。見た目の気持ち悪さは、折り紙付きである。姉のヘラから聞いていたポロンさんは、妖精の能力よりも、見た目の気持ち悪さの方が、気になっていたのである。
「ポロンさん、ウォーターリーパーなど、一瞬で丸焼きにしてあげます。カエルの丸焼きは、酒のあてになりますので」
ポロンさんの横で、小さな火の玉が答える。もちろんイフリートである。大抵の者は、この小さな火の玉が、妖精だとは、気づかない。火の魔法を発動しているのと、勘違いするのである。
ロイドも、この小さな火の玉が、妖精だとは、気づいていない。
「第1回戦を、開始いたします。両者戦闘態勢に入ってください」
観客席からは、歓声が鳴り響く。ほとんどが、ロイドの応援である。ポロンさんを応援する者は、ほとんどいない。それほどロイドが、人気があるのである。
ポロンさんは、舞台から広場に降りる。そして、広場に中央に、のほほんと立つ。一方ロイドは、広場に降りて、すぐに障害物の岩に隠れて、姿を隠す。
ロイドは、絶対に負けるわけにはいかない。なので、慎重にポロンさんの出方を見るのであった。ポロンさんは、全身にシールドを張って、ロイドの攻撃に備える。そして、弓を構えて、岩に隠れているロイドに向けて、炎の矢を連射した。
イフリートの力を借りているポロンさんの矢は、強大な炎になり、ロイドの隠れている岩を焼き尽くす。
「なんだ、あの巨大な炎は・・・幻影なのか。いや違うぞ」
ロイドは、瞬時に避けた。避けなけらば、試合は、一瞬で終わっていただろう。
「魔力は、まだ残っているのか。午前中に、あれほどの魔法を使ったはずなのに・・・仕方がない。ウォーターリーパーを使うか」
ロイドはウォーターリーパーを召喚した。体長2mほどのヒキガエルが、羽をバタつかせて、ロイドの頭上を飛んでいる。
「気持ち悪いのが、出てきましたわ」
ポロンさんは、ウォーターリーパーを見て、ゾッとしている。
「美味しそうだな」
一方、イフリートは、ヨダレを垂らしながら、見ている。
「あれ、カエルさんが、いなくなりましたわ。姿を消すことが、できるのかしら」
「そんな能力は、ないと思います」
「ならどこへ、行ったの?辺りを見渡しても、どこにも見当たらないわ」
ウォーターリーパーは、消えたのではなかった。イフリート見て、ビビって逃げたのであった。
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