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武道大会パート4

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 次の日、ポロンさんは、久しぶりに、家族みんなで、食事をしている。


 「お母様から聞いたわ。ポロンは、バトルロワイヤルに参加するのね」

 「はい、参加します」

 「この家からの推薦枠は、2つしかないので、私は、参加できないかったけど、バトルロワイアルには、怖くて、参加できないわ」


 2番目の姉オーブリーが言った。


 最強エルフを決める武道大会は、王族から7枠、バトルロワイヤルの勝者の1枠になっている。今回の大会の推薦枠は、アールヴの家族からは2名、ダミアンの家族からは3名、オーロラの家族からは2名になっている。

 武道大会推薦枠は、前の国王の子供である、ダミアン、アールヴ、オーロラの3名の子供らに権利が与えられる。長男であるダミアンの家は、1名多く3名になっている。

 そして、バトルロワイヤル枠は、エルフなら誰でも参加可能である。しかし、王族関係者が、自分の子供を勝たすために、初めから、根回しをしている。その結果、バトルロワイヤルは、チーム戦になっているのである。そして、初めから、枠をもらっている王族が、出場すると、全員で一斉に、攻撃されるので、勝つことは不可能である。

 
 「そうですわ。オーブリが言う通りよ。ポロン、危険だから辞めた方が良いわよ」

 「心配してくれて、ありがとうございます。でも、私は修行の成果を試したいのです」


 両親は、聖霊神の加護を授かったのを知っているので、止めはしないが、勝てるとは、思っていない。バトルロワイヤルの今回の出場者は、50名くらいになる予定である。その50名相手に、1人で挑もうなど、無謀なことである。

 しかし、ポロンさんの自信に満ちた表情を見て、止めることができなかったのであった。もし、ポロンへの殺意を感じたら、すぐに止める準備は、しておこうと考えていた。

 ライアンは、確信した。バトルロワイヤルに出るということは、妖精神の加護を手に入れたのに違いないと。そうでなければ、無謀な挑戦である。でもポロンがバトルロワイヤルで勝ち上がれば、チャンスがあるかもと思っていた。それには、理由がある。

 武道大会のトーナメントでは、一回戦から、家族と当たる事はない。ライアンは、優勝は無理でも、2位を狙っている。ライアンの初戦相手は、オーロラの子供シャノンである。シャノンには、多額の金銭を渡して、買収済みである。2回戦の相手は、優勝候補のダミアンの子供ロイドになると思っていた。

 ロイドには、買収は通じなかったので、困っていた。ロイドの1回戦の相手は、バトルロワイヤル枠だ。ポロンとロイドが潰しあってくれたら、もしかしたら、決勝に行けるのではないかと、ライアンは思っていた。


 「ポロン、俺は応援してるぜ。修行の成果を存分の見せつけたらいいぞ」

 「あら、珍しく家族のことを応援するのね」

 「当たり前です。ポロンは、俺の大事な妹です」

 「ライアンのことだから、また良からぬことでも、考えてそうだわ」

 「そんなことは、ありません」

 「ライアンお兄様は、そんなことありません。私のことを応援してくださっています」


 ポロンさんが力強く、ヘラに言った。ポロンさんは、ライアンのおかげで、妖精神の加護を手に入れることが、できたので、すごく感謝していたのであった。


 「これ、みんな仲良くするのよ。家族なのですから」

 「はい。お母様」


 ポロンさんは、朝食を終えると、バトルロワイヤルの手続きに出かけた。今日の大会の日程は、午前中にバトルロワイヤルが行われて、昼から、トーナメント一回戦が行われる。なので、バトルロワイヤルに勝っても、すぐに試合があるので、かなり不利なのであった。


 ポロンさんは、会場に行って、手続きを済ませて、大会出場者の控え室に入った。

 控え室には、手続きを済ませた50人の参加者がいた。ポロンさんは、最後の参加者であった。しかし、ここにいる参加者は、実際は5名である。アルトワ家のクレア、カペー家のヴァル、スミュール家のプリストン、ブリエンヌ家のペイトン、そしてポロンさんである。

 支持者を20名集めたプリストンが、バトルロワイヤルの優勝候補である。

 
 「王女が参加するのか」

 「聞いてないぞ」

 「旅から帰ってきたのか」

 「王女の仲間が、昨日の食べ尽くし事件の犯人らしいぞ」


 控室内がざわめいている。ポロンさんは、そんなことは、気にせずに、ルシスに教えてもらった、小さな収納ボックスから、プリンを取り出して、ペロリと食べる。


 「プリンは、最高ですわ」
 
 「どうする。王女だぜ」

 「もちろん、全員で共闘して、真っ先に潰そう。わざわざ1人で、参加してきたのだ、かなりの実力なんだろう」

 「そうですわ。推薦枠があるのに、邪魔をされては困るわ」


 参加者の意見は一致した。開始と同時にポロンさんを倒すことにしたのであった。しかし、ポロンさんは、そんなことを、気に留めずに、2個目のプリンを食べるのであった。
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