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鬼の島パート6

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 トールさんは、攻めきれずにいた。炎神の炎の攻撃と、素早い動きで、ハンマーの攻撃を防がれていた。

 しかし、炎神も同様であった。高熱の棍棒で攻めるが、トールさんのハンマーで、弾き返されて、なかなかダメージを、与えることができないでいた。


 「なかなかやるではないか」

 「お前もな」


 お互いに強がっているが。2人とも、かなり体力を消耗していた。トールさんは、炎神の高熱の棍棒の、熱ダメージで体力を消耗し、炎神はトールのハンマーを凌いでいるが、その圧倒的なパワーの前に、両腕にダメージは蓄積されていた。


 お互いに息は乱れ、疲労は隠せずにいた。


 「決着をつけようじゃないか」

 「俺もそう思っていたぜ」


 お互いに、体力の限界を感じて、全力を出し切ることにしたみたいだ。

 炎神は、両手で高熱の棍棒を握りしめる。全ての力を棍棒に注ぐことにしたのだろう。燃え盛る全身の炎は消え、棍棒に全ての熱を吸収させる。

 トールさんも、魔力を込めて、ハンマーを大きして、そして、魔力を均等に体に振り分けて、バランスを保つ。ルシスの教えをきちんと習得し、魔力の偏りをせずに、バランスをきちんと保った。


 「行くぜ」

 「こい」


 先にトールさんが動いた。風魔法で、勢いをつけて、炎神に飛びかかる。

 炎神は、棍棒を強く握りしめたまま、身構えている。一撃に全てを、賭けるみたいである。

 トールさんは、ハンマーを大きく振りかざし、炎神の頭上に振り落とす。

 炎神は、トールさんをハンマーごと棍棒で、強く叩き潰す。


 「ガシャーーン」


 トールさんのハンマーは粉々に砕け散る。


 「やったぜ。これで終わりだな」


 炎神は、ハンマーごとトールさんを粉砕して、勝利を確信する。


 「油断したな」


 トールさんは、ハンマーを叩きつけるふりをして、ハンマーを風魔法で、放り投げていた。そして、その隙に炎神の背後に回っていた。


 「くらえ、サンダーライトニング」

 
 トールさんは、電撃のパンチを、炎神のガラ空きの背中に打ち込む。


 「グェーーー」


 棍棒に、全ての魔力を注ぎ込んだ炎神は、防御力が低くなった為、サンダーライトニングを受けて、黒焦げになって倒れ込む。


 黒焦げになった炎神は、白目を剥いて、起き上がることはなかった。



 「トール大丈夫ですか」

 「俺なら、大丈夫だ。風神は倒したのか」

 「倒しましたよ。これで、雷光石を探せるね」

 「そうだな。この辺りに、フラッシュフライが、いるはずだ。手分けして探そうぜ」



 一方、ルシスは・・・・


 「トロールさん、もう少し、力を強くしてらってもいいですよ」

 「あう」


 トロールにマッサージをしてもらっていた。ルシスにマッサージをしているのは、トロールの子供で、体長は1mと小柄なので、ルシスには、ちょうど良かったのであった。


 「腰のあたりもお願いします」

 「あう」

 「私は肩をお願いするわ」


 もちろんクラちゃんも、マッサージを受けているのであった。


 「やっと三つ目の雷光石が手に入ったみたいだわ。一個だけ試食してみようかな」


 そういうと、クラちゃんは、雷光石を飴玉みたいに舐め出した。


 「舌がピリピリとして、程よい刺激が、とてもいいですわ。ピリピリと同時にくる柔らかい甘みが、口の中にほんわりと伝わって、とても美味しいですわ」


 クラちゃんが美味しそうに、雷光石を舐めている姿を見て、私も舐めてみたいと思ったが、血の池地獄の雷光石は、クラちゃんの物なので、私は、味見する事は、出来なさそうである。

 クラちゃんが5分ほど、雷光石を舐め終えると、ポッいと、甘みが消えた雷光石を捨てた。

 その雷光石は、黄色く輝いて、とても綺麗である。これは、何か使えるのに間違いないだろう。


 「クラちゃん、その捨てた雷光石のかけらを、もらってもいいかしら」

 「ルシスちゃんは、こんなのが欲しいの?もう食べれないよ」

 「私は、黄色く光る雷光石が綺麗だから、持って帰りたいの」

 「そうなの。いらないものだから、好きにしてもいいよ」

 「ありがとう。クラちゃん」


 私は、クラちゃんにお礼を言うと、雷光石をもらって、収納ボックスにしまった。

 温泉でのんびりして、マッサージもしたし、ロキさんのところへ戻ろう。


 「クラちゃんは、これからどうするの」

 「もう少し、雷光石を持ってきてくれるのを待っていようかな。ルシスちゃんは仲間のところへ戻るのかな」

 「そうするつもりです。仲間のことも心配なので」

 「そうなんだ。久しぶりに、ルシスちゃんに会えて、楽しかったよ。また一緒に遊ぼうね」

 「はい。私もクラちゃんに会えて楽しかったよ」


 私は、クラちゃんと別れて、ロキさん達のところへ向かうことにした。またクラちゃんと会いたいけど、できたら、私たちと目的が被らないことを、願うことにした。



 「ロイヤルオーガ様、大変です。この島に侵入者が、入り込んできました」


 ロイヤルオーガとは、この鬼の島を仕切る1番偉いオーガである。この鬼の島は、トロールキングとロイヤルオーガの2大魔獣が、支配する島であり、トロールキングは、ロイヤルオーガに協力して、この鬼の島を、他の種族から守っている。

 ロイヤルオーガは、知能も高いので、この島の王として、トロール達の協力のもと、島を管理しているのであった。


 「ジャイアントトロールが、やられたのか」

 「いえ違います。1名は、海を渡ってきたみたいです。そして、残りの3名は空からだと思います」

 「あり得ないだろ。海には、デスシャーク、ヘルオクトパスがいるはずだ。空の監視は、雷神が担っているはずだ。雷神からの連絡は来ていないぞ」

 「なぜ、海を渡れたのか、わかりませんが、海からきた、冒険者は、メガオーガを一撃で、空高く吹き飛ばし、トロールキングをボコボコにして、配下にしてしまいました」

 「・・・・・」

 「そして、さっき入った情報によると、3鬼神も冒険者に倒されました」

 「・・・・その冒険者は、鬼の島を征服しにきたのか」

 「いえ、雷光石を、とりにきたと言っていました」

 「雷光石は、この島の貴重な資源だ・・・・しかし、わざわざ、この島に来たのだから、好きに持って帰ってもらうと良い」

 「雷光石は、高値で売れるこの島の貴重な財源です。本当によろしいのでしょうか」

 「構わない。たまには良いであろう」

 「しかし、不正に侵入してきました。退治しなくて良いのですか」

 「もちろん、構わない。冒険者なのだから、冒険する権利があるはずだ。俺は寛大な王だ。何事も許してやろうではないか」

 「・・・・・」


 ロイヤルオーガは、めちゃくちゃビビっていた。あのトロールキングを配下にした冒険者に、勝てる気がしないのであった。
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