上 下
96 / 453

鬼の島パート4

しおりを挟む


 私は、もうスピードで、血の池地獄へと向かった。クラちゃんが心配だからである。クラちゃんが、トロールキングに倒される心配ではなく、何かやらかさないかと、心配しているのである。

 血の池地獄とは、真っ赤に染まった大きな湖であるが、その湖は、程よい温度で、気持ちよく、とてもリラックスできる温泉である。しかも美容に良くて、肌がすべすべになるらしい。トロールキングは、この温泉を気に入って、毎日血の池地獄につかり、のほほんと生活をしているのである。

 トロールキングが、支配しているので、オーガでさえ、その温泉に近づくことが、出来ないという。温泉に近寄った者は、トロールキングの金の棍棒で、ボコボコに殴られるらしい。


 「温泉かぁー。久しぶりに入ってみたいな。・・・そうだ、水着を作っていこう」


 私は、急停止して、水着の作り方を調べて、魔法で水着を作る事にした。急いで、血の池地獄へ向かう予定が、急用ができたため、遅れる事になりそうだ。しかし、美容に効く温泉に行くのに、万全の準備をしておかないと、危険な目に会うかもしれないので、私は慎重に行動した。


 私は、温泉の準備を万全にして、血の池地獄へと、再び向かったのであった。


 血の池地獄につくと、大きなイカが、のんびりと、血の池地獄に浸かっていた。とても気持ちよさそうな顔をして、白いイカが、茹でられたように、赤くなっていた。もちろんこの大きなイカは、クラーケンであり、クラちゃんである。

 そして、クラーケンの肩を、丁寧に揉んでいるのが、トロールキングである。

 トロールキングは、体長15mもある大きなトロールである。無限に細胞の再生力を持ち、強大なる腕力、そして、10mの金の棍棒を振り回す、恐ろしい魔獣であるが・・・クラちゃんにしてみたら、ゴブリンを相手にするのと大差はない。それほどの実力差がある。

 トロールキングの顔は、大きく腫れ上がり、自慢の金の金棒は、ポッキリと折られていた。いくら無限の再生能力があっても、圧倒的な強者の前では、心が折れて、戦闘不能になってしまうのである。

 クラちゃんに、ボコボコにされた、トロールキングは、今は、クラちゃんのご機嫌を取るので、精一杯であった。

 
 「ルシスちゃーーーーん」


 私に気付いてクラちゃんが、大きな触手を振り上げる。

 クラちゃんは、血の池地獄から出てきて、人型の姿に変身する。


 「クラちゃん、雷光石は見つかったの?」

 「まだなのよ。このあたりに、フラッシュフライが、いるはずなんだけど、なかなか見つからないから、トロールキングにお願いして、探してもらっているのよ」


 トロールキングは、すでにクラちゃんの配下に、なっているみたいで、トロールキングの指示のもと、トロールが、フラッシュフライを探しているみたいである。






 「3鬼神のいる、三途の川の河口まで、もうすぐだな、ロキ」

 「そうだね。3対2の戦いになるから、連携が大事になるはずよ」

 「そうだな。お互いにフォローしないとな」

 「トール、あそこに大きな岩が、たくさんあるわ。あのあたりが怪しいわよ」


 三途の川は、血の池地獄から、流れ出る温泉が流れる川である。鬼の島は、至る所から、温泉が湧き出ているので、河口付近でも、川は湯気が出るほど暖かい。

 その河口付近で、フラッシュフライを独占しているのが、3鬼神である。雷光石を手に入れる為には、3鬼神を、倒す必要があるのである。


 ロキさん達は、上空から見下ろして、3鬼神を探す。


 「それは、雷神のふわふわ号じゃないか」


 三途の川の中から、赤い鬼が現れた。


 「お前達は誰だ」


 赤い鬼に続いて、青い鬼が現れた。


 「お前らこそ、何者だ」


 「俺は、3鬼神の炎神だ」


 赤い鬼が答えた。


 「俺は、3鬼髪の風神だ」


 青い鬼が答えた。

 赤く燃えがる髪を持ち、鋭い目つきの鬼の形相で、全身からも、炎が燃え上がり、筋肉隆々のオーガが炎神であり、青く燃え上がる髪を持ち、細く冷たい目つきの鬼の形相で、全身を風のオーラをまとい、筋骨隆々のオーガが風神である。
3鬼神の討伐難度はC2である。2人には、かなり苦戦しそうな相手である。
 

 「俺たちは、ラスパという冒険者だ。ここにある雷光石を、取りに来た。雷神・・・・覚えてない」

 「トール、雷神は、ルシスちゃんのライトシールドで、黒焦げになったオーガよ」

 「そうらしいぞ」


 トールさんが、曖昧に答えた。


 「なんだと。あの雷神を黒焦げにだと・・・・許さんぞ」

 「いや、俺がやったんじゃないぞ、勝手に自滅しただけだ」
 
 「黙りやがれー。それに、雷神のふわふわ号を、返しやがれー」


 風神は、大きなうちわを、仰いだ。ものすごい突風が、ふわふわ号を襲いかかる。

 ロキさん達は、瞬時にジャンプして、ふわふわ号から飛び降りる。ふわふわ号は、突風に飛ばされて、天高く消えていく。


 「雷神のふわふわ号がぁーーーーー」


 風神は、泣き崩れる。


 「お前達は、絶対に許さん。雷神だけじゃなく、ふわふわ号までも、俺らから奪うとは・・・」

 
 風神は、逆ギレをしたのであった。

 風神は、うちわを大きく仰いだ。先ほどよりも強力な突風が、吹き荒れる。あまりの強力な突風の為、ロキさん達は、飛ばされる。


 「すごい突風だったね。しかし、私のが、遠くに飛ばされているから、トールは、太ったんじゃないかな」

 「そんなことあるか。防具の重さの差だ」


 ロキさん達は、絶えず防御シールドを張っている為、突風によるダメージは、ほとんどない。しかし、ロキさんのが、遠くに飛ばされた事で、トールさんの精神的なダメージは、大きなものであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花
ファンタジー
 17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと話をしていた。話を聞けばどうやら強盗を捕まえた事で未来を改変し、転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰えて異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイントを使いチート化した俺は異世界で生きていく。 なろうでも掲載しています。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

まさか転生? 

花菱
ファンタジー
気付いたら異世界?  しかも身体が? 一体どうなってるの… あれ?でも…… 滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。 初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...