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パーシモンの町パート9
しおりを挟む私は、キュンウサギに抱きついた。なんてフサフサして気持ちがいいのだろうか。赤い大きな瞳も見ているだけで、心が浄化されてしまう。そして、モコモコの長い耳・・・とても気持ちがいい。このままずっとキュンウサギを抱いたまま、この山で、過ごしたいと思ってしまった。
「完全にキュンウサギの虜になってるぜ」
「そうみたいですわ。しばらくは、あのまましといてあげましょう」
「そうだな。私たちは、氷河石を探しましょう」
3人は、私を放置して、氷河石を探すことにした。コチンコチン山の山頂には、大きな洞穴があった。カチンカチン山と同じである。だから、洞穴に氷河石が、あるに違いないと、3人は確信した。
3人は洞穴に入り、氷河石を探すことにした。洞穴は、カチンカチンの山と同じように、とても大きな空洞になっていた。そして、洞穴の中央には、大きいな氷の台座があった。そこはウサクイーンの寝床である。氷の台座の中心に、青く輝く小さな氷の結晶が転がっていた。
「あれが氷河石だろう」
「そうですわ」
トールさんは、台座に転がっている氷河石を、拾って帰ることにした。しかし、トールさんが、氷河石に触れると・・・
私は、キュンウサギを抱きしめながら、至福の時を過ごしていた。あれから何時経過したのだろう。さすがの私も、このままでは、いけないと思い、キュンウサギとしばしの別れを、覚悟したのであった。
私は、キュンウサギの魅了に、かかっていたわけではない。ウサクイーンからキュンウサギに戻ったキュンウサギは、まだ魅了の魔力が戻っていなかったので、私は、魅力にかからずに済んだのであった。
周りを見渡すと、誰もいない。みんなは、どこに行ったのだろうか・・・ふと目をやると、ウサクイーンの氷のティアラが落ちている。氷のティアラはとても美しく光り輝いていた。
「あのティアラ貰おうかな」
私は、ティアラが気に入ってたので、拾って頭に乗せることにした。自分で言うのもおかしいが、とても似合っている。私は、ティアラをつけて、とても気分が良くなり、ウキウキであった。
いやいや、そんなことをしている場合ではなかった。ロキさん達を、探さないといけない。私は、近くにある洞穴が、怪しいと思って、そこへ入ることにした。
洞穴に入ると、そこはかなり大きな空洞になっていて、中央に大きな氷の台座があった。そして、台座の近くで、コチンコチンに凍っている3人を見つけたのであった。
一体、何が起こったのであろうか。私は探索魔法で周りを探ったが、何も感知することはできなかった。それなら、この洞穴に、何かトラップがあるのかもしれない・・・と思い、私は慎重に周りを観察するが、怪しいトラップを見つけることはできなかった。
私は3人に近寄って、周りを調べるが、特に怪しい物ははない。ただ、氷の台座に、綺麗に輝く氷の結晶が落ちていた。これが氷河石だろう。
3人は、氷の彫刻のように、とても綺麗で美しく凍りついてた。このまま芸術作品として、置いておいてもいいだろう。
「早く溶かせ、ルシス」
なぜか、トールさんの悲痛な叫びが、聞こえた気がした。
私は、状態異常の解除魔法を使って、3人の氷化を、解除することにした。かなり高度な氷化だが、すぐに溶けるだろう。
私は、その間に氷河石を拾うことにした。これで、無事に氷河石をゲットできるのである。
「ルシス、危ないぞ」
氷化の溶けたトールさんが、大声で叫ぶ。私はトールさんが、叫ぶより前に、氷河石を触ってしまった。
「ルシス・・・・・・」
「ルシス大丈夫なのか」
「どういうことですか」
「俺たちは、氷河石を触ったら氷化されてしまったのだ。そして、触った俺だけでなく、周りにいたロキもポロンも氷化されたんだ」
「そうなのですか。でも私は触っても大丈夫でした」
「どうなっているのだ」
「それよりも、ルシスちゃんが、頭に付けているのは、ウサクイーンのティアラですね。とても可愛くて似合っていますわ」
「ありがとうです。私もすごく気に入っています」
「もしかしら、そのティアラをつけていると、氷化しないのかもしれない」
「そうだな。それしか考えられないな」
私は、偶然付けたティアラのおかげで、氷化を防ぐことができたのであった。しかし、ティアラをつけないと、氷化を防げないとしたら、バルカンはどうやって、氷河石を使うのであろうか。何か特別な方法があるのであろうか。
私は、氷河石を拾って、収納ボックスにしまった。
「これで、氷河石は、ゲットできたよな。マグマ石はどうする」
「明日、サラちゃんを召喚して、確認することにしよう」
「そうだな。それしかないな」
私たちは、サラちゃんが、マグマ石を、全部食べていないことを願い、パーシモンの町へ戻ることにした。
パーシモンの町に、戻った私たちは、イフリートの機嫌を取るために、飲み屋街に行くことにした。そして、イフリートに、美味しいお酒を、飲ませてあげると伝えたら、嬉しそうに、姿を表して、上機嫌になり鼻歌を歌っていた。
その日は、イフリートに好きなだけ、お酒を飲ましてあげて、楽しい夜を過ごしたのであった。
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