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アトラス山脈にてパート8
しおりを挟むサラちゃんは、気持ちよさそうに寝ている。イフリートが言うには、こうなると、なかなか起きる事がないので、この洞窟で一夜を過ごすことにした。
私は、簡易の家を収納ボックスから取り出して、暑さよけのシールドを張った。
「今日はここで泊まりましょう」
「そうだな。毎度ルシスの簡易の家には助かるぜ」
「そうですわ。ベッドにお風呂、トイレもありますので、野営なんて、もうできませんわ」
「そうだね。こんな便利なものがあれば、どこでも快適に過ごせるので、本当に助かるわ」
「お役に立てて嬉しいです」
私は快適な冒険をするために、日々の努力を欠かさないようにしている。私1人なら、転移の魔法ですぐに町に戻れるのだが、そういうわけには、いかないのである。
そして、私たちは、簡易の家でゆっくりと一夜を過ごした。
「ドン、ドン、ドン」
玄関のドアを、激しく叩く音で、私は目が覚めた。玄関を開けると、そこには、サラちゃんがいた。
「なんなの?この家は。私の寝床に勝手に、家を建てたらダメじゃないの」
「ごめんなさい。すぐに収納できるので、後で片付けます」
「えっ簡単に収納できるの」
「はい。簡易の家なので、後で収納ボックスにしまいます」
「へーそうなんだ。中に入ってみてもいいかな」
「はい。どうぞ」
私はサラちゃんを家にあげて、部屋を案内した。サラちゃんは部屋を見学している。
「このフカフカのベッドは、とても寝心地がいいわ。しかも何、このひんやりとした布団は・・とても気持ち良いわ。これは気に入ったわ。精霊神の加護と引き換えに、この家は私がもらおうかな」
「えーーー。精霊神の加護は、試練を突破したら、貰えるものではないのですか」
「契約の変更しますわ。この家は、とても気に入ったので、私が貰いますわ。お酒に酔わして、私を倒した罰ですわ」
それを言われると・・・・何も言い返せない。仕方がないので、この簡易の家は渡すことは、できないので、ここに新たに家を建てる約束をした。サラちゃんもそれで納得してくれた。
私は、みんなを残して、1人で、転移魔法を使って、資材を調達しに行った。
残った3人と、サラちゃんは、私の置いていった食べ物とお酒で、朝から宴会を始めたのであった。
私は、アカシックレコードの力で、新たな家の作り方を調べて、必要な素材を調べ、資材調達をした。そして、そのついでに、追加の食べ物、日本酒も作ることにした。
ポロンさんは、サラちゃんと召喚主として、きちんと契約を結び、いつでもサラちゃんを召喚できるようになった。
「私の加護だけじゃなく、召喚契約までするなんて、前代未聞だわ」
「ルシスちゃんの作戦のおかげです。私1人だと、何もできなったですわ」
「確かに、あの子の持っているお酒と食べ物は、最高でしたわ。特にプリンは、毎日でも欲しいですわ。召喚獣になったので、これで、いつでもあのプリンが食べれるわ」
サラちゃんは、最初から召喚契約をする気マンマンであったのである。プリンを目当てに・・・
「それでしたら、タイマンバトルは必要なかったの?」
「あれは、形式的にしないといけないのよ。それが精霊界の掟だからね」
ポロンさんは、少し複雑な気持ちになった。しかし、結果オーライなので、胸を張って、故郷に戻ると決心した。
「ポロン、これからどうするのだ」
「そうですね、一度故郷に戻って、両親に報告したいと思います。でもラスパのメンバーとして、冒険は続けたいですわ」
「そうか、わかったぜ。次はエルフの国へ行こうぜ」
「お願いしますわ。でも、エルフの国へ行く前に、ドワーフの王に、会い行かないといけないですわ」
「そうだな。竜光石の加工を、してもらわないとな」
「ドワーフの王に会いに行くの?」
「そうですわ」
「しかし、会ってくれるかしら?エルフのポロンさんがいたら、会ってくれないと思いますわ」
エルフとドワーフは仲が悪い。それは、150年前のある事件が原因なのである。
150年前までは、エルフとドワーフは、とても仲の良い種族であった。エルフの国とドワーフの国は隣接しているため、お互いに行き来しあう仲であった。
しかし、150年前に、ドワーフの王の誕生祭に、参加したエルフの王女が、何者かの手により、暗殺された。そして、その犯人がドワーフの王子であるとの情報が、エルフの国へ伝わったのであった。
絶世の美女と言われたエルフの王女に、恋をしたドワーフの王子は、その恋は叶うはずもなく、見事に砕け散ってしまった。理性を失ったドワーフの王子は、王女を殺し、自らの命もたったという。
王女を殺された、エルフの国は、全軍をあげて、ドワーフの国へ攻め込むことにした。それに対して、ドワーフの国も迎え撃つ体制を整えていた。
二つの国の全面戦争は、いつ起こってもおかしくに状況になっていたのだが、それを抑え込んだのが、竜人であった。
大規模な戦争を抑えるために、竜人は、天空城から降りてきて、2国の間にたち、戦争を直前でくい止めたのであった。
その後、2国間に争いが起こらないように、アトラス山脈の山頂に、竜人を住まわせて、監視しているという。
「そうかもしれませんわ。でも行く必要があるのですわ」
「そうだなポロン。ドワーフとエルフの仲が悪いの知っているが、俺たちは仲間だ。一緒に行こぜ」
「トールの言う通りです」
「嬉しいですわ」
「そうなのですね。それなら検討を祈りますわ」
「おいおい。サラも一緒に行くんだぜ、ドワーフの町までは、送ってもらわないとな」
「なんですって!!!」
「ここから、歩いてドワーフの王のいるターニプの町へは、かなりの時間がかかるぜ。なので、サラに乗せてもらえば、1時間もあれば着くだろ」
「そんな・・・召喚獣としての役割が、移動手段なんて屈辱ですわ」
「そんなこと言うなよ。ルシスに頼んで、たくさんプリンを用意させるぜ」
「そういうことなら、仕方がないわ。私がターニプまで連れていってあげるわよ」
私は、3日間かけて、サラちゃんのために家を作り、また必要な食べ物、お酒など準備したのであった。これでやっと、ドワーフの王に会いに行けるのであった。
新しく建てた家は、サラちゃんはとても喜んでくれたのであった。
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