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ドワーフの国へ
しおりを挟む翌朝、私たちは、ブラカリの領主の屋敷に招待された。そこには、ソールさんとマーニさん、ディーバ伯爵様もいた。ちなみに、リアムが反逆の罪で捕まった為、ディーバ様が、ギルマスと領主の両方の仕事を兼任することになったのである。
「この度は、神守協会の侵攻を、阻止するのに、ご協力いただいて、ありがとうございます」
「ブラカリの町が無事で何よりです」
「これで、神守教会もしばらくは、おとなしくしていることだろう」
私たちは、堅苦しい話しは面倒なので、用事があるということで、途中で、退席することにした。
「やっと終わったな。これで、ドワーフの国へ行けるな」
「そうだね。今回の報酬はかなりいい金額なので、お金にも当分は困らないわ」
「それなら、今から宴会でもするか」
「そうだね。トールにしては、最近は食べることより、特訓を優先していたから、今日は、宴会デーにしましょう」
「やったぜ、今日はの俺は、かなり飲むぜー」
「私は、食べまくりますわ」
私たちは、久しぶりの休息を楽しむことにした。次の冒険はドワーフの国だ。何が起こるかわからない。だから、休めるときに、存分に楽しむのが、ラスパのポリシーなのである。
私たちが、領主様の屋敷を、出た後の会話の中心は、私のことだった。
「ルシスちゃんはすごいにゃ。ティグレの話しだと、ルシスちゃん1人で、強戦士の半分は倒したらしいにゃ」
「アポロ公爵の援軍3000名も撤退させています。話しを聞いたところ、あの太陽騎士団の団長ケレスを倒して、撤退させたらしいです。ケレスはアレスに次ぐ実力者です。私はマーニと協力して、なんとか不意をついて、アレスを倒しました。しかし、あの子は、ケレスを楽勝でしたと言っていました」
「やはり、あの子は、普通の亜人ではないよね。しかし、私たちに協力してくれているし、悪い子ではないのは確かね」
「そうにゃ。ティグレもたいそうルシスちゃんを、気に入ってるにゃ」
「ブラカリの領主としては、あの子の事は、暖かく見守っていくことにしている。無駄な詮索はしないと決めている」
「そうね。あの子が何者か探っていたが、何も出てこなかったわ。私たちの目的にも協力的なので、下手に詮索して、怒らせるのも得策じゃないわ。私たちもあの子の詮索は、しないことにするわ」
「私たちは、今まで通り、神守教会の監視を続けます。アポロ公爵の動向も気になりますので」
「ソール、マーニ、今後も注意深く監視することを、お願いするわ」
「教皇様、アレスがやられました。部隊もほぼ全滅です」
「そんなバカな・・・あのアレスが負けたのか」
「はい、王都内では神守教会が、聖魔教会に返り討ちにあったと、噂になっています。王女陛下もアレスが国を裏切り、暴走して戦死したと発表しています。神守教会の立場がかなり危うくなっています」
「アポロ公爵に、使者を出せ、援軍さえ来ていれば、勝てたはずだ。責任はアイツにある」
「それが・・・・先程、アポロ公爵様からの使者が来まして、神守教会への援助は、今後一切打ち切るとのことでした。それに、リアムも拘束され、トメイトの援軍部隊も壊滅。南の神守教会の拠点は全て、失いました」
「アポロ公爵様、ケレス団長が瀕死の状態です。そのため、神守教会への援軍を撤退しました」
「どう言うことだ、何があったのだ」
「詳しい事情は、よくわかりません。ただ、3000名の兵士を眠らせる魔法の使い手が現れまして、ケレス団長以外のものは、眠らされました。ケレス団長の話しによると、体長3mくらいの羽根の生えた、鬼のような化け物が現れたそうです。ケレス団長の全ての攻撃が効かず、一方的にやられたとのことです。一命は取り止め、少し会話はできますが、いつ亡くなってもおかしくありません」
ケレスには、そんなイメージに見えたのかもしれない。実際は可愛い小さな女の子だったのに、しかし、それだと、信憑性が欠くので、ケレスの言葉通りに、ワイアットは報告した。
「そうか、撤退はいい判断だった。そんな化け物を相手にするのは、非常に危険だ。その化け物がもし、ブラカリの放った魔獣なら、神守教会に手を貸すのは、辞めておいたほうがいいだろう。一旦、神守教会から手を引くぞ」
「フレイヤ様、アレスがソール、マーニ姉妹にやられました」
「あら、アレス死んでしまったのね。神剣グラムを宝物殿から盗んでまで、挑んだ戦いなのに、結局は、神の子の力を過信して、やられたのね」
「やはり、神の子の欠点は過信ですか」
「そうね、確かにアレスのバーサーカーモードは、人間の領域を超えているわ、しかし、それを使わなくても、アレスには血の滲むような訓練で得た、神技があるわ。神技は基本発動できるのは、一つだけだわ。でもアレスは、同時に三つの神技を発動できるのよ。それに、神剣グラムも持っていたわ。バーサーカーモードにならなくても、アレスの実力なら、ソール、マーニ姉妹の2人相手でも、いい戦いをできるはずよ。しかし、バーサーカーモードに頼ってしまった。バーサーカーモードの弱点は、理性を失うところよ。あの慎重で冷静なアレスが、結局は、自身の強さの過信による油断で、負けたのよ」
「そういうことなのでしたか」
「次の副団長はあなたにお願いするわ。決して、己の力を過信せずに、冷静かつ慎重に動くのよ」
「はい、わかりました。フレイヤ様。今後は神守教会は、どのようにいたしますか」
「そうね、アレスのいない神守教会は、何もできないわ。次はネプチューン侯爵の動きを監視しないとね」
「ネプチューン侯爵が率いる神光騎士団ですか」
「そうね。神守教会の分家である神光教団の騎士団。彼らの思想も危険だわ」
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